【令和6年分】年末調整の扶養控除等申告書の書き方(記入例つき)
令和6年(2024年)分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書き方を、図と記入例を利用して詳しく解説します。[続きを読む]
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、入社時や年末調整の時期に記入する書類です。
令和7年(2025年)分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書き方を、図と記入例を利用してわかりやすく解説します。
令和6年(2024年)分については、「【令和6年分】年末調整の扶養控除等申告書の書き方(記入例つき)」をご覧ください。
目次
会社では、社員やアルバイト員に給料を支払う際に、所得税を差し引いて支給します。これを「源泉徴収」といいます。
源泉徴収をする際に、その従業員から扶養控除等申告書が提出されているかどうかで、差し引く金額が異なります。
【引用】令和6年分 源泉徴収税額表 (一)月額表
上の図は、令和6年分の、月給制の場合の源泉徴収金額の早見表です。
扶養控除等申告書が提出されている場合は、「甲」欄を利用して、税額を求めます。
たとえば、社会保険料等を控除した後の給与金額が290,000円で扶養親族がいない人は、税額8,040円となります。
扶養控除等申告書が提出されていない場合は、「乙」欄を利用して、税額を求めます。
同じく、社会保険料等を控除した後の給与金額が290,000円の人は、税額50,900円となります。
甲欄の税額で天引きしてもらうためには、扶養控除等申告書に記入して提出する必要があります。
※ここでの源泉徴収の税額は、一時的なものであり、年末調整を行うと、「甲」「乙」どちらの欄を利用したとしても、最終的な税額は同じになります。
基本的には、給料をもらって働く人のほぼ全員が記入して提出します。
「扶養控除」という名前がついていますが、扶養家族がいない独身の人も提出します。
ただし、2か所以上で働いている場合、この申告書を提出できるのはメインの1か所の勤務先だけです。
それ以外の勤務先には提出することができません。
令和7年分の扶養控除等申告書は、以下の時に提出します。
扶養控除等申告書を提出しないと、毎月の給与支払いの際に、源泉徴収税額表の乙欄を利用して所得税が差し引かれますので、一時的に大きな金額が引かれてしまいます。
また、社員の場合、この書類を提出しないということは、その会社での仕事は副業であると言っていることになります。
心証を悪くする可能性がありますので、本業の勤務先であれば必ず記入して提出しましょう。
令和6年分の申告書との変更点は、特にありませんが、
同じ内容を記入してしなくて良くなり記入が楽になりました。
具体的な記入方法は、「簡易な扶養控除等申告書の書き方」で説明しています。
令和6年(2024年)の年末調整の時期に「令和6年分」と「令和7年分」の2枚の提出を求められることもあります。
「令和6年分」は、令和6年のうちに支払われた給与の年末調整に利用します。
一方、「令和7年分」は、令和7年になってから支払われる給与の年末調整に利用します。
令和7年分は、本来は、令和7年1月の最初の給料日の前に提出すれば間に合うのですが、事務手続きが面倒なため、令和6年(2024年)の年末調整のときに、令和6年分と一緒に提出するように指示する会社が多いです。
それでは、令和7年(2025年)分の申告書の具体的な書き方を順を追って確認していきましょう。
こちらは、簡易版ではなく通常版の説明になります。
② あなたが住所を置いている市区町村名を書きます。
①③④⑤については、既に情報が印字された状態の申告書が配布される場合が多いです。
通常、会社側で記入する欄ですが、下記の内容になります。
① 勤務先の所轄税務署名を書きます。あなたの住所地の所轄税務署ではありませんので注意しましょう。
③ 勤務先の名称を書きます。名称とは、株式会社などの法人であれば会社名、個人事業者であれば屋号または事業主氏名をいいます。
④ 勤務先で書きますので、空欄のまま提出します。
⑤ 勤務先の住所を書きます。支店や営業所など本社以外の勤務である場合においては、本社の住所を書きます。
⑥ あなたの氏名とフリガナを書きます。印鑑を押す必要はありません。
⑦ あなたのマイナンバー(個人番号)を書きます。
ただし、既に勤務先にマイナンバーを知らせている場合には、書かないように指示がある場合がありますので、勤務先の指示に従うようにしてください。
⑧ あなたの住所を書きます。令和6年中に記入する場合は、今の住所ではなく、令和7年(2025年)1月1日時点の見込みの住所です。
⑨ あなたの誕生日を書きます。西暦ではなく和暦ですので注意しましょう。
