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アルバイトを始めた方が直面する税金の支払い。
その支払い、少しでも安くしたいと思いませんか?
実は学生には、一定の条件を満たすことで、所得税と住民税が安くなる「勤労学生控除」という制度があります。
そこで、この勤労学生控除について概要を解説します。
また、確定申告や年末調整での手続き方法も紹介します。
この記事は、以下の方におすすめできる内容となっています。
目次
学生が年末調整や確定申告で利用できる「勤労学生控除」。まずはその概要を解説します。
勤労学生控除とは、所得控除のうちの1つです。
所得控除と言われてもピンとこない方もいるかと思います。まずは簡単に所得税額の計算方法を確認してみましょう。
給与所得控除は、給与収入がある人が必ず利用できる控除です。上記の計算式を見ていただければ分かると思いますが、所得控除を利用すれば税金が安くなるということです。
勤労学生控除の控除額は27万円です。利用できる控除が少ないであろう学生にとっては大きな控除額と言えるでしょう。
※1 給与所得控除とは、給与収入に対して適用される控除のことです。学生が稼ぐであろう金額(162.5万円以下)だと55万円引かれます。なお、稼いだ金額によって、控除額が異なるため、162.5万円を超える場合はこちらからご確認ください
※2 所得控除とは、所得に対して利用できる控除のことです。所得控除は多くの種類があり、勤労学生控除以外にも適用される所得控除があるかもしれません。詳しくはこちらの控除一覧からご確認ください。
では、勤労学生控除を利用できる学生はどのような学生なのでしょうか?
勤労学生控除を利用することが出来る学生は、次のすべての条件を満たす人です。
ここで気になるのが、3つ目の「特定の学校の学生、生徒であること」という部分ではないでしょうか?この点については次で詳しく解説します。
国税庁のホームページによると、以下が特定の学校に該当します。
一般的な高校、大学、高等専門学校に通学している学生は、問題なく該当します。また、夜間部の学生も勤労学生控除が適用できます。また、職業能力開発校も対象に含まれます。
その他、専門学校に通学している方や、通信制の学校に通っている方など、個別の疑問についてそれぞれ解説していきます。
勤労学生控除には年齢による条件はありません。したがって社会人でも、対象となる大学や大学院、専門学校等に通学している場合、勤労学生控除の対象となります。
ただし、前提条件である「その年の給与収入が130万円以下」という部分を満たしている必要がある点には注意が必要です。
勤労学生控除の対象となる専門学校には、次の条件が規定されています。
通学している学校が上記の条件を満たすのであれば、勤労学生控除を適用することができます。不安な方は学校に確認するのが最も確実です。
先ほど挙げた「学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校」の中には、通信教育生も含まれます。ただし、その通信制の学校を卒業した場合に、一般の学生と同一の資格を与えられるものに限ります。
通信制の学校のうち、例えば放送大学は勤労学生控除が適用できるとホームページに明記されています。その他の学校についてはホームページで確認するか、個別に問い合わせるなどして確認しましょう。
大学院の学生は問題なく勤労学生控除を適用することができます。
日本語学校は勤労学生控除の範囲から除かれています。
専門学校・専修学校や職業訓練学校の学生については、勤労学生控除の対象となる学校であることを証明する書類の添付が必要となります。
一般的な高校、大学、大学院などの学生については、原則として、証明書の添付は必要ありませんが、会社によっては、添付を求めることもあります。
証明書類として有効なものは、在学証明書や学生証のコピー等です。不安な方は勤務先の担当者にどのような書類を提出すべきか確認した方が良いでしょう。
勤労学生控除を利用するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
「年収103万円」を超えない方がいい、といった話を聞いたことはないでしょうか?この103万円という金額には「親の扶養になれるかどうかのライン」という意味の他に、「所得税がかかるかどうかのライン」という意味があります。
控除を全く利用しない場合、年収が103万円を超えると所得税が発生します。
しかし、勤労学生控除を利用することにより、年収130万円までは税金がかからないこととなります。
勤労学生控除の控除額は一律27万円なので、所得税非課税のラインまで「年収103万円+控除27万円」とちょうど27万円分の余裕が生まれるということです。
住民税も同様で、本来住民税の非課税ラインは100万円です。
しかし、勤労学生控除を利用すれば年収126万円までは住民税がかかりません。(勤労学生控除の住民税の控除額は26万円であるため)
アルバイトのその月の給料が88,000円以上となると、給料から所得税が天引きされます。
この天引きされる所得税の金額はあくまで概算の金額で、年末調整や確定申告を行うことで正確な所得税が確定する仕組みです。
勤労学生控除を利用すると、通常は年末調整や確定申告で還付される税金の額が増えることとなります。この点もメリットの一つです。
ここからは勤労学生控除を利用するための具体的な手続き方法について解説します。
アルバイト先で年末調整を行う場合、勤務先から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類が配布されます。まずはその書類に氏名、住所、生年月日などの必要事項を記入しましょう。
もしアルバイト先から上記の申告書が配布されなかったときは、アルバイト先の担当者に「年末調整がしたい」と伝えれば申告書をもらうことができます。
