この記事では比較的簡単で初めての方でも間違いにくい白色申告について、特徴や必要書類、やり方の流れを解説していきます。[続きを読む]
せどりで利益が出たら確定申告が必要なの?
商品を安く仕入れて高く売る「せどり」は、副業や小遣い稼ぎとして人気があります。
しかし、せどりで多くの利益が出たら確定申告をして税金を納付しなければなりません。必要な申告が漏れている場合、最悪「脱税」としてペナルティが発生してしまいます。
この記事では、せどりで確定申告が必要な場合と、その方法について解説します。
目次
1.せどり(転売)での確定申告
確定申告とは、税金を支払う手続きのことです。給与所得以外の所得を得たら、自分で確定申告をしなければなりません。
では、せどりで「どれくらいの利益(所得)を得たら」確定申告が必要になるのでしょうか。まずは基準を確認しましょう。
(1)確定申告が必要になる基準
確定申告が必要になる基準はいくつかあります。
会社員 公務員 |
せどり所得が年20万円を超える時 |
---|---|
せどり専業 | せどり所得が年48万円を超える時 |
原則は上記のとおりですが、会社員・公務員の方は「例外」に注意してください。次のいずれかの条件に当てはまる方は、せどりの利益とは関係なく、確定申告が必要になります。
※2020年の所得税改正で、基礎控除が38万円から48万円にアップしましたので、確定申告が必要な所得も上がりました。
- 会社から受け取る給与の年額(年収)が2,000万円超の人
- 2カ所以上から給与を受け取っている人
- 医療費控除や住宅ローン控除などの控除を受けるために確定申告をする人
(2)売上額ではなく所得(利益)で判断
先ほど「確定申告が必要になる基準」として紹介した20万円や48万円は「所得(=利益)」である点に注意してください。「収入(=売上)」ではありません。
例えば、100万円で商品を仕入れて、150万円で販売した場合、所得は50万円です。
所得の求め方
所得=売上-経費
経費とは、仕入れ額や配送費やネット通信費などのことです。
例えば、100万円で商品を仕入れ、150万円で販売して、「配送費やネット通信費など」に合計10万円かかったら、所得は40万円になります。計算式は次のとおりです。
所得
=売上150万円-(仕入100万円+配送費やネット通信費など10万円)
=40万円
=売上150万円-(仕入100万円+配送費やネット通信費など10万円)
=40万円
2.せどりを専業でやるなら青色申告が有利
確定申告には「青色申告」と「白色申告」という方法があります。せどりを本格的に個人事業主として始めるのであれば「青色申告」をすると節税できて有利です。
ただし、誰でも青色申告できるわけではありません。条件を確認していきましょう。
(1)青色申告ができる条件
せどり所得は、事業の状態によって「事業所得」か「雑所得」にわけられます。特典が大きい青色申告ができるのは「事業所得」として申告する場合です。
せどり所得を事業所得にするには、次の条件をクリアする必要があります。
- 営利性、有償性、反復性、継続性がある
- 独立して営んでいる
- 安定した収益が得られている
- 多くの労力、設備を使っている
これらを総合すると「ビジネスとして成立しているか」となります。個人事業主として、せどりしかしていない場合は、ほぼ確実に事業所得にすることができるでしょう。
逆に、サラリーマンの方などが副業やお小遣い稼ぎとして、せどりをしている場合などは、上記の条件に当てはまらない可能性が高いので、せどり所得は「雑所得」とみなされます。
(2)青色申告のメリット
ビジネスとしてせどりをするなら、青色申告をしたほうが断然有利とお話しました。具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか。
メリット1:最大65万円の特別控除
青色申告の最大のメリットは、最大65万円の特別控除があることです。これにより、せどり所得が65万円以下の場合、所得税がかかりません。
メリット2:経費の特例
青色申告には下記のようないくつかの有利な「特例」があります。
- 家族への給与の経費化
家族を従業員にすることで、支払った給料を経費として計上できる - 貸倒引当金の経費化
貸倒引当金※1を経費として計上できる - 30万円未満の資産の一括経費化
1つ30万円未満の設備や資産について、購入・使用開始した年度に一括して経費に計上できる
※1 貸倒引当金とは
何らかの事情で売上などを回収できなくなってしまうリスクに備えて、先に「損金」として計上できる仕組み
メリット3:赤字の繰り越し
赤字を最長3年間、繰り越すことができることも、青色申告の大きな特典といえます。
どういうことなのか、簡単なシミュレーションで説明します。
●2022年、300万円の赤字:税金0円
例えば、2020年に300万円の赤字になったとします。この年は赤字なので、税金を支払う必要はありません。
●2023年、100万円の黒字:税金0円
2023年に100万円の黒字になったとします。本来であれば、所得100万円に税金が課せられますが、このケースでは2022年の300万円の赤字を繰り越しているので、100万円の黒字から差し引くことができ、都合200万円の赤字になります。
したがって2023年も税金を支払わなくて済みます。
●2024年、100万円の黒字:税金0円
