マイナンバーカードの暗証番号(パスワード)を忘れたらどうすればいい?
マイナンバーカードの暗証番号(パスワード)が分からない、忘れてしまったという方に、対応方法をお伝えします。[続きを読む]
マイナンバーカードは、「健康保険証」(マイナ保険証)としても使えますが、他人の情報が登録されるなど、トラブルが続出しています。
そのような状況の中で、2024年秋に、従来の健康保険証が廃止され、マイナ保険証に一本化されることになっており、セキュリティの不安などから、国民や医療機関から、反対の意見が続出しています。
マイナ保険証のデメリット・個人情報の漏洩リスクなどの疑問点について解説します。また、メリットもありますので、合わせて掲載します。
マイナ保険証はマイナンバーカードを健康保険証として利用するもので、2021年10月から始まりましたが、マイナンバーカード関連で次のようなトラブルが続出しています。
このほかにもトラブルは多数あり、マイナ保険証の利用に対する国民の不安が高まっています。
現時点では、マイナ保険証を利用する場合でも、通常の紙の健康保険証も持参されることを強くオススメします。
マイナンバーカードを健康保険証として利用すると、いろいろなデメリット・問題点があり、個人情報が漏れるリスクもあります。
一番の心配事として、個人情報漏洩があります。
個人情報漏洩対策として、医療機関や薬局は「12桁のマイナンバー」を使いません。
医療機関・薬局がするのは、マイナンバーカードのICチップに保存されている、電子証明書を利用して、オンライン確認システムにアクセスして、患者さんの医療情報を入手するだけです。それ以外の情報を使うことはありません。
マイナンバーカードの裏面には「12桁のマイナンバー」が明示されています。悪意のある病院の受付職員などが、利用者の「12桁のマイナンバー」を暗記することは可能です。
しかし、マイナンバー「だけ」を知っている状態では、何も手続きもすることはできず、悪用される可能性は低いです。
最も問題なのは、マイナンバーカードが盗難にあったり、紛失したときです。
現在のところ、マイナンバーカードに医療情報は入っていません。
ITに詳しい悪意ある人が、他人のマイナンバーカードを入手して、ICチップに保存されているデータを解読できたとしても、受診歴や薬剤情報などが漏れることはありません。
ただし、マイナンバーカードの数字4桁の暗証番号(パスワード)が漏れてしまうと、そのカードでマイナポータルにログインして、医療情報だけでなく、納税や所得の情報などを閲覧することができてしまいます。
また、マイナンバーカードを持っていて4桁の暗証番号がわかれば、コンビニで住民票や印鑑登録証明書を取得できます。
4桁の暗証番号は3回間違えるとロックがかかってカードを利用できなくなりますが、誕生日などわかりやすい番号をつけていると、万が一、ログインされてしまうおそれもあります。
マイナンバーカードの盗難・紛失のときは、下記の電話番号に連絡すれば、24時間365日、カードの利用を一時的に停止できます。
マイナンバーカードを破損したり、水に落としてしまったりすると、ICチップの情報を読み出せなくなる可能性もあります。そうなると、病院や薬局では、その人がどんな保険に加入しているのか把握できませんので、最悪、一時的に、全額自己負担になるおそれもあります。
もちろん、再発行してもらった後で、精算すれば、本来の自己負担分(通常3割)以外は返金されますが、それでも、一時的に痛い出費となるかもしれません。
医療機関でマイナ保険証を利用するには、専用の機械にマイナンバーカードを挿入します。そして、
のどちらかを行います。
ここで、要注意なのがパスワード入力です。4桁のパスワード(暗証番号)の入力を3回連続して間違えてしまうと、ロックされ、マイナンバーカードの情報が読み出せなくなります。そうなると、10割負担になる可能性があります。
暗証番号に自信がない人は、顔認証を選択したほうが無難です。
(顔認証はシステム的に問題があり、誰の顔でも認証が通ってしまうという問題が発覚しています。)
ただし、乳幼児や認知症の高齢者のように、顔を機械に近づけるのが難しい人は、代理人がパスワードを入力することになります。あらかじめパスワードを確認してから医療機関に行ったほうが良いでしょう。
マイナンバーカードを担当する職員が誤って別の人の情報を登録してしまったなどのトラブルが続出しています。その結果、無保険扱いとなり、医療費を10割負担で請求された件数が1,291件ありました(2023年6月21日時点)。
