【2024年版】医療費控除の明細書の書き方(記入例つき)
医療費控除を受けるには、領収書を提出する代わりに「医療費控除の明細書」を提出します。書類の書き方について、記入例を利…[続きを読む]
市販の風邪薬であっても、領収書をちゃんと集めれば、医療費控除の対象として手続きすることができるということ、ご存じでしたか?
この記事では、どんな風邪薬が医療費控除の対象になるのか、控除手続きはどう進めるのかを紹介します。
目次
「医療費控除」と言えば、「病院で支払った医療費のみが対象」と思われがちですが、ドラックストアなどで購入した風邪薬なども「医療費控除」の対象になります。
始めに、「医療費控除」について簡単におさらいしておきましょう。
「医療費控除」とは、年間で一定額以上の医療費を支払っている場合に、課税される所得から一定の金額を差し引くことができる制度です。「医療費控除」の適用を受けることで、所得税が減税になります。それだけではなく、所得税を基礎に計算される住民税も減税になります。
すべての医薬品が医療費控除の対象になるわけではありません。
「医療費控除」の対象になる医薬品かどうかの判断は、「治療を目的とした医療費」なのか、それとも「予防を目的とした医療費」なのかで判断を行います。
例えば、ビタミン剤などのサプリメント、常備薬(酔い止めなど)、目薬などは「予防を目的とした医療費」に該当しますので、「医療費控除」の対象になりません。
また、漢方薬やビタミン剤、栄養ドリンクなどは原則的に「予防を目的とした医療費」に該当しますので、「医療費控除」の対象外になりますが、薬事法第2条《医薬品の定義》に定められている「医薬品」に該当し、風邪などの治療や療養で使う場合は「医療費控除」の対象になります。
「医療費控除」は「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価」も対象になります。ただし、疲れを癒したり、体調を整えたりといった治療に直接関係のないものは対象になりませんので注意が必要です。
また、上記の施術を国家資格を持たない人が行った場合は「医療費控除」の対象になりません。エステサロンなどでのマッサージは国家資格を持つ人からの施術ではありませんので、「医療費控除」には該当しません。
医療費控除の対象になる費用 | 医療費控除の対象にならない費用 | |
---|---|---|
医薬品 | ・病気やけがの治療や療養に必要な医薬品の購入 ・医師等の処方や指示による医薬品の購入 |
・疲労回復、健康増進のためのサプリメント |
あん摩マッサージなど | ・治療のためのあん摩マッサージ指圧師、 はり師、きゅう師、柔道整復師などによる施術 |
・疲労回復を目的とする施術 ・無資格者による施術 |
病院での診察で健康保険を適用した医療費や薬代には消費税はかかりません。
しかし、ドラックストアで購入した医薬品には消費税が課税されます。「医療費控除」の適用を受ける場合には、消費税を含めた金額で計算を行なうことができます。
医薬品を購入した店舗によっては、対象となる医薬品の価格が税抜価格でレシートに表示されている場合がありますので、計算を間違わないように注意しましょう。
「医療費控除」は、年間で一定の医療費を支払った場合に所得税及び住民税が減税される制度です。
会社員や公務員の方が所得税と聞くと「年末調整」を思い浮かべるかもしれませんが、「医療費控除」の適用を受けるには「確定申告」が必要です。
ここでは、「医療費控除」の適用を受けるための手続きをご紹介します。
医療費控除の対象になる金額は10万円が目安です。この金額は、支払った医療費から保険金などの給付で補填された金額と10万円を差し引いた金額の差額が、所得から差し引ける「医療費控除」の金額になります。
ただし、所得の金額が200万円以下の人は10万円ではなく、所得金額の5%を差引きますので、医療費に支出した金額が年間10万円未満でも「医療費控除」の適用を受けられる場合があります。
また、「医療費控額」の上限は200万円までになります。
具体的な医療費控除の計算式は次のとおりです。
