年末調整で配偶者の収入の見込みがわからない時はどうする?

年末調整で配偶者の収入を記入する時、年収の見込みが分からず迷ってしまったことはありませんか。この記事では、「配偶者の収入」にフォーカスして、正しい書類の記載方法について解説します。

1.年末調整に配偶者の収入・所得を記入する理由

年末調整書類には、配偶者の収入・所得を記載する欄が設けられています。

配偶者の収入によって、以下の判定が行われるので、正しく記載する必要があります。

  • 源泉控除対象配偶者の有無(源泉徴収額の判定に影響)
  • 配偶者控除・配偶者特別控除の控除額(所得税額・住民税税額に影響)

記入が必要な個所や基本的なルールは以下の記事をご覧ください。

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ただし、年末調整は10月~11月に行われるため、その時点では今年の収入・所得が確定しているわけではありません。

そのため、正確な金額を記入することはできず、見積額で記載することになるのです。

それでは、配偶者の収入の見込みはどのように検討を付ければよいのでしょうか?

2.配偶者の収入の見込みがわからない時はどうすればいい?

令和7年分の収入について

年末調整は通常10月から11月に行いますので、その時点では配偶者の収入が確定していないケースもありますよね。

配偶者の収入がパートやアルバイトなどの給与である場合、現時点で支払われていない給与については、貯金の給与や賞与、あるいはシフトの入れ方が近かった月の給与を参考に見積額を算出します。

前年と同じ職場で、おおむね同じようなシフトで働いているということであれば、前年の年収を参考にするのも一つの手です。

事業の売り上げの場合、現時点で確定しているか、確実に入ることが予想されている収入は合計額に含め、完全に予想がつかない収益については取り急ぎ計算に含めなくてもよいでしょう。

令和8年分の収入について

2025年の年末調整では、令和7年分に加え、令和8年分の扶養控除申告書も提出します。

令和8年分の申告書には、令和8年分の所得の見積額を記載します。

来年の収入は予想がつかない、という人もいるかもしれませんが、配偶者が翌年も同様の仕事をする予定であれば今年と同じ所得金額を記入して問題ありません。

各種控除の所得要件を超えそうかどうかわからないギリギリのラインであれば、とりあえず記入しておいて、来年の年末調整で確定させればよいでしょう。

令和8年分の申告書は税務署に提出するものではなく、会社が預かっておくものなので、間違いがあっても大きな影響はありません。

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3.年末調整で配偶者の収入が見込みより増えたらどうなる?

ここまでお伝えしたように、年末調整では収入や所得を見込額で記入することになります。

書類を提出した後に配偶者の収入が見込みよりも高額になった場合、最終的な所得がいくらになったかで影響や対応が変わってきます。

所得が58万円(給与収入123万円)以下の場合

配偶者の所得が見積額より高額になっても、最終的な所得が58万円以下(給与なら年収123万円以下)であれば、訂正しなくても問題はありません。

配偶者控除が適用され、38万円の控除を受けるという点で変わりなく、その他税制上の問題も発生しないからです。

所得が58万円超~95万円(給与収入160万円)以下の場合

配偶者の最終的な所得が58万円(給与なら年収123万円)を超えると、配偶者控除は利用できなくなります。

所得が95万円以下(給与なら年収160万円以下)であれば配偶者特別控除によって配偶者控除と同額の控除(38万円)を受けることができますが、配偶者の所得を58万円以下で見積もって申告していたのであれば、訂正の対応が必要です。

住民税は、養っている家族の人数によって非課税の判定を行いますが、所得が58万円(給与なら年収123万円)を超える配偶者は、ここにカウントされません。

その他、影響範囲が広いため、年末調整の修正が必要になります。

所得が95万円超の場合

配偶者の最終的な所得が95万円(給与なら年収160万円)を超えると、下表のとおり、配偶者特別控除による控除額が段階的に減少し、133万円(給与なら年収201.6万円)を超えると控除自体が利用できなくなります。

もともとの見積額にもよりますが、配偶者の所得が増えることによって、控除額が申告時より下がる可能性があります。

配偶者の合計所得金額
()内は給与年収
納税者本人の合計所得金額
()内は給与年収
900万円以下
(1,095万円以下)
900万円超
950万円以下
(1,095万円超
1,145万円以下)
950万円超
1,000万円以下
(1,145万円超
1,195万円以下)
58万円超~95万円以下
(123万円超~160万円以下)
38万円 26万円 13万円
95万円超~100万円以下
(160万円超~165万円以下)
36万円 24万円 12万円
100万円超~105万円以下
(165万円超~170万円以下)
31万円 21万円 11万円
105万円超~110万円以下
(170万円超~175万円以下)
26万円 18万円 9万円
110万円超~115万円以下
(175万円超~180万円以下)
21万円 14万円 7万円
115万円超~120万円以下
(180万円超~185万円以下)
16万円 11万円 6万円
120万円超~125万円以下
(185万円超~190万円以下)
11万円 8万円 4万円
125万円超~130万円以下
(190万円超~197.2万円未満)
6万円 4万円 2万円
130万円超~133万円以下
(197.2万円以上~201.6万円未満)
3万円 2万円 1万円
133万円超
(201.6万円以上)
0円 0円 0円

本来受けられる控除額よりも高額の控除を受けると、追徴課税などペナルティの対象となりますので注意が必要です。

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また、所得が95万円を超えると源泉控除対象配偶者からも外れますので、訂正の対応をするようにしましょう。

4.年末調整で配偶者の収入の見込み額を間違えたらどうする?

最後に、配偶者の収入が見積よりも多く、訂正が必要になった場合どのように対応すればよいかお話しします。

年末調整書類の再提出

会社が規定した提出期間内であれば、書類の訂正あるいは再提出で対応可能です。

再提出を受け入れてもらえるか、会社の担当者に確認してみましょう。

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確定申告

年末調整で申告内容に間違いがあっても、翌年(2月~3月)に確定申告をすれば、申告内容を訂正することが可能です。

年末調整の期限に間に合わなかった場合や、会社側で受け付けてもらえなかった場合は、自分で確定申告をしましょう。

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税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
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