確定申告の医療費控除、保険金・入院給付金の申告漏れはバレる? ばれない?

保険金や入院給付金を受け取った場合、医療費控除を申請する際に医療費から差し引く必要があります。当然その分、控除額が下がってしまいます。

この記事では、医療費控除で保険金・入院給付金の申告漏れがあった場合ばれてしまうのか、ばれたらどうなってしまうのか解説します。

1.医療費控除で保険金・入院給付金の申告漏れが生じるケース

医療費を支払った年と、保険金や入院給付金を受け取った年がずれると、申告漏れが生じやすいです。

医療保険は、医療費を支払っても自動的に支払われるわけではありません。自ら請求してはじめて支払われます

保険金を請求するタイミングは、病気の種類や保険の種類によって異なりますが、たいていの場合、治療が終了して(入院時は退院後)落ち着いてから請求することが多いです。

過去分の医療費控除に対して保険金を受け取ったら修正申告が必要

保険金を請求できる期間は、権利発生日の翌日から3年以内であり、それを過ぎると時効ですが、3年を過ぎても請求すれば支払われることもあります。

そうなると、支払った医療費の医療費控除を申告する時点では、まだ保険金は入金していませんので、保険金の金額を差し引くことはできません

その後、何年か経過してから保険金を請求すると保険金が支払われます。その際には、医療費控除を受けた年度分の確定申告に対して修正申告をする必要がありますが、それを忘れてしまうケースも多いでしょう。

見込み金額と入金された保険金額が異なるときは、修正申告 or 更正の請求が必要

支払った医療費の医療費控除をする際に、受け取る保険金の金額の見込みがわかっていれば、その金額を差し引きます。

その後、見込みより受け取った額が多ければ「修正申告」を、見込みより受け取った額が少なければ「更正の請求」をします。

2.100万円超の支払いでは、支払調書の提出でバレる

1回の保険金の支払金額が100万円を超えると、保険会社は、税務署に「生命保険契約等の一時金の支払調書」を提出しなければなりません。

そうなると、誰がいつ、いくら保険金をもらったのかを税務署は把握しますので、申告漏れがあるとバレてしまいます。

支払調書 保険金

1回あたり100万円以下の支払いであれば、支払調書は不要ですので、申告漏れがあっても、バレにくくなるでしょう。

しかし、税務署は、個人口座の入出金の履歴を閲覧する権限を持っていますので、調査されれば、保険金を受け取ったことがバレてしまいます。

高額な医療費を支払っていれば、保険金を受け取っている可能性があることを、税務署は目をつけてくるはずです。

バレるとどうなる?

受け取った保険金を差し引いていないということは、税金を少なく申告して納税していることになります。

申告漏れがバレると、修正申告をすることになり、足りなかった税金に対して「延滞税」がかかります。また、「過少申告加算税」もかかるでしょう。

故意に申告しなければ、脱税ですので、税率が高い「重加算税」がかかる可能性もあります。

3.なぜ、保険金を医療費から差し引くのか?

保険金は医療費を補てんするものなのに、なぜ医療費から差し引いて申告するのか?と疑問に思われる方もいるでしょう。

保険金・給付金は、いわゆる利益ではなく、損失を補てんするものですので、個人の場合、受け取ったときは非課税です。ということは、逆に、医療費控除から、その補てんされた分を引かないと、保険金で得をすることになってしまいます。

医療保険は、損害保険の一種であり、実損額を補償するものです。保険で得をすれば、「損失補償」という本来の保険の趣旨に反してしまいます。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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