2019年参院選 税金の政策・公約比較
2019年6月26日臨時閣議により、参議院選挙が7月21日に行われることが決まりました。今回の選挙では改選数が3増え…[続きを読む]
7月10日の第24回参議院議員選挙に向けて各党とも政策・公約(マニフェスト)を掲げていますが、その内容は多岐にわたり複雑です。社会保障、経済政策、憲法改正など大きな論点が目白押しですが、相続税・贈与税がどうなるかも気になるところです。
そこで、税制に絞って各党の政策・公約を比較してみました。政策は与党vs野党という図式で比較されることが多いですが、細かく見るとそれぞれの党で異なりますので、注目する価値はあります。たとえば、消費税増税反対と一口に言っても、延期/凍結/廃止と意見は分かれています。また、増税/減税というスローガンだけが独り歩きをし、実際の数値で捉え切れていない感がありますので、現在の国の税収を踏まえながら今後の税制のあるべき姿についても探ってみます。
※「2019年参院選 税金の政策・公約比較」は下記をご参考ください。
まず、各党の政策・公約(マニフェスト)を税制面に絞って箇条書きしてみます。各党のホームページやTV・新聞メディアでのニュース情報を参考にしていますが、間違いがある場合にはご容赦ください。各政党のWEBサイトのリンクについては、参院選特設サイトがある場合はそのページに、ない場合は政党のトップページに対してリンクを貼っています。
・消費税率10%への引き上げを2019年10月まで延期。
・消費税増税と合わせて軽減税率制度を導入。
・消費税の増税分は社会保障に限定(税と社会保障の一体改革)。
・所得税の配偶者控除の見直し。
・企業版ふるさと納税で地方を支援。
・所得税、相続税、金融課税などの強化。
【出典】自民党:2016年参院選特設サイト
・消費税率10%への引き上げを2019年4月まで延期。
・消費税の軽減税率制度を中止し、給付付き税額控除を導入。
・所得税の特定支出控除を拡大。
・金融所得の税率を5%引き上げ、高所得者の所得税率を引き上げ。
・資産課税について、中長期的に最高税率を含む税率構造の見直し。
・大企業、富裕層に公正で応分の税負担を求める。
・タックス・ヘイブン(租税回避地)を利用した税逃れの防止。
【出典】民進党:参院選2016
・消費税率10%への引き上げを2019年10月まで延期。
・消費税増税と合わせて軽減税率制度を導入。
・消費税の増税分は社会保障に限定(税と社会保障の一体改革)。
【出典】公明党:参院選2016
・消費税10%増税への引き上げを先送りでなく中止。
・大企業優遇税制(研究開発減税などの租税特別措置・連結納税制度・配当益金不算入制度)の見直し、4兆円の財源確保。
・法人税減税を中止し、中小企業を除いて実効税率を安倍政権以前の水準に戻す。
・配当所得の源泉分離課税を廃止、総合課税に一本化し、富裕層の配当所得には所得税・住民税の最高税率を適用。
・富裕層の株式譲渡益の高額部分に対して欧米並みに30%課税。
・所得税・住民税の最高税率を引き上げ(現行55%→65%)、相続税の最高税率を引き上げ(現行55%→70%)。
・富裕税を創設、相続税評価額で5億円を超える資産を持つ富裕層(全世帯の0.1%程度)の5億円を超える資産に対して、1~3%程度の累進の低率で毎年課税し、8000億円前後の税収を確保。
・富裕層への適正な課税で3兆円以上の財源が確保できる。
・タックス・ヘイブン(租税回避地)を利用した税逃れの防止。
・「為替投機課税」を新設。東京外為市場の取引額に0.01%程度課税し、1兆円前後の収入。
・環境税強化
・「能力に応じた負担」に基づく所得税改革。所得税の税率について、累進的に1.5~15%を上乗せし、6兆円程度の財源を確保。
【出典】共産党:参議院選挙政策
・消費税増税は凍結。
・消費税の軽減税率制度を中止し、給付付き税額控除を導入。
・消費税の地方税化、税率設定を地方に任せる。
・国が需要額を算定して交付する地方交付税制度を廃止、新たな財政調整財源として財源の配分を地方が合議で決める地方共有税を創設する。