⑩ あなたの世帯の世帯主名を書きます。
⑪ ⑩に書いた世帯主との続柄を書きます。世帯主があなたである場合には本人、世帯主が配偶者である場合には夫または妻となります。
⑫ 配偶者の有無について該当する方に「○」を書きます。
配偶者を扶養しているかどうかは関係なく、法的な婚姻関係にある場合は「○」を書きます。
⑬ この欄は、勤務先が2つある人にだけ関係してきます。勤務先が1つである場合には空欄で大丈夫です。
※参考
勤務先が2つある場合、主な勤務先の方での年末調整で所得控除が控除しきれなかった場合には、もう1つの勤務先に申告書を提出することで、余った控除を受けることができます。これを提出した場合には、⑬の欄に〇を書きます。
源泉控除対象配偶者とは、次の条件に該当する配偶者をいいます。こちらに該当する場合のみ記入します。
① 源泉控除対象配偶者である配偶者の氏名とフリガナを書きます。
② 配偶者のマイナンバー(個人番号)を書きます。
ただし、書くかどうかは勤務先の指示に従ってください。
④ 配偶者の誕生日を書きます。西暦ではなく和暦ですので注意しましょう。
⑦ 配偶者の令和7年(2025年)分の所得の見積額を書きます。
収入金額ではなく所得金額であることに注意しましょう。すべての所得を合計した金額を記入します。収入が給与だけである場合の所得金額は、収入金額から55万円を差し引いた金額です。仮に、収入が120万円であれば所得金額は65万円ということになります。
⑧ 配偶者が日本以外の国に住んでいる場合には、○を書きます。
⑩ 配偶者の住所(令和7年1月1日時点の見込みの住所)を書きます。
⑪ 令和7年(2025年)中に異動があった場合に書く欄ですので、空欄でOKです。
控除対象扶養親族とは、次の条件に該当する親族(子ども、親など)をいいます。
16歳未満の子どもは控除対象扶養親族ではありませんので、ここには記入しません。
① 控除対象扶養親族に該当する親族の氏名とフリガナを書きます。
② 扶養親族のマイナンバー(個人番号)を書きます。
ただし、書くかどうかは勤務先の指示に従ってください。
③ 扶養親族とあなたとの続柄を書きます。
④ 扶養親族の誕生日を書きます。西暦ではなく和暦ですので注意しましょう。
⑤ 扶養親族が70歳以上(昭和31年1月1日以前に生まれた人)である場合、次の条件に該当すれば、「同居老親等」にチェックを入れます。該当しない場合には、「その他」にチェックを入れます。
※病気療養のために入院している場合には同居として認められますが、老人ホームへ入所している場合には同居とは認められません。
ただし、別居であっても仕送りをしている場合などは控除対象扶養親族とすることができる場合もありますので、詳しくは税務署へご確認ください。
⑥ 扶養親族が19歳以上23歳未満(平成15年1月2日から平成19年1月1日までに生まれた人で)ある場合には、「特定扶養親族」にチェックを入れます。
⑦ 扶養親族の令和7年(2025年)分の所得の見積額を書きます。
⑧ 扶養親族が外国に住んでいる場合にチェックします。
16歳以上30歳未満、または70歳以上のときは、その欄にチェックします。
30歳以上70歳未満のときは、「留学」「障害者」「38万円以上の支払」の該当する箇所にチェックします。どれにも該当しない場合には、扶養控除の対象になりません。
⑨ 仕送りをしているなどの理由により別居親族を書く場合には、令和7年(2025年)中の送金合計額を書きます。
記入するのは令和7年(2025年)の年末調整の際になりますので、とりあえず空欄で提出します。
⑩ 扶養親族の住所(令和7年1月1日時点の見込みの住所)を書きます。ひとつ上の欄に書いた扶養親族と同じ場合は「同上」で大丈夫です。
⑪ 令和7年(2025年)中に異動があった場合に書く欄ですので、空欄でOKです。
① あなた自身、または、同一生計配偶者と扶養親族に障害者がいる場合には、チェックを入れます。
同一生計配偶者とは、あなたと生計を共にしていて、年間の合計所得金額が48万円以下(給与収入103万円以下)の配偶者のことです。
② 障害者があなた本人である場合には、該当する欄にチェックマークを書きます。
特別障害者とは重度の障害がある人をいいます。
③ 障害者が同一生計配偶者である場合には、該当する欄にチェックマークを書きます。
同居特別障害者とは、同居しており障害も重度である人をいいます。
④ 障害者が扶養親族である場合には、該当する欄にチェックマークを書きます。かっこ書きにはその人数を書きます。
⑤ あなたが、寡婦、ひとり親、または、勤労学生である場合には、該当するところにチェックマークを書きます。
⑥ 障害者の人の詳しい情報を書きます。勤務先によっては障害者手帳などのコピーの提出を要求される場合があります。
