医療費控除の改正で平成29年から医療費の領収書の提出が不要に
医療費控除の改正で平成29年から、医療費の領収書の提出が不要になるなど、いくつかの改正点があります。その内容について解説します。
1.医療費の領収書の提出が不要に
従来の医療費控除は、確定申告書と一緒に医療費の領収書を提出する必要がありましたが、平成29年分以降は不要になりました。
その代わり、確定申告期限の翌日から5年を経過する日までの間、該当の領収書を保管することが義務付けられました。
保管の目的は、税務署が明細書の記入内容に疑問が出たときなどに領収書の確認要請をしてきた場合や、税務調査に備えるためです。
2.医療費控除の明細書の提出が必要に
医療費控除の領収書提出が不要になったことに伴って、「医療費控除の明細書」の提出が必要になりました。
従来においても「医療費等の明細書」というものを作成できましたが、あくまで集計表のような形でサブとしての位置づけでした。これが平成29年分以降は明細書の方がメインに昇格しています。
また、従来は利用することができなかった「医療費のお知らせ(※)」が、平成29年分以降は積極的に利用されることになりました。
このお知らせを確定申告書に添付する場合には、お知らせに記載されている医療費についての明細書への記載は合計額のみで済み、その内容を細かく記載する必要がなくなります。領収書の保存の必要もありません。
注意:「医療費へのお知らせ」にすべての受診が記載されているとは限らない
「医療費へのお知らせ」に関して注意ですが、「医療費へのお知らせ」にすべての受診が記載されているとは限りません。
たとえば、主に中小企業で加入している協会けんぽの「医療費へのお知らせ」の場合、確定申告対象の年度の前年10月から当年9月までの間に医療機関で受診された分が主に記載されていますが、10月、11月、12月分や、10月以前に受診したものであっても審査中のものは記載されていません(令和元年度分の場合は、平成30年10月から令和元年9月まで記載)。
前年10月~12月分の医療費は除外する必要があり、また、記載されていない医療費については、別途、「医療費控除の明細書」に記載する必要があります。保管しておいた領収書と「医療費へのお知らせ」を一件づつ丁寧に照らし合わせると良いでしょう。