【2024年版】年末調整の還付金計算シミュレーション(定額減税対応)
年末調整でどのくらい還付金が戻ってくるのか、自動で計算するシミュレーションツールです。各種控除に適応した詳細計算、分…[続きを読む]
年末調整の後の給料は還付金でいつもより少し増えていることが多いでしょう。それなのに、還付金が振り込まれていなかったら驚いてしまいますよね。
この記事では年末調整を受けても還付金を貰えない場合、どんな原因がるのか、もしも不当に還付金が支払われない場合にどうすればいいのかなどをわかりやすく解説します。
目次
年末調整で還付金がもらえない、または還付金がほぼゼロとなるケースには様々な要因が考えられますが、よくあるケースとしては以下の3点が考えられます。
それぞれのケースについて具体的な理由を解説していきます。
独身の方や生保・iDeCoに加入していない方など、適用される所得控除が少ない方でも年収がおおむね200万円以上であれば少なくとも数千円の還付金が発生するのが一般的です。
ですが、年収が100万円台の方で控除が社会保険料控除のみの方は、還付金がほとんど発生しないということになります。
あくまで概算の計算ではありますが、以下の表に「年収200万円以下」「ボーナスなし」「社会保険料控除のみ」という方の還付金のモデルケースをまとめました。
計算 | 年収120万円 | 年収150万円 | 年収200万円 |
---|---|---|---|
①天引きされた源泉所得税 | 8,640円 | 12,360円 | 32,880円 |
②給与所得控除 | 55万円 | 55万円 | 68万円 |
③基礎控除 | 48万円 | 48万円 | 48万円 |
④社会保険料控除※ | 0.7万円 | 22.3万円 | 30万円 |
⑤課税所得(年収-②-③-④) | 16.2万円 | 24.7万円 | 53.9万円 |
⑥所得税額(⑤×所得税率5.105%) | 8,200円 | 12,600円 | 27,500円 |
⑦還付金額(①-⑥) | 440円 | -240円 | 5,380円 |
※年収150万円と年収200万円では社会保険(協会けんぽ・東京・介護保険なし)に加入しているものとして計算しています。
このケースでは、年収100万円と年収200万円の人は還付金あり、年収150万円の人は還付ではなく逆に追加徴収となりました。
必ずしもそうならないケースもありますが、一般的には年収が高い人の方が年末調整の還付金が多い傾向にあります(もちろんこれは年収が高い人が得をしていて年収が低い人が損をしているという意味ではありません)。
ただし、還付金の計算にはどのような控除を利用できるかなど様々な要素が関係していて、収入だけで還付金の金額が決まるわけではありません。
毎月の給料から天引きされている源泉所得税の金額は、その年の1月1日時点の情報に基づいて決まります。一方、年末調整での還付金の計算はその年の12月31日時点の情報を元に計算されます。それがどのような影響を及ぼすのか、2つの事例をそれぞれ見ていきましょう。
例として「1月1日時点では3人扶養家族がいた」→「年の途中に離婚や子供の就職で扶養家族が0人になった」というケースで考えてみましょう。
この場合毎月の給与や賞与から天引きされる源泉所得税の金額は、扶養家族が3人いるものとして計算されます。しかし年末調整の還付金計算の際には、扶養家族が0人として所得税が計算されます。そうなると結果として毎月の給与から天引きしていた源泉所得税の金額が過少であったことになってしまうのです。
月給30万円の人の源泉所得税が扶養人数によってどれくらい変わるのかを見てみましょう。
月給30万円の源泉所得税(社会保険料未考慮) | ||
---|---|---|
扶養親族の数 | 源泉所得税(月額) | 源泉所得税(年換算) |
3人 | 3,510円 | 42,120円 |
2人 | 5,130円 | 61,560円 |
1人 | 6,740円 | 80,880円 |
0人 | 8,420円 | 101,040円 |
扶養家族が3人の場合と0人の場合とでは、年換算すると約6万円の差があります。単純に考えれば「天引きする源泉所得税が6万円不足していた」ということです。さらに、ボーナスを考慮すればこの差額はより大きくなる可能性があります。これは離婚だけでなく、扶養していた親が年の途中に亡くなった場合なども同様です。
住宅ローン控除を利用している場合など控除が大きい方はこのようなケースでも還付金が生じる可能性が高いですが、控除が少ない方は還付金がほぼゼロか、もしくは追徴になってしまう可能性があります。
これも理由は①と同様です。前年まで扶養していた配偶者や子供がいる場合、毎月の給与や賞与から天引きされる源泉所得税の金額は、当然配偶者や子供が扶養に含まれているものとして計算されます。
にもかかわらず「年末になってみたら配偶者や子供の年収が103万円を超えていた」となれば、毎月天引きされていた源泉所得税の金額が過少であったことになってしまいます。結果として還付金がほぼゼロ、もしくは追徴されてしまう可能性があるため、扶養家族がいる方は年収に十分注意しましょう。
毎月の給与やボーナスから天引きされている源泉所得税の金額を会社が間違えて計算していた場合、年末調整で還付金が出ない可能性があります。
例えば、本来は給与から3,000円源泉徴収すべきであるのに2,000円しか天引きしていなかったというようなケースです。
「会社が計算ミスすることなんてあるの?」と思われる方もいるでしょうが、しっかりした給与計算システムを使用していない小規模な会社では手計算で給与計算を行うことも多いため、このようなミスが生じるケースは珍しくないでしょう。
しかし給与から天引きされる源泉所得税の金額が間違っていたとしても、年末調整が正しく処理されていればあなたの年間の所得税は正しく計算されていることになります。還付金がもらえないとなると損した気分になってしまうかもしれませんが、そもそも「給与から天引きされる源泉所得税の金額が過少だった」ということはその分手取り額を多く受け取っていたということなので、損得は生じていないと理解しましょう。
還付金を受け取っていない方の中には、還付金の支払いが遅れているだけという方もいるかもしれません。還付金がなかなか支払われないと不安になるのは当然のことです。では、還付金は本来いつまでに支払われるものなのでしょうか?