以前は、「医療費控除」の適用を受けるために、対象となる全ての医療費の領収書を確定申告書に添付する必要がありました。
しかし、2017年の税制改正により医療費控除の見直しが行われ、対象となる医療費の領収の添付が必要なくなりました。その代わりに、「医療費控除の明細書」の添付が必要になっています。医療費の領収書の添付が必要なくなりましたが、医療費の領収書は「確定申告期限から5年間」自宅等で保管しなければなりません。
「医療費控除の明細書」には、対象となった医療費について以下の事項を記入しなければなりません。
とはいえ、対象になる全ての医療費について上記の事項を記入するのは大変です。2017年の税制改正では、確定申告のときに「医療費通知」を添付することで、「医療費控除の明細書」の記入を大幅に省略できるようになりました。「医療通知」とは、加入している健康保険組合などから送付されてくる書類です。
この書類には、次の事項が記入されています。
医療費通知に記載されていない医療費について医療費控除の適用を受ける場合には、領収書から明細書の「医療費控除の明細書」に記入する必要があります。
ここまでは、「医療費控除」についてご紹介しました。医療費についてほかにも、所得税法では「医療費控除」以外に「セルフメディケーション税制」という「医療費控除」に似た減税制度があります。「セルフメディケーション税制」とは、医療費控除の特例で2017年1月~2021年12月までの5年間に適用される減税制度です。
「セルフメディケーション税制」では、薬局やドラックストアで販売している医薬品の購入費用が控除の対象になります。
ドラックストアなどで販売している風邪薬などの医薬品はOTC医薬品と言われ、年間のOTC医薬品の購入額が12,000円超える場合に、その超えた金額を所得金額から控除することができます。(上限88,000円)
日本OTC医薬品協会が薬について詳しく説明をしていますので、購入する際に参照してみてください。
セルフメディケーション税制と医療費控除の違いは、対象になる医療費が異なります。医療費控除は、治療にかかる全ての費用を対象にしていますが、セルフメディケーション税制ではドラックストアなどで購入する「市販薬」のみに限定されています。
また、「セルフメディケーション税制」は、「医療費控除の特例」という形で創設されているため、医療費控除との併用はできません。病院などの治療費とドラッグストアなどの市販薬の購入がどちらともある場合は、どちらが有利になるか検討する必要があります。
セルフメディケーション税制は12,000円を超える金額が対象となるため、医療費控除と比べて適用を受けるハードルが低く、お手軽に利用できる税制です。特に、病院へあまり行く時間がなく、具合が悪いときはドラックストアで市販薬を購入している人向けの減税制度ですので、ドラックストアで市販薬を購入する場合には、レシートを捨てずに取っておきましょう。
今回は、「風邪薬などの医薬品を購入した場合に減税制度」についてご紹介しました。ドラックストアなどで購入した市販薬でも、治療のために購入したのであれば「医療費控除」の対象になります。
医療費控除が受けられる10万円分の購入がない場合でも、「セルフメディケーション税制」の適用を受ければ所得税・住民税を減税することができます。
ドラックストアでの市販薬の購入が多い方は、レシートを捨てずに取っておき、確定申告をすることで所得税の還付を受けられる可能性があります。
「医療費控除」と言えば、「病院で支払った医療費のみが対象」と思われがちですが、ドラックストアなどで購入した風邪薬なども「医療費控除」の対象になります。
すべての医薬品が医療費控除の対象になるわけではありません。
ざっくりとした基準でいうと、「治療を目的とした医療費」は医療費控除の対象になり、「予防を目的とした医療費」は医療費控除の対象にはなりません。
病院での診察で健康保険を適用した医療費や薬代には消費税はかかりませんが、ドラックストアで購入した医薬品には消費税がかかりますよね。
ドラッグストアで購入した風邪薬の代金で医療費控除の適用を受ける場合、消費税を含めた金額で計算を行なうことができます。