続けて、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の勤労学生控除のチェック欄にチェックを入れます。
さらに、チェック欄の右側に「学校名」「入学年月日」「所得の見積額」を記入してください。
また、先ほど述べた通り、専門学校や職業訓練学校の学生は在学証明書や学生証のコピー等の書類の添付が必要となります。
以上の要領で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を記入し、アルバイト先の会社に申告書を提出すれば年末調整の手続きは完了です。
なお、勤労学生控除以外に保険料控除等を利用する方は、別途「給与所得者の保険料控除申告書」の提出が必要となります。
年末調整で勤労学生控除を適用し忘れた場合、自分で確定申告を行います。
確定申告を行う方法は以下の3通りあります。
確定申告書はe-Taxというサイトからダウンロードすることができます。e-Tax上で金額等を入力したものを印刷できるので、手書きで作成するより楽に確定申告書を作成することができます。
確定申告期間は2月16日~3月15日です。ただし、確定申告をすることで税金が還付になる場合に限り、1月1日から申告を受け付けてもらえます。
また、どこに提出すればよいのか等についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ここから具体的な確定申告の手順を解説します。勤労学生控除の記入の前に、アルバイトの給与額等を記入します。アルバイト先から配布される源泉徴収票という書類が必要となりますので、手元に準備しておきましょう。
ここでは簡単な説明に留めますが、まず、確定申告書第一表の「収入金額等」の「給与」欄に、源泉徴収票の「支払金額」の数字を記入します。続いて「所得金額」の「給与」欄に、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」の数字を記入します。
支払額が126万円のケースで記入例をあげておきます。この場合、収入金額等の部分には126万円、所得金額の給与欄には給与所得控除(今回は55万円)を差し引いた71万円を記入します。
そして、「所得から差し引かれる金額」の「勤労学生、障害者控除」の部分に「27」を記入します(「0000」は印刷されています)。
次に、確定申告書第二表の「本人に関する事項」の「勤労学生」に丸をつけます。
なお、確定申告についてはこちらの記事にて詳しく解説しておりますので、確定申告を行う際はぜひご確認ください。
勤労学生控除の利用には注意すべき点があります。特に「親の扶養問題」については十分に検討する必要があるでしょう。
勤労学生控除を適用できるのは、年間の給与収入が130万円以下の人に限られることは先ほど説明した通りです。
しかし、そもそも年収103万円以下の人は、勤労学生控除を利用しなくても所得税はかかりません。
さらに、年収100万円以下※の人は、所得税に加えて住民税もかかりません。
要するに、年収100万円以下の人はそもそも勤労学生控除を利用する意味がないということです。
年収103万円の人は所得税はかかりませんが、勤労学生控除を利用しないと住民税が生じるため、利用する価値はあるでしょう。
※ 市町村によっては住民税がかかるラインが93万円のところもあるため、自身の住んでいる市町村にご確認ください。
先ほど少し触れましたが、「年収103万円」のラインを超えると、親の扶養から外れてしまいます。
これは勤労学生控除を利用した場合も同様です。
例えば年収130万円の人が勤労学生控除を利用して「給与所得103万円」となったとしても、親の扶養からは外れてしまうということです。
あなた自身の税金だけを考えれば「年収130万円まで所得税がかからない」というメリットはあるものの、親の扶養から外れることは大きな問題です。
これは勤労学生控除を利用するデメリットとも言えるでしょう。
年収が103万円超130万円以下の範囲に該当しそうな方は、親とよく相談した方が良いでしょう。
何度か触れていますが、勤労学生控除の控除額は所得税と住民税で異なります。
この違いを理解していないと、「所得税はかからなかったが、住民税の支払いが生じてしまった」ということになりかねません。
勤労学生控除を利用した場合の年収の非課税ラインは「所得税130万円」「住民税126万円」と覚えておきましょう。
本来勤労学生控除は、アルバイト先の年末調整で手軽に利用することが出来る制度です。
年末調整は勤務先に申告書を提出するだけで済みますし、通常は12月の給与で還付金を受け取ることができるため、非常にスムーズです。
しかし、うっかり年末調整で勤労学生控除を忘れてしまった場合、自分自身で確定申告をしなければなりません。
確定申告書の作成は年末調整と比べて煩雑ですし、税務署に申告書を提出する手間もかかります。
また、還付金が振り込まれるまでに通常1か月~2か月ほどの期間がかかってしまいます。
年末調整の際には勤労学生控除の適用を忘れないようにしましょう。
奨学金を利用している場合は?
奨学金を利用している場合、利用している奨学金によって本人の収入要件があることがあります。
そのため、勤労学生控除が適用できるからと収入を増やした際、奨学金の収入要件を超えてしまうことが考えられます。
その場合、要件を超えてしまうと、奨学金が受けられなくなってしまうことがあります。
そのため、自分が貸与・給付を受けている奨学金の収入要件を必ず確認しましょう!
最後にこの記事のまとめです。
最後にこの記事を読んでいただいた方におすすめの記事をピックアップさせていただきました。
税金に詳しくなって、損をしないようにしましょう!
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