高額な医療費を支払ったら確定申告すべき?|高額療養費と医療費控除
日本には医療費の負担を和らげるための制度として「高額療養費制度」と「医療費控除」があります。なんとなく混同しがちな制…[続きを読む]
入院費用は医療費控除で一部を取り戻せる可能性があります。ただしすべての払った費用が医療費控除の対象になるわけではありません。
この記事では、入院費の医療費控除についてくわしく解説していきます。
目次
入院費用で医療費控除の対象になるのは以下の費用です。
医療費控除では、支払った医療に関する費用から保険などで補てんされた金額を差し引きます。
健康保険組合等の高額療養費や生命保険契約などの特約により支払われる入院費給付金、医療費に対する損害賠償金(交通事故で被害者となった場合等)などを受給した場合、その金額を支払った医療費から差し引く必要があります。
高額療養費とは、同一月に支払った医療費が自己負担額の上限を超えた場合に健康保険組合から給付される給付金です。
入院に係る費用を補てんする入院給付金の計算は個別の治療ごとに行います。
その給付の目的となった入院に係る医療費の額から給付金を差し引きできない額が生じた場合でも他の医療費の額から差し引く必要はありません。
医療費控除を受ける際に、給付金や保険金を受け取った場合の確定申告は正確に行いましょう。税務署では、申告者の銀行口座や保険会社から提出される支払調書などをもとに不正申告をチェックしています。
医療費控除の領収書などは確定申告時には提出は必要ありませんが、調査のため提出や提示を求められる場合があるため5年間は保存が義務付けられています。給付金を申告しなかった場合に不正が発覚すると医療費控除額は修正され、延滞税や重加算税などの対象となりますので正確な申告を心がけるようにしましょう。
入院などに際して以下のような金銭を受け取った場合は「保険などで補てんされる金額」には該当しません。
医療費控除は同一世帯の医療費の合計額から医療費控除の対象となる支払った費用を引き、さらに10万円※を引いた金額がある場合だけ利用できます。 ※所得金額が200万円未満の場合は所得金額の5%
医療費よりも受け取った保険金が多い場合は、自己負担額は実質無いので、医療費控除を受けることはできません。ただし、給付金による補填分の差し引きは他の医療費からは差し引かない事になっています。ある治療で保険金がおりて医療費控除の対象とならずとも別の治療による医療費等が控除の対象額を上回った場合は、控除を受けることが出来ます。
年をまたいで保険金を受ける場合はどのように医療費控除の申告をしたら良いでしょうか?
この場合、治療費などがかかった金額に応じて各年ずつに分配して、医療費から差し引く形として申告します。
いかがだったでしょうか。今回は入院費用の医療費控除について解説していきました。
結局どこまでが医療費控除の対象になるのかといえば、治療や療養のための費用だったかどうかです。交通費のタクシーの費用の取り扱いなど緊急性などを勘案して判断されます。
これをふまえて、入院費用のうち医療費の対象になるもの、ならないものを今一度見比べてみてましょう。少しイメージがつかみやすくなったのではないでしょうか。
入院費用で医療費控除の対象になるのは、
などです。
入院費用で医療費控除の対象にならないものは、
などです。
もし判断に困ったら税理士や税務署の方に聞いてみることをおすすめします。また、医療費控除は申告の際に領収書などの提出は必要ありませんが、税務調査などに備えて5年間は保存の義務があります。領収書などはきちんと取っておくようにしましょう。
なお、今回は医療費控除に限定したお話をしましたが、他の医療費控除を受けられる物について知りたい方は下の記事をご覧ください。