2024年に100万円の黒字になっても、赤字の繰り越しが200万円分あるので、この年も100万円の赤字になります。
やはり税金は発生しません。
●2025年、100万円の黒字:税金0円
2025年に100万円の黒字になっても、赤字の繰り越しが100万円分あるので、この年も所得が0円になり、税金は課せられません。
●2026年、100万円の黒字:課税される
2026年に100万円の黒字になったら、もう赤字の繰り越しがないので、100万円に税金が課せられます。
(3)青色申告をするための手順
青色申告をするには、次の2つの書類を税務署に提出します。
- 開業届(「個人事業の開業・廃業等届出書」)
- 青色申告をする届け(「所得税の青色申告承認申請手続」)
そうすると、個人事業主として認められ、さらに青色申告をすることができます。
青色申告で65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記での記帳という、複雑な経理処理が必要になります。
さらに、2021年の確定申告からは、e-Taxによる申告または電子帳簿保存が必須になります(そうでない場合は控除額は55万円になります)。
しかし、最近は、会計ソフトやクラウド型会計サービスが普及していますので、それらを使えば、複式簿記の知識がない人でも複式簿記記帳ができるようになりました。
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青色申告でも単純な簿記での記帳を行うこともできますが、この場合、特別控除額は10万円になります。
(4)何も手続きをしなければ白色申告
青色申告でない確定申告のことを、「白色申告」といいます。白色申告を始めるための手続きはありません。個人事業主が青色申告の手続きをしなければ、自動的に白色申告になります。
白色申告には青色申告のような特別控除はありません。節税や控除のメリットは少ないですが、単式簿記での記帳が許されていて初心者でも申請がしやすいことが白色申告の特徴です。
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(5)雑所得の経費計上
「事業所得の申告条件」に当てはまらない場合、せどりの所得は「雑所得」となります。例えば、サラリーマンの方が副業としてせどりをしている場合は、雑所得となります。
雑所得には、特別控除はありません。また雑所得の場合、経費に計上できる出費が、その収入を得るために直接必要となった経費のみに限定されます。
商品の仕入れの額は経費に計上できますが、商品を出品するためのパソコンなどの設備は経費に計上できません。
3.せどりでさらに得するために
せどりでさらに得するための方法を紹介します。
(1)経費はクレジットカードや電子マネーを利用してポイントをためる
せどり事業では、クレジットカードや電子マネーで支払いをすると特典が生まれます。
クレジット会社のポイントがたまる
せどり事業での出費を、クレジットカードや電子マネーで支払うと、クレジットカード会社や電子マネー会社からポイントをもらうことができます。
個人事業主であれば、プライベートのクレジットカードと区別するために、ビジネス向けの法人カードを利用すると良いでしょう。
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元手0円、黒字運営も不可能ではない
商品の仕入れをクレジットカードで支払い、販売するときに客に現金で支払ってもらえば「元手0円の黒字運用」することができるかもしれません。クレジットカードの支払いは、2カ月後になることが多いからです。
例えば、1月に10万円の商品を仕入れて、クレジットカードで支払ったとします。この時点では、手持ちの現金は減りません。
そして2月に、その商品を販売して現金15万円を得たとします。そのため、3月にクレジットカード会社から10万円が引き落とされても、5万円が残ります。
このように「うまくやれば」元手0円で、5万円の利益を出すことができます。もちろん、3月以降も商品が売れなければ、10万円の赤字になってしまいます。
(2)輸出転売は消費税還付
せどりのうち、輸出転売では、消費税が戻ってくる「特典」があります。これを「輸出商品の仕入れにかかった消費税の還付」といいます。
例えば、日本国内で、本体価格10,000円(消費税10%込価格11,000円)の商品を購入し、海外の消費者に転売したとします。
消費税には「海外で消費される取引は消費税が免除される」というルールがあるので、消費税10%込価格11,000円のうち、消費税分の1,000円がせどり事業者に戻されます。
ただし、「輸出商品の仕入れにかかった消費税の還付」の恩恵を受けることができるのは、前々年の課税売上高が1,000万円を超える「消費税課税事業者」だけです。
まとめ
今回はせどりと確定申告について、
- せどりの所得が20万(副業)、48万(専業)を超えたら確定申告必須
- 確定申告が漏れると「脱税」のペナルティがつく
- 専業でせどりをするなら青色申告が断然有利
ということをお伝えしました。確定申告について難しく感じる方もいるかもしれませんが、スマホでの申請やe-Taxを利用したオンライン申請も可能になりました。
確定申告の詳しい方法は次の記事でわかりやすく解説していますので併せてご確認ください!