自分にまったく責任がない内容では、医療機関としては、保険加入を確認できなければ10割全額を請求するのが決まりですので、全額自己負担になります。
また、医療機関でのリーダー(機械)の故障で情報を読み出せなければ、10割負担になる可能性が高いです。
その場合、後で保険加入を確認できれば、手続きすることで自己負担分(通常3割)以外は戻ってきますが、その手続は本人が自分でする必要があります。
マイナ保険料を利用する場合でも、紙の健康保険証を一緒に持っていくことを強くオススメします。
このような場合は、市区町村の役場に平日昼間に行って再発行してもらう必要があります。自治体によって異なりますが、今のところ、再発行には、1ヶ月から2ヶ月程度の時間がかかっています。
それまでの間は、病院や薬局では、いったん全額を自己負担し、再発行後に精算することになるかもしれません。もし、再発行されるまでの間に、大きな病気や怪我をして、多額な医療費がかかったら、大事ですね。
さらに、マイナンバーカードは、郵送や代理人による受け取りが基本できませんので、本人が直接窓口に出向いて、再発行されたマイナンバーカードを受け取る必要があります。
役所は、基本、平日の昼間しか営業していませんので、仕事がある人は休暇をとって受け取りにいく必要があります。マイナンバーカードの受け取り窓口は混むことが予想され、何日も前に予約をしないと受け取れない自治体もあります。
健康保険証が廃止されてから、マイナンバーカードを紛失したら大変なことになりそうです。
2023年4月時点で、対応している病院や薬局は、全体のうち約6割です。
最終的には、すべての医療機関で利用できるようになる予定で、政府は進めていますが、反対している医療機関もあり、実現するかどうかはわかりません。
せっかく、マイナンバーカードを持っていても、自分が通っている病院や薬局で利用できなければ意味がありません。マイナ保険証に対応していない病院や薬局に行くときは、健康保険証も持っていく必要があります。
結局、健康保険証とマイナンバーカードの2枚を携帯しなければならず、かさばりますね。
子供や高齢者でも保険証は一人ずつ別々に作成されます。
自分自身で病院に行くことができない高齢者がいる高齢者施設などでは、従来、健康保険証を預かっていて、医師に代わりに見せるという運用を行っていました。
健康保険証がマイナンバーカードにかわると、カードを見せるだけではダメで、4桁の暗証番号も入力する必要がありますので、暗証番号とセットで預かる必要があります。
もし暗証番号が漏洩してしまうと、マイナポータルにログインされて個人情報を盗み見られてしまいますので、厳重な管理が必要になります。
高齢者施設でのマイナ保険証の管理は、非常に大変な仕事になるでしょう。
また、乳幼児など自分でカードを管理できない子供についても、親権者が代理で暗証番号を入力することになりますが、子供のマイナンバーカードの暗証番号を忘れてしまったりすると、保険診療を受けられません。親権者も管理が大変になりそうです。
マイナンバーカードを健康保険証として登録する際に、マイナポータル利用規約に同意しますが、その利用規約には次のように記載されています。
つまり、マイナ保険証を利用した結果、何らかの損害を被ったとしても、デジタル庁はすべての責任を負いません。
誤登録、機械の故障、マイナンバーカードの毀損・紛失など、すべての責任は利用者側にあります。
このことを十分に認識したうえで、マイナ保険証を利用する必要があるでしょう。
マイナンバーカードを健康保険証として利用するときの、デメリットや個人情報漏洩リスクを解説しましたが、メリットもいくつかあります。
2022年10月に診療報酬が改定され、マイナ保険証を利用したほうが、窓口で負担する費用が安くなりました。
2023年4月にさらに改定され、次のようになりました。
マイナ保険証 |
従来の保険証 |
|
---|---|---|
初診時 | 6円 | 18円 |
再診時 | (なし) | (なし) |
調剤薬局での利用 | 6ヶ月毎に3円 | 6ヶ月毎に9円 |
実は、2022年4月に一度診療報酬を改定したのですが、マイナ保険証を利用すると窓口負担が高くなりましたので、批判が続出しました。そこで、10月に再度改定し、マイナ保険証を利用したほうが安くなるようにしたのです。
ただ、マイナ保険証導入の費用の一部を国民が負担する形ですので、マイナ保険証と従来の保険証のどちらを利用しても、以前よりも、窓口での負担額は増えています。
最も大きなメリットは、就職・退職・転職・引っ越しなどで、加入している健康保険が変わっても、「切れ目なく」ずっと使えることでしょう。
