年末調整はパートにも必要?|必要書類・書き方まとめ

毎年、年内に支払った税金の清算を行う「年末調整」。パートやアルバイトの方の中にはこの時期に夫や親の扶養から外れないようにシフトの調整をする方も多いでしょう。

今回は、パートの方が年末調整を行う手順や注意点、扶養者(夫・親など)の年末調整との違いについてわかりやすく解説していきます!

1.パートの年末調整、扶養内で働いていても必要?

(1)夫の仕事・妻のパートはそれぞれ別に年末調整が必要

年末調整とは、一年のうちに給料から天引きされた税金と本来支払うべき税金を再計算して、過不足を清算する手続です。勘違いしてしまいやすいのですが、旦那さんが職場で年末調整をしている場合でも、奥さんは別途パート先で年末調整をしなければいけません。例えば旦那さんが年末調整で配偶者控除や配偶者特別控除の適用を受けていたとしても、奥さんは奥さんで、パート先で年末調整をする必要があります。

(2)夫・親の扶養内で働いていても年末調整が必要

先ほども少し触れましたが、夫や親の扶養内で働いている方も、パート先で年末調整が必要となります。

そもそも「扶養内で働く」とはどういうこと?

「扶養内で働く」ということは「扶養控除を受けられる範囲で働く」という意味です。

「扶養控除」とは生計を1つにする人たち(夫婦・親子など)が使える制度で、以下の2種類があります。

  • 社会保険料の負担を軽くしてくれる「社会保険上の扶養」
  • 税金の負担を軽くしてくれる「税制上の扶養」

例えば、パートをしている奥さんが旦那さんの「社会保険上の扶養」に入れば、奥さんは社会保険料を負担することなく旦那さんの社会保険に入ることができ、「税制上の扶養」に入れば旦那さんの所得税や住民税の負担が軽くなります(これが「配偶者控除」「配偶者特別控除」と呼ばれる制度です)。

ただし、社会保険上の扶養・税制上の扶養のいずれの場合でも、奥さんが「旦那さんの扶養に入る」には奥さんの年収が一定金額以下である必要があります。このように、扶養から外れない範囲の年収で働くことを「扶養内で働く」といいます。

2.パートの年末調整「年収103万の壁」「130万の壁」って何?

パートをしている方の中には、「パート年収が○○円を超えない方がお得」という金額の壁についての話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?ここでは数種類ある年収の壁について解説します。

(1)年収100万円の壁

まず最初の壁は、「年収100万円の壁」です。この壁をこえてしまうとパートの給料に住民税がかかるようになります。

住民税の計算は、年収から「給与所得控除」と「基礎控除」を差し引いた額が元となります。住民税の給与所得控除65万円、基礎控除は33万円です。

また、総所得金額が35万円を超えない場合には住民税は課税されないというルールがあります。したがって厳密には、「給与所得控除65万円+住民税の課税基準額35万円=100万円」が住民税がかからないラインということになります。

ただし、住民税の課税基準額は市区町村によって変わります。低いところでは93万円から課税される市区町村もありますので、お住まいの自治体のホームページ等で確認してみてください。

(2)年収103万円の壁

103万円の壁は一番有名な年収のラインです。この年収103万円には2つの意味があります。

まず一つは、「本人の所得税がかからないライン」という意味です。所得税は給与所得控除が55万円、基礎控除が48万円あるため、年収がその合計額103万円以下であれば所得税がかかりません。これをこえてしまうとパートのお給料から所得税がひかれてしまいます。

もう一つは、「夫が『配偶者控除』を受けられるライン」です。妻のパートが年収103万円以下であれば、夫は年末調整で『配偶者控除』を受けられるため、夫の税金負担が軽くなります。

では妻の年収が103万をこえてしまったら夫は何の控除も受けられないのかというとそれは違います。妻の年収が103万円をこえても150万までは『配偶者特別控除』という制度によって『配偶者控除』と同額の控除を受けることが可能です。

(3)年収130万円の壁

年収130万円の壁は、税金面ではなく社会保険関係の年収のラインです。

社会保険で夫の扶養になる(夫の社会保険に入る)ためには、年収が130万円未満であることが条件です。これがいわゆる「年収130万円の壁」です。

年収が130万円以上となると本人が社会保険に加入し、社会保険料を支払わなければならなくなります。扶養から外れたくない方は注意が必要です。

なお、年収が130万円を超えていない場合でも、勤務時間や勤務日数が正社員の4分の3以上である場合には社会保険に加入する必要があります(=パートのお給料から社会保険料が引かれる)。こちらの条件にも注意しましょう。

(4)年収150万円の壁

パートの年収が150万円をこえると、配偶者が「配偶者特別控除」で受けられる控除金額が徐々に下がっていきます。「配偶者控除」と「配偶者特別控除」によってそれぞれどのくらいの金額が控除されるのかは以下の記事で解説しています。

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(5)パートの収入が103万以下の場合、生命保険控除は不要?

まず、生命保険料控除は誰が適用できるものかを理解する必要があります。簡単に言うと、実際に保険料を支払っている人が生命保険料控除を適用できることとなります。

したがって、契約者が妻であっても、実際に保険料を支払っているのが夫である場合、夫が生命保険料控除の適用を受けることになります。この場合、夫の勤務先に控除証明書を提出しなければなりません。

妻が生命保険料を支払っている場合には、パートの年収が103万円以下であっても、生命保険料控除を受けることはできます。ただし、年収が103万円以下である場合にはそもそも所得税は発生しませんので、生命保険料控除の効果は薄いでしょう。

先ほど解説した住民税の「年収100万円」、所得税の「年収103万円」のラインを超えてしまった場合には、生命保険料控除を適用することで税金がかからなくなる可能性があります。その場合には忘れずに生命保険料控除を適用しましょう。

3.年末調整でどのくらいお金が返ってくる?

