給付金・協力金・助成金の勘定科目と仕訳は?課税されるの?

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経済的に厳しい法人や個人事業主向けには、様々な給付金や協力金、補助金、助成金、支援金の制度があります。新型コロナウイルスの感染拡大(コロナ禍)により、さらに多くの制度ができました。

企業や個人事業主が、給付金・協力金などを行政機関から支給されたときの会計仕訳と課税について解説します。

1.給付金・協力金・助成金などに違いはある?

新型コロナ禍対策を含めて事業者支援には、主に次のようなものがあります。

  • 持続化給付金(中小企業、個人事業主向け)
  • 家賃支援給付金(中小企業、個人事業主向け)
  • 雇用調整助成金(法人、個人事業主向け)
  • 小学校休業等対応支援金(個人事業主向け)
  • 小学校休業等対応助成金(法人、個人事業主などの雇用者向け)
  • 休業協力金・支援金(法人、個人事業主向け)
  • 小規模事業者持続化補助金(中小企業、個人事業主向け)

「給付金」、「助成金」、「支援金」、「補助金」、「協力金」といった、いろいろな名称がありますが、これらは何が違うのでしょうか?

結論からいいますと、会計上、仕訳をするうえでは、多くの場合、違いはありません。名称が何であっても、仕訳方法は同じです。

※ただし、一部の給付金・助成金によっては、異なる可能性もありますので、それぞれ支給する公的機関にご確認ください。

【参考】名称の意味

参考までに、それぞれの名称の意味合いについて、簡単に触れておきます。

明確に定義づけされているのは「補助金」と「助成金」です。

「補助金」とは、国や自治体がある政策を実現するために、事業主から応募を募って審査を行い、目的に合致したものに対して交付されるお金です(IT導入補助金など)。
「助成金」も補助金と似たような概念ですが、補助金ほど審査が厳しくなく支給されることが多いお金です(雇用調整助成金など)。

「給付金」は幅広い対象に対して利用されており、一定の条件を満たせば必ず支給されます(持続化給付金など)。
「協力金」、「支援金」という名称が使用されることもあります(東京都感染拡大防止協力金、埼玉県中小企業・個人事業主支援金など)。

2.給付金・協力金・助成金などの勘定科目と仕訳方法

給付金・協力金・助成金などは、一般的に、国や地方自治体から支給される返済義務がないお金です。
本業の売上以外の収入になりますので、「雑収入」勘定で仕訳します。
補助金、支援金など、名称が何であっても、同じ性質のものは、同じ方法で仕訳します。

例えば、50万円の給付金が入ったら、次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
預金 500,000円 雑収入 500,000円(不課税)

※「(不課税)」は消費税区分ですが、別途、解説します。

計上時期

多くの場合、国や自治体から交付対象の事業者に「支給決定通知書」が送付されます。
その支給決定通知書に、「支給決定日」が記載されていれば、その日が収入として計上するタイミングとなります。

実際の振込(入金)は、支給決定通知書が届いたあとになることが多いですが、その場合でも、「支給決定日」が計上時期となります。

たとえば、12月決算期の事業者で、支給決定日が12月1日、入金日が翌年1月10日の場合、給付金は12月1日に収入として計上することになります。つまり、当年の事業年度で計上します。
そして、次のように仕訳します。

<当年度の仕訳 支給決定日:12月1日>
借方科目 金額 貸方科目 金額
未収入金 500,000円 雑収入 500,000円(不課税)
<翌年度の仕訳 入金日:1月15日>
借方科目 金額 貸方科目 金額
預金 500,000円 未収入金 500,000円

未収入金には、本業以外の債権という意味があります。給付金・協力金などは本業ではないので、未収入金で仕訳します。

支給決定日の記載がない場合

支給決定通知書に支給決定日の記載がない場合は、支給決定通知書が届いた日、または、入金された日のどちらか早い日に、収入として計上します。

3.給付金・協力金などの消費税・所得税・法人税について

給付金・協力金などは雑収入勘定になりますが、消費税は課税されません(会計上の消費税区分は「不課税」です)。給付金の受給は、資産の譲渡の対価ではないからです。

しかし、給付金・協力金などには、所得税や法人税が課税されます

確定申告では、給付金・協力金などを、他の収入に含め、そこから費用を差し引いて、所得を求めます。
所得(収入-費用)が最終的に赤字であれば、所得税や法人税はかかりません。黒字の場合には、所得税と法人税がかかります。

個人向けの給付金などは非課税の場合が多いですが、事業者向けの給付金などは、売上や利益の減少を補ったり、経費をサポートするという意味合いがありますので、給付金により利益が発生していれば、税金という形で返還してもらうという考え方でしょう。

簡単なシミュレーション

ある企業が、次の状態で確定申告をするとします。

  • 本業の売上高:消費税10%込み5,500万円
  • 給付金:100万円
  • 費用:消費税10%込み2,200万円

この場合、法人税は「消費税別の売上高5,000万円+補助金100万円-消費税別の費用2,000万円=3,100万円」に課税されます。

税込経理の場合は、消費税込み売上高や税込み費用から消費税を抜き、消費税が課せられていない補助金は全額計上します。

東京都は非課税を要望したが、国は認めず

東京都は、都の要請で休業をした飲食店などに「感染拡大防止協力金」を支給しています。

都は国に対して、当初、この協力金を非課税にするよう要望しましたが、その要望は通りませんでした。
そのため、都は、協力金として受け取ったお金は、所得税や法人税の計算上、収入金額や益金に加えるよう呼び掛けました。

ただ、協力金を含めても赤字になれば、課税所得は生じず、税金も課せられません。

管轄の行政機関のホームページを確認してください

給付金・協力金などは原則、所得税と法人税が課されますが、国が特別な政策として実施した場合は、非課税になる可能性はゼロとはいえません。

給付金・協力金などを活用する場合は、それを管轄している行政機関のホームページで確認することをおすすめします。

4.持続化給付金の勘定科目と仕訳

中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円支給される「持続化給付金」の会計処理についても、通常の給付金と同様です。

持続化給付金の勘定科目は「雑収入」を利用します。

例えば、100万円の給付金が入ったら、次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
預金 1,000,000円 雑収入 1,000,000円(不課税)

まとめ

給付金・協力金・助成金・支援金・補助金など、名称が何であっても、国や自治体などから支給され返済が必要ないお金はすべて「雑収入」になります。本業の売上高ではない収入という扱いになります。

収入の計上時期は、支給決定通知書に記載された支給決定日となります。

また、給付金・助成金などに消費税は課せられませんが(不課税)、所得税と法人税は課税されます。

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服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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