・世襲議員が資金管理団体を通じて財産を承継する際、相続税が非課税になるという問題を是正する。
・歳入庁設置(国税庁と日本年金機構の徴収部門の統合)により税と社会保険料を一体徴収する。
・消費税10%増税への引き上げを先送りでなく中止。
・所得税の累進性の強化、金融資産課税の強化、大企業向け政策減税の抜本的見直し、法人税率引き上げ(中小企業は除く)など、「所得再分配」機能と「応能負担」を回復させる公平・公正な税制抜本改革。
・タックス・ヘイブン(租税回避地)対策を強化し金融取引税などの国際連帯税を導入。
・相続税・贈与税の課税強化
・富裕税を創設。
・高級品への物品税を導入。
・消費税増税は延期。
【出典】生活の党:2016年参議院議員選挙
http://www.seikatsu1.jp/special/2016sangiin
(現在、リンク先なし)
・消費税増税延期と軽減税率に関して自民党を支持。
・アベノミクスを支持しながら「家庭ノミクス」を提唱。
・内部留保を格差対策(賃上げ、正社員化、下請け価格引き上げや社会への寄付)等に活用した企業にのみ、法人税の実効税率29%への引き下げ
・消費税は地方財源とした上で、福祉目的税化し、地域の実情にあった福祉サービスを提供するための財源にする。
【出典】新党改革:2016約束
・消費税の再増税を当分の間停止。軽減税率の導入に反対。
・消費税マイレージを導入。
【出典】日本の心を大切にする党:参議院選挙2016
https://nippon-kokoro.jp/election/div/san_2016/
(現在、リンク先なし)
・消費税増税は延期ではなく中止し、5%に引き下げ、将来的には廃止。
・法人税の実効税率を20%程度に大幅引き下げ。
・所得税、法人税を低税率(10%程度)のフラット・タックス(一律課税)に。
・相続税・贈与税や、遺留分制度の廃止。
・「小さな政府」で個人や民間の自由を拡大。
・消費税増税を中止。
・所得税(個人・法人)の不公平を是正。
【出典】国民の怒りの声
各党の政策・公約を箇条書きしましたが、それぞれの政策にどのような意味があるか主要な政策については、下記をご覧ください。
各政党の税制関連の政策・公約を税金の科目ごとにまとめます。
政党 略称 |
所得税 | 消費税 | 法人税 | 相続税 |
---|---|---|---|---|
自民 | ・配偶者控除の見直し ・強化 |
・増税2019年10月まで延期 ・軽減税率導入 ・増税分は社会保障に限定 |
・実効税率20%台まで 引き下げ |
・強化 |
民進 | ・特定支出控除拡大 ・金融所得の税率5%引き上げ ・高所得者の税率引き上げ |
・増税2019年10月まで延期 ・給付付き税額控除導入 |
・大企業に応分の負担 | ・税率の見直し ・富裕層に応分の負担 |
公明 | ・増税2019年10月まで延期 ・軽減税率導入 ・増税分は社会保障に限定 |
|||
共産 | ・富裕層の配当所得、 譲渡所得に対する課税強化 ・最高税率引き上げ ・全体的に税率引き上げ |
・増税中止 | ・大企業の税率引き上げ | ・最高税率引き上げ ・富裕税の創設 |
維新 | ・増税凍結 ・給付付き税額控除導入 ・地方税化 |
・議員の相続税 回避問題の対処 |
||
社民 | ・累進課税強化 ・金融資産課税強化 |
・増税中止 | ・大企業向け 政策減税の見直し ・税率引き上げ |
・課税強化 ・富裕税の創設 |
生活 ※ |
・増税延期 | |||
改革 | ・自民党案を支持 ・地方財源化 |
・内部留保を格差対策に 活用した企業のみ減税 |
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日本 ※ |
・増税停止 ・軽減税率反対 ・消費税マイレージ導入 |
|||
幸福 | ・最終的に10%程度 | ・増税中止、5%に引下 | ・実効税率20%に引下 ・最終的に10%程度 |
・廃止 |
怒り | ・不公平を是正 | ・増税中止 | ・不公平を是正 |
※生活:生活の党と山本太郎、日本:日本のこころ