「パートの年収」と「配偶者の年末調整」の関係が分かったところで、実際に年末調整によってどのくらいのお金が返ってくるのかについてお話ししましょう。「会社員の夫と、パート従業員の妻」という世帯について、具体例を用いて解説します。

【モデルケースの条件】

  • 夫の年齢:35歳
  • 夫の年収:400万円
  • 給与から天引きされた源泉所得税額:98,000円
  • 妻の年収:80万円(パート)

上記の条件の場合、パート年収が80万円と103万円以下であるため、パート従業員である妻の年末調整では税金は生じません。また、パート年収が103万円以下であるため、夫の年末調整において「配偶者控除」を適用することができます。

では、夫の税金負担について計算していきます。まずは所得金額を算出します。

年収400万円-給与所得控除124万円-配偶者控除38万円-基礎控除48万円=190万円

所得金額は年収から各種控除を差し引いて求めます。給与所得控除と基礎控除は給与収入がある人は誰でも受けられる控除です。

続いて年間の所得税額を算出します。

所得金額190万円×所得税率5%=95,000円

先ほど計算した所得金額190万円に税率を乗じて年間の税額が95,000円と算出されました。夫は毎月の給与や賞与から合計98,000円の源泉所得税を既に天引きされているため、引かれ過ぎた税額の還付を受けることになります。このケースでは、98,000円-95,000円=3,000円の還付を受け取ることができます。

4.年末調整の書き方と必要書類は?

パートの方の年末調整で必要となる書類には、下記のものがあります。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 前のパート先の源泉徴収票

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、勤務先から配布される書類で、氏名、住所、性別等の基本情報を記入します。個人番号を記入する欄もあるため、個人番号通知書やマイナンバーカードを手元に準備しておきましょう。

扶養控除等申告書 令和2年度

記入の方法は下記の記事で詳しく説明していますので、書類をお手元に用意してぜひご覧になってくださいね。

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給与所得者の保険料控除申告書

「給与所得者の保険料控除申告書」も勤務先から配布されます。生命保険料、地震保険料、社会保険料、iDeCo等の支払いがある場合に必要となる書類です。それぞれの保険料について、該当欄に支払金額を記入するとともに控除証明書の添付が必要となります。ただし、国民健康保険については支払金額を記入するのみで、控除証明書の添付は必要ありません。

また、給与から天引きされている健康保険、厚生年金、雇用保険については勤務先が控除額を計算してくれるため、記入や書類の添付等の手続きは必要ありません。

保険料控除申告書 令和2年分

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前のパート先の源泉徴収票

年の途中にパートを変えた場合、前のパート先の源泉徴収票が必要となります。現在のパート先にその源泉徴収票を提出することで、前のパート先の分についてもあわせて年末調整をしてもらうことができます。源泉徴収票が手元にない場合は前のパート先に連絡してもらっておきましょう。

5.パートの掛け持ちをしている場合、年末調整はどうすればいい?

パートを掛け持ちしている場合、年末調整を行えるのは1か所のパート先のみです。もう1か所のパート先では年末調整をすることができないため、翌年3月15日までに自分で確定申告を行う必要があります

通常は収入が多い方のパート先で年末調整を行うこととなります。もう一か所のパート先には「年末調整は不要」である旨を伝えておきましょう。

なお、誤って2か所のパート先で年末調整を行ってしまった場合はどのように対応すればよいでしょうか? この場合、その2か所の勤務先の源泉徴収票を元に、改めて自分で確定申告を行わなければなりません。

6.年の途中にパートを退職・転職した場合、年末調整はどうすればいい?

年の途中にパートを退職したり転職した場合、年末調整の手続きに注意点があります。準備すべき書類や手続き方法をしっかり確認しておきましょう。

(1)年の途中にパートを退職した場合

年末調整は年末時点で勤務している会社で行うこととなるため、年の途中でパートを辞め、その後新しくパートを始めていない場合、年末調整をしてもらうことができません。

この場合、自分で確定申告を行う必要があります。確定申告をすることで給与から天引きされた所得税の還付を受けられる可能性があります。

確定申告では源泉徴収票が必要となるので、手元に準備しておきましょう。

(2)年の途中にパートを転職した場合

年の途中にパートを転職した場合、転職後のパート先で年末調整を行います。2回以上転職している場合は、その年中に勤務した会社の全ての給与について、最後の勤務先で年末調整を行います。

この場合、前職の源泉徴収票を現在のパート先に提出する必要があります。手元にない方は必ず前のパート先に連絡してもらっておきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はパートさんの年末調整について解説しました。
最後に今回の記事の重要ポイントをおさらいしましょう。

パートの年末調整の重要ポイントは……

  • 扶養内で働いているパートさんも年末調整が必要
  • 年収「150万円の壁」を超えると扶養者(配偶者)が年末調整で「配偶者特別控除」を受けられなくなる(扶養者の税金負担が重くなる)
  • パートを掛け持ちしている場合や年内でパートを辞めた場合は自分で確定申告する必要がある

年末調整や配偶者控除について、まだ解決していない疑問やお悩みがある方は以下の記事もおすすめです。ぜひ併せてご覧になってくださいね。

年末調整についてもっと詳しく!

年末調整で受けられる控除と受けられない控除のまとめ
【最新版】年末調整の必要書類と書き方まとめ(従業員向け)
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