年末調整の還付金は、いつまでに支払わなければならないと法的に定められているわけではありません。したがって還付金がいつ振り込まれるのかはあくまで会社次第ということになります。
一般的に言えば、年末調整は12月中に完了し、12月支払いの給与で還付金が支払われるケースが多数派かと思います。ただし、会社によっては1月支払いの給与で還付金の支払いを行う場合もあるでしょう。年末調整の期限は1月31日と決められているため、それまでに年末調整を完了すれば会社の処理としては問題ないためです。
年末調整の期限が1月31日であることを考慮すると、1月末に年末調整を完了し、2月支払いの給与で還付金の支払いを行う会社もあるかもしれません。しかし多くの会社は12月、1月のいずれかで還付金の支払いを行うものと思われます。気になる方は会社に確認してみましょう。
実務的には年末調整の処理は給料の締め日も影響する可能性があります。年末調整は12月に支払われる給与の金額が確定しなければ処理を行うことができません。例えば「月末締めの翌月25日払い」という給与計算のスケジュールであれば、12月前半には12月支払いの給与を確定させることができるため還付金の計算を行う時間的余裕が十分にあります。
しかし「毎月20日締めの当月25日払い」という締め日から給料日までのサイクルが短い会社では、20日~24日の間に給与計算と還付金の計算を行わなければなりません。この期間に年末調整を完了させることは不可能ではないものの、スケジュール的にタイトになることは避けられません。土日を挟むような場合は実質2日で処理をしなければいけない年もあるでしょう。
このような給与計算のサイクルは従業員数が少ない小規模な会社に多いと思われますが、余裕を持って処理をするため1月の給与で還付金の精算を行うこととしている会社もあると考えられます。
悪意があるかどうかにかかわらず、還付金が生じているのに会社が支払ってくれないというケースもあるかもしれません。還付金が支払われない場合様々なケースが考えられますが、主に以下の2つにまとめられます。
それぞれについて対処法を解説していきます。また、条件を満たせば税務署から直接還付を受けることができる可能性もあります。その方法についても解説します。
年末調整が完了し、源泉徴収票が配布されれば還付金の計算は完了しているはずです。それでも還付金が支払われない場合、主に以下の3つの理由が考えられます。
還付金はあなたに支払われなければならないものです。会社が還付金を横領していると感じたら労働基準監督署や法テラス、弁護士などに相談しましょう。
会社側に悪意はないものの、経営が苦しく還付金が支払えないという場合は判断が難しいところです。会社から「〇月までに支払う」などと説明があればそれまで待つかどうかはあなた次第ですが、それでも還付金が支払われなければやはりしかるべき場所に相談をするべきでしょう。
もう1つの可能性として、単純に還付金の振り込みを忘れていることも考えられます。大きな会社では通常こういったことは有り得ませんが、小規模な会社で社長が経理を兼ねていたり、経理担当者の経験が浅い場合にはこのようなケースも起こり得るでしょう。
さらに言えば、小規模の会社で創業間もない場合などは社長が還付金を従業員に返金しなければならないことを知らないことも実際にあります。まずは社長に確認してみることをおすすめします。
還付金が支払われないまま会社が倒産してしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか? 先ほども触れたとおりあなたは還付金を受け取る権利を有しているため、破産管財人に申し立てを行いましょう。
ただし、会社の財産が底をついてしまった場合は支払いができないという可能性もあります。そうならないためにもなるべく早急に管財人に相談することをおすすめします。
会社から年末調整の還付をすることができない場合に、次の条件を満たす場合には、税務署から従業員本人に直接還付金が支払われます。
上記に該当する場合には一定の書類を税務署に提出することで税務署から還付金の支払いを受けることができます。
しかしこれら書類の提出等の手続きは会社が行う必要があります。会社がこの手続きを知らない可能性もあるため、上記に該当しそうな方は会社の担当者か顧問税理士、もしくは税務署に相談してみましょう。
ここまで、還付金が(ほぼ)0円になる原因などをお伝えしてきましたが、ご自身の還付金が少ない原因に思い当たることがない方は「会社の計算間違いじゃないの?」「もしかして自分が年末調整書類書き間違えたかな?」と思われるかもしれません。
そんな時はまず、ご自身が提出した年末調整書類の控えなどをチェックして、正しい還付金を計算してみましょう。
自動計算で手軽に還付金の金額をチェックを用意しました。まずは簡単に還付金のシミュレーションをしてみましょう。
還付金の金額の決まり方から確認したい方は↓こちらの記事をご覧ください。
年末調整で控除の申請ができていなかったという場合、まずは会社の年末調整担当の方に相談しましょう。1/31までであれば、年末調整の内容を修正してもらえる可能性があります。
会社で年末調整の再調整ができないといわれた場合、確定申告を行うことになります。
会社の方でミスがあった場合も同様で、まずは会社の担当者の方にすみやかに報告しましょう。