【2024最新版】医療費控除とは?税金が還付される仕組みと申請方法を解説
年間に10万円を超える医療費を支払った場合は、確定申告で「医療費控除」の適用を受けると、所得税・住民税の一部が還付さ…[続きを読む]
医療費控除では、医師が必要と認めた紙おむつ代、失禁用パッド代なども対象となり、税金の還付を受けることが可能です。
この記事では、どのような「おむつ」が医療費控除の対象になるのか、おむつを医療費控除に含める際の注意点などについてお伝えします。
目次
寝たきりの人が使用する紙おむつは介護に必須の支出と言えます。この紙おむつ代は確定申告で医療費控除の対象となるのでしょうか?
まずは医療費控除についてごく簡単に解説します。医療費控除とは、確定申告で利用できる「控除」の一種です。「控除」を利用することで所得税を節税したり、天引きされた源泉所得税の還付を受けることができます。医療費控除は1年間の医療費の支出の合計額が10万円を超えた場合に利用できます。
医療費控除の対象となるのは通院や入院にかかった費用のみでなく、医師が必要と認めた紙おむつやパッド類の購入費も含まれます。ただし、すべての紙おむつ代が必ず医療費控除の対象となるわけではありません。その条件については次で詳しく解説します。
なお、医療費控除については別記事で詳しく解説しているのでそちらも参照してください。
おむつ代が医療費控除の対象となるのは以下のいずれも満たす場合です。
おむつ代を医療費控除に算入したい方は、かかりつけの医者に相談して「おむつ使用証明書」を発行してもらいましょう。6か月以上寝たきりでおむつが必要な状態であっても、おむつ使用証明書がなければ医療費控除を受けることができません。
紙おむつ以外に、介護関係の費用で医療費控除の対象となる支出には次のようなものがあります。
赤ちゃんや子供が通常使用するおむつは医療費控除の対象にはなりません。治療や介護ではないからです。
また、大人が使用する紙おむつでも、寝たきりではない夜尿病の方が使用する場合には医療費控除に該当しません。基本的には「おむつ使用証明書」を医師から発行してもらえないものについては医療費控除の対象にならないと考えてください。
おむつを交換するとき、「おしりふき」や「からだふき」で体をふくこともよくあります。
しかし、これらの費用も医療費控除の対象にはなりません。
その他医療費控除の対象となるもの、ならないものについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
ここからは、確定申告で実際に医療費控除を利用する手順と方法を解説します。
おむつ代について医療費控除を利用する流れは以下の通りです。
上でも触れましたが、医療費控除を利用する際には以下の書類が必要となります。
医療費控除の明細書は確定申告書と一緒に税務署に提出する書類です。書類は税務署に取りに行くか、もしくは国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
おむつ使用証明書は先ほど解説した通り、かかりつけの医師の署名が必要な書類です。なお、2017年分以降の確定申告からは、おむつ使用証明書を税務署に提出する必要はなくなりました。
ただし、添付が不要となった代わりに「証明書の名称」「証明年月日」「医師の氏名」を医療費控除の明細書の余白に記載することが必要です。なお、添付を省略した場合はおむつ使用証明書を5年間保存する義務があります。
「主治医意見記載内容確認書」「市町村が確認した書類」は、介護保険の要介護認定を受けている方でおむつ使用が2年目以降の方に発行される書類で、寝たきり度がBもしくはCで、かつ尿失禁の可能性がありの方に発行されます。
これらの書類はお住まいの市区町村に発行してもらう必要があります。おむつの使用が2年目以降は、おむつ使用証明書に代えてこれらの書類を使用することができます。
ここからは確定申告書の書き方を解説していきます。この記事では医療費控除に関係した書類の書き方に絞って解説します。確定申告書全体の書き方を詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