会社員の人は、会社で、協会けんぽ(主に中小企業)や自社の保険組合(主に大企業)に加入し、その組合が保険証を発行します。
自営業者や無職の人は、国民健康保険に加入し、市町村が保険証を発行します。
そのため、次のような場合は、加入する健康保険が変わるので、健康保険証を切り替えなければなりません。
健康保険証を切り替えると、一時的に、最新の健康保険証が手元にない期間が生じます。過去の健康保険証を利用すると、後で精算手続きが必要であり面倒です。
マイナ保険証であれば、健康保険証の切り替えがなく、安心です。
ただし、加入している健康保険を脱退したり、別の健康保険に加入したりするには、従来どおり、加入/脱退の手続きは必要です。
マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにしておくと、高額療養費の限度額認定証などの書類を、医療機関や薬局に持参しなくてよくなります。「限度額適用認定証」が自動的に適用されるからです。
「高額療養費制度」とは、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が、1ヶ月の限度額を超えるとき、超えた金額が払い戻される制度です。ただ、後から戻ってくるとしても、一時的に高額な医療費を払うのは負担になります。
そこで、あらかじめ、健康保険組合や市区町村に申請して、下記のような「限度額適用認定証」を発行してもらい、それを病院や薬局の窓口に提出すれば、自己負担限度額を超える分は支払う必要はなくなります。
ただ、事前に申請して書類を入手するのは煩わしいです。
マイナ保険証を利用していれば、「限度額適用認定証」が自動的に適用されますので、とても楽です。
高額療養費関連以外にも、不要となる書類がありますので、その一部をあげておきます。
1月1日から12月31日までの1年間の医療費が高額になると、「医療費控除」という、税金が安くなる仕組みを使うことができます。
マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにしておくと、医療費控除の手続きが簡単になります。
医療費控除を行うには確定申告が必要です。確定申告では、かかった医療費の領収書をそろえなければなりませんが、それが必要なくなります。
マイナポータルで、医療費情報を取得できるようになるので、その情報を確定申告に使うことができます。
マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにしておくと、マイナポータルで、自分の薬剤情報や特定健診情報、医療費を確認できます。
さらに、利用者(患者さん)が同意すれば、医師や歯科医師は、その患者さんの薬剤情報と特定健診情報を、オンラインで確認できます。薬剤師も、薬剤情報を確認できます。
過去に服用した薬剤情報を知ることで、より適切な診療をできるようになります。
従来の健康保険証は、2024年秋に、原則、廃止され、マイナ保険証のみになります。
現在は、マイナ保険証を利用するのは任意ですが、健康保険証が廃止されると、好むと好まざるとにかかわらず、全員、マイナ保険証を利用することになります。
ただ、国民や医療機関から批判が多くあがっていますので、政府は、マイナ保険証を持っていない人に「資格証明書」を発行して、保険診療を受けられるようにする予定です。
しかし、それでは、結局、マイナ保険証を持たない人が増えるでしょうから、マイナ保険証と新しい制度が混在するという、より大変な状況になりそうです。
実際にどうなるかはわからず、様子見をしていく必要がありそうです。
医療機関や薬局が使うのは、マイナンバーカードのICチップに保存されている、健康保険に関するデータだけです。それ以外の情報を使うことはありません。
また、仮に「12桁のマイナンバー」を盗み見られたとしても、マイナンバーを知っているだけでは悪用することはできません。
マイナ保険証の盗難・紛失時に、4桁の暗証番号(パスワード)を知られてしまうと、個人情報漏洩リスクがあります。
4桁の暗証番号は、誕生日などわかりやすい番号を避けて、誰にもわからない番号にすると良いでしょう。
マイナ保険証のデメリットをいくつか挙げましたが、どれも利用者の立場から見たデメリットです。政府としてのデメリットは特にありません。なぜなら、デジタル庁はすべての責任を負わないからです。
政府はもともとマイナンバーカードを普及させようとしていました。マイナンバーカードに健康保険証を一本化すれば、マイナンバーカードの作成を半ば強制にできますので、マイナ保険証を導入したと思われます。