⑦ 令和7年(2025年)中に異動があった場合に書く欄ですので、空欄でOKです。
記入例
この欄は、たとえば、夫婦共働きで子どもの扶養を配偶者にする場合に記入します。
ただし、年末調整の計算には直接関係ないため一般的には空欄で提出することが多いです。勤務先の指示に従ってください。
ここは所得税計算には関係ありませんが、住民税計算のために記入する必要があります。
16歳未満の子どもの情報を記入します。
① 16歳未満(平成22年1月2日以後に生まれた人)の子どもの氏名とフリガナを書きます。
② 子どものマイナンバー(個人番号)を書きます。
ただし、書くかどうかは勤務先の指示に従ってください。
③ あなたとの続柄を書きます。通常、あなた自身の子どもですので、「子」と書きます。
④ 子どもの誕生日を書きます。西暦ではなく和暦ですので注意しましょう。
⑤ 子どもの住所(令和7年1月1日時点の見込みの住所)を書きます。ひとつ上の欄に書いた子どもと同じ場合は「同上」で大丈夫です。
⑥ 子どもが外国に住んでいる場合には、「○」を書きます。
⑦ 子どもの令和7年(2025年)分の所得の見積額を書きます。
⑧ 令和7年(2025年)中に異動があった場合に書く欄ですので、空欄でOKです。
記入例
配偶者や扶養親族に退職して退職手当をもらった人がいる場合のみ記入します。
① 退職手当をもらった配偶者や扶養親族の氏名とフリガナを書きます。
② 配偶者・扶養親族のマイナンバー(個人番号)を書きます。
ただし、書くかどうかは勤務先の指示に従ってください。
③ あなたとの続柄を書きます。
④ 配偶者・扶養親族の誕生日を書きます。西暦ではなく和暦ですので注意しましょう。
⑤ 配偶者・扶養親族の住所(令和7年1月1日時点の見込みの住所)を書きます。
⑥ 配偶者・扶養親族が外国に住んでいる場合には、該当する箇所にチェックを入れます。どれにも該当しない場合には、控除の対象になりません。
⑦ 配偶者・扶養親族の令和7年(2025年)分の所得の見積額を書きます。
⑧ 配偶者・扶養親族が障害者である場合は該当する区分にチェックを入れます。
⑨ 令和7年(2025年)中に異動があった場合に書く欄ですので、空欄でOKです。
⑩ あなたが、寡婦、または、ひとり親の場合は、該当する欄をチェックします。ここだけは、配偶者・扶養家族ではなく、あなた自身の情報であることにご注意ください。
令和7年(2025年)から、簡易版の扶養控除等申告書が新たに設けられました。簡易版の記入項目はとても少なく記入が楽です。
前年(令和6年)と内容に変更がない人は、簡易版を提出すれば良くなります。
簡易版を利用しても良いのは、前年と記入内容に変更がない人です。
ここでいう「記入内容」とは、次のような内容であり、配偶者控除や扶養控除など、控除が関連する項目についてです。
扶養している配偶者や子供などが追加になったり除外したりするときには、簡易版ではなく、通常版の記入・提出が必要です。
ただし、令和6年の申告書で、扶養している配偶者や子供などの「令和6年中の所得の見積額」の箇所が一定金額以下であって、令和7年で所得の見積額の金額に変更はあるものの、同じく一定金額以下であるときは、簡易版の利用がOKです。なぜなら、所得が一定金額以下なら、扶養の状態に変更がないからです。
たとえば、扶養している子供の令和6年の所得は30万円であったが、令和7年の所得は40万円になる見込みのときは、どちらも子供の扶養条件(所得48万円以下)を満たしていますので、簡易版の記入でOKです。
詳細は、次の場合に該当すれば、簡易版を利用できます。
簡易版の「給与所得者の扶養控除等申告書」は、このような書類です。
基本情報とチェック欄だけ記入すればOKです。
あなたの氏名とフリガナを書きます。
あなたのマイナンバー(個人番号)を書きます。
ただし、既に勤務先にマイナンバーを知らせている場合には、書かないように指示がある場合がありますので、勤務先の指示に従うようにしてください。
あなたの住所を書きます。令和6年中に記入する場合は、今の住所ではなく、令和7年(2025年)1月1日時点の見込みの住所です。
生年月日、世帯主の氏名、配偶者の有無の記入は不要です。
最後に、用紙の右側の「前年の申告内容からの異動」のチェック欄「なし」にチェックを入れるだけです。
もし、勤務先から受け取った書類が通常版だったら、通常版の扶養控除等申告書を利用することもできます。
さきほどと同様に、基本情報欄に、氏名・フリガナ・マイナンバー(個人番号)・郵便番号・住所だけ記入します。
そして、用紙右側の「マル扶」マークのすぐ下の空白あたりに、「前年から異動なし」と記入します。
本記事で解説した「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、国税庁のウェブサイトから入手することができます。