年間に10万円を超える医療費を支払った場合は、確定申告で「医療費控除」の適用を受けると、所得税・住民税の一部が還付さ…[続きを読む]
医療費控除はいつからいつまで?【2025年版】
医療費控除の確定申告はいつからいつまでできるのか? 医療費控除の対象はいつからいつまでか? をわかりやすく解説します。
目次
1.医療費控除の確定申告はいつからいつまで?
(1)医療費控除の確定申告の開始は2025年1月1日から
医療費控除をすると、所得税の一部が還付されます(戻ってきます)。さらに、その年に支払う住民税も安くなります。
会社員・公務員等のサラリーマンで年末調整をしている人の場合、医療費控除の確定申告は「還付申告」と呼ばれ、還付を受けるための申告となります。
通常の確定申告は、2025年の場合、2月17日(月)から3月17日(月)までですが、2024年分(令和6年分)の医療費控除の「還付申告」は、2025年1月1日から可能です。
とはいっても、元旦は税務署はお休みですので、実質的には、2025年1月6日(月)8:30からのスタートとなります。
e-Tax(電子申告)であれば、土日祝日も申告できますが、残念ながら、1月1日~1月5日までは、システムのメンテナンスの影響で利用できませんので、やはり、1月6日(月)8:30からになります。
医療費控除の「還付申告」といっても、やり方は通常の確定申告と同じです。具体的な申告方法については、以下の記事をご覧ください。
不動産経営もしている方や、フリーランス・自営業者の方は、通常の確定申告が必要ですので、2月17日~3月17日の間に行います。
e-Tax(電子申告)であれば、1月6日 8:30から可能です。
e-Tax(電子申告)であれば、1月6日 8:30から可能です。
(2)医療費控除の確定申告の期限は2029年12月31日まで
通常の確定申告の期限は3月17日(月)ですが、医療費控除の「還付申告」の期限は、5年後、つまり、2029年(令和11年)12月31日です。かなり先ですね。
その間であれば、いつでも医療費控除の還付申告をできますし、何度やり直しても大丈夫です。
とはいっても、12月29日~1月3日の年末年始は税務署がお休みですので、実質的には、2029年(令和11年)12月28日(金)までとなります。
(3)できれば通常の期限3月17日までがオススメ
医療費控除の還付申告の期限は、2029年12月31日まででありいつでも可能ですが、できれば、通常の確定申告の期限である2025年3月17日(月)までにすることをオススメします。
なぜかというと、通常の確定申告の期間内の申告であれば、よほど怪しい点があったり大きな金額でないかぎり、税務署から質問を受けることはほぼないからです(絶対にないとは言い切れませんが、筆者は15年以上毎年還付申告を行っていますが、後日、税務署から一度も質問されたことはありません)。
税務署もたくさんの確定申告書を受領しますので、一件ずつすべて細かくチェックするのは不可能でしょう。
しかし、確定申告期限3月17日を過ぎてから行うと、もし税務署が暇な時期であれば、細かくチェックして質問してくる可能性もあります。場合によっては、領収書の提出を求められるかもしれません(あくまでも可能性ですが、期限前に申告するよりは可能性が高まります)。
対応すればよいのですが、やはり面倒くさいですので、できれば3月17日までに還付申告を済ませると良いでしょう。
2.医療費控除の対象年度はいつからいつまで?
さきほど、医療費控除の「還付申告」の期限は「5年後」と書きました。ということは、2020年分(令和2年分)の医療費控除の還付申告はまだ間に合います。
2025年中にできる医療費控除の「還付申告」の対象年度は、2020年分(令和2年分)から2024年分(令和6年分)までです。2019年分(令和元年分)の医療費控除については期限が過ぎていますので、できません。
それぞれの年度の期限を整理すると次のようになっています。
対象年度 | 還付申告の開始 | 還付申告の期限 |
---|---|---|
2019年(令和元年) | 2020年1月1日 | 2024年12月31日(✕) |
2020年(令和2年) | 2021年1月1日 | 2025年12月31日(◯) |
2021年(令和3年) | 2022年1月1日 | 2026年12月31日(◯) |
2022年(令和4年) | 2023年1月1日 | 2027年12月31日(◯) |
2023年(令和5年) | 2024年1月1日 | 2028年12月31日(◯) |
2024年(令和6年) | 2025年1月1日 | 2029年12月31日(◯) |
最大5年分の医療費控除の還付申告が可能ですが、年度がまたがる場合は、それぞれの年度ごとに還付申告を行う必要があります。すべての年度をまとめて還付申告することはできません。
たとえば、2022年10月の医療費と、2023年2月の医療費について医療費控除を受けたい場合、2022年分の還付申告と、2023年分の還付申告が別々に必要です。
3.医療費控除に間違いがあったときの期限はいつまで?
医療費控除の還付申告をしたが、その内容や金額に間違いがあったときは、後日、「更生の請求」または「修正申告」をします。それぞれ期限が異なります。
(1)医療費控除に漏れがあるなど、還付される税金が少なすぎた場合
申告した医療費の一部に漏れがあったとか、記入した金額が少なすぎたとかで、還付される税金が少なすぎた場合は、「更生の請求」を行います。
「更生の請求」とは、税金を多く払いすぎたので還付してもらうための手続きです。「更生の請求」は必須ではなく任意です。還付される金額が少なくて面倒くさければ、行わなくても大丈夫です。
「更生の請求」の期限は、通常の申告期限(法定申告期限)から5年以内です。通常の申告期限は2025年3月17日ですので、2024年分(令和6年分)の医療費控除に関する「更生の請求」の期限は、2030年3月17日までということになります。
なお、「更生の請求」を行うと、たいていの場合、税務署から質問されたり領収書の原本の提出を求められます。ここで領収書が見つからないということになると、その医療費に対する医療費控除そのものを取り消される可能性もありますので注意しましょう。
ちなみに、「更生の請求」とは、一度すでに申告をしている人が間違いがあったときに行う手続きです。申告を一度もしていない人が医療費控除を初めて行う場合は、通常の「還付申告」となり、期限は2029年12月31日までです。
(2)医療費控除に重複があるなど、還付される税金が多すぎた場合
申告した医療費が重複していたとか、記入した金額が多すぎたとかで、還付される税金が多すぎた場合は、「修正申告」を行います。
「修正申告」は、期限はなく、誤りに気づいたら速やかに行う必要があります。そして、修正申告をした日に追加の税金を納税します。
なぜかというと、支払った税金が少なすぎたのですから、税金が未払いの状態になっているからです。
税金が未払いだった場合、ペナルティとして次のような加算税がかかります。
- 延滞税:納付期限から2ヶ月以内は2.4%、2ヶ月超は8.7%(2025年時点)
- 過少申告加算税:10~15%、ただし、自主的に修正申告をした場合は発生しない
大きな過失がなく、単純に誤りであり、気づいてすぐに修正申告をして納税すれば、過少申告加算税がかかることはないでしょう。延滞税も1,000円未満の場合にはかかりません。