おむつの医療費控除を受けるに当って必要な書類はこちらです。
医療費控除の明細書には以下の3つの記入欄があります。
医療機関に支払った医療費の明細が記載された「医療費通知」が手元にある方は、その合計額を記載することで明細の記入を省略することができます。
医療費通知は健康保険の加入団体によって書類名が異なりますが、協会けんぽに加入している方は「医療費のお知らせ」という書類名です。医療費通知は加入している団体から1月~2月頃送付されます。ただし、明細の記入を省略するためには医療費通知を確定申告書に添付する必要があります。
医療費通知に記載されている医療費以外の医療費がある方は、この欄にそれぞれの医療費の明細を記入します。明細は領収書ごとに記入する必要はなく、「医療を受けた方」「病院等」ごとにまとめて記入することが認められています。
紙おむつの支出は医療費通知には記載されないため、この欄に明細を記入します。「使用者の氏名」「購入した店の名称」「支払った金額の合計額」を記載しましょう。なお、紙おむつの「(3)医療費の区分」は「その他の医療費」にチェックを入れます。
最後に「医療費の合計」欄に1と2の合計額を記載します。
2の「医療費の合計」欄の金額を「A支払った保険料」「B保険金などで補てんされる金額」に転記します。AとBを差し引きした金額を「C差引金額」に記載します。
「D所得金額の合計額」に確定申告書第一表の「所得金額」の合計額の金額を転記します。
E欄に「所得金額の合計額×0.05」で計算した金額を記入します。F欄にはE欄の金額と10万円のいずれか少ない金額を記載します。
最後に「C差引金額」とF欄の金額を差し引きした金額をG欄に記載します。
確定申告書には、収入や所得、控除などの情報を記入します。
第一表・第二表とありますが、第一表の「所得から差し引かれる金額」の「医療費控除」欄に医療費控除の明細書のG欄の金額を記載します。
ここからはおむつ代を医療費控除で利用する場合のよくある疑問点をまとめました。
おむつ代を医療費控除に算入するためには、医師から6か月以上の寝たきり状態と認められることが前提です。したがって寝たきりではない方のおむつ代は医療費控除の対象とはなりません。
入院中に病院から請求されるおむつ代でも、「おむつ使用証明書」を医師に発行してもらえる方は医療費控除の対象となります。おむつ使用証明書を発行してもらうためには6か月以上の寝たきり状態であることが条件です。
確定申告の際に保存しておく書類はレシートは無効、領収書が必要と思われがちですが、実際はレシートでも問題ありません。したがっておむつを購入した際のレシートを保管しておけば控除が認められます。
ただし、紙おむつ購入時レシートには紙おむつ使用者の氏名が記載されていることが望ましいと言えます。領収書であれば使用者の氏名を記載するようお店に頼みましょう。レシートの場合は使用者の氏名を印字してもらうことはできないため、自分で記入しましょう。不安な方は対応を税務署に問い合わせるのが確実です。
おむつ使用証明書は医師の証明を受けた日が発行日となります。その発行日以前に購入したおむつ代であっても、おむつ使用証明書の「必要期間」に含まれる期間のおむつ代であれば医療費控除の対象となります。
おしりふきや、からだふきは医療費控除の対象とはなりません。
紙おむつのパッケージには「(社)日本衛生材料工業連合会のガイドラインに基づく表示」が印刷されています。この品名欄に「大人用紙おむつ」と印刷されているものはパッド類であっても医療費控除の対象になります。ただし、品名欄が「紙おむつ」となっていないものは医療費控除の対象とはならないため、購入前にしっかり確認しておきましょう。
おむつ代が医療費控除できるのかについて解説しました。
傷病によって6ヶ月以上寝たきりであると医師に認められ、おむつが必要であると判断された場合に、おむつ代が医療費控除されます。
医療費の控除は、毎年2月16日〜3月15日(土日の場合は1日ずれる)に行われる「確定申告」の際に受けることができます。
領収書やレシートは必ず取っておくようにしてください。