消費税増税で家計にどのくらい影響があるの?負担増シミュレーション

家計 影響

2019年10月1日に消費税が10%に増税されました。
家計への影響を心配する人、増税前に買い物しておかなきゃと慌てる人もいることでしょう。

実は、今回の増税では、今までの3回の増税と違うことがいくつかあり、皆さんが心配するほど家計への負担がすぐには大きくならない可能性が大きいです。
何が今までの増税と異なり、どのくらい負担が増すのか、わかりやすく解説します。

1.みんなの心配ごとは?

消費税率の引き上げにあたり、みんなが気にしているのは家計への影響でしょう。

増税にあたり世間の人が具体的に何を心配しているか、楽天市場が「増税前の意識調査」アンケートを実施していますので、まずは、その中でも家計の影響と関連のありそうなものをピックアップして紹介したいと思います。

【出典】楽天市場:かしこく・らくらく消費税増税対策|1,200人に意識調査「どうする!?増税前のお買い物」

なお、アンケートは以下の通り行われたものです。

調査対象:計1,200名 (20代/30代/40代/50代/60代/70代 男女 各世代200名)
調査日:2019年6月25日(火)

【増税の影響を受けると感じている支出項目は?】

  • 1位 食品(74.1%)
  • 2位 生活日用品(66.8%)
  • 3位 光熱/水道(51.6%)
  • 4位 レジャー費(37.5%)
  • 5位 通信費(36.4%)

主に「食品」「生活日用品」「光熱/水道」と生活費への影響を懸念している人が多いことがわかります。特に1位の食品は、7割以上の人が影響を受けると感じています。

【増税前に購入した、または購入する予定のものは?】

  • 1位 ティッシュペーパー・トイレットペーパーなどの日用品(37.4%)
  • 2位 ミネラルウォーター・お米などの食料品(27.9%)
  • 3位 シャンプーなどの化粧品(25.1%)
  • 4位 衣類・靴などの被服類(23.3%)
  • 5位 テレビなどの黒物家電、タブレット端末、スマートフォン(23.3%)
  • 6位 最新式のエアコン、洗濯機、冷蔵庫などの白物家電(21.5%)
  • 7位 ビール、焼酎などの酒類(21.0%)
  • 8位 自動車(18.5%)
  • 9位 料理酒、みりん風調味料などの液状調味料類(15.6%)
  • 10位 最新式でないエアコン、洗濯機、冷蔵庫などの白物家電(13.8%)

アンケートの結果、「ティッシュペーパーなどの日曜品」や「ミネラルウォーター、お米などの食料品」が上位にきていて【増税の影響を受けると感じている支出項目は?】での結果とかなり近い傾向があります。また、9位にも食品に関する項目である「料理酒、みりん風調味料などの液状調味料類」がランクインしています。

【今回の増税に関する理解度はどのくらいですか?】

  • 1位 消費税が2019年10月に増税することを知っている(81.8%)
  • 2位 消費税が10%に上がることを知っている(68.3%)
  • 3位 「軽減税率制度」が始まることを知っている(60.7%)
  • 4位 「軽減税率制度」の対象商品はどんなものか知っている(27.1%)
  • 5位  まったく知らない(3.6%)

消費税率が10%に増税されることは7〜8割くらいの方が理解をしているので、だいぶ知られているようです。また「軽減税率制度」の存在も6割の方が理解しています。一方で「軽減税率制度」の対象商品について理解をしている人は3割未満であることがわかります。

【増税後にそれぞれの消費をどのように変えようと思っていますか?】

  • キャッシュレス決済 増やす(29.9%)変わらない(59.6%) 減らす(10.5%)
  • 現金決済      増やす(0.8%) 変わらない(63.7%) 減らす(35.5%)
  • 外食        増やす(0.1%) 変わらない(55.9%) 減らす(44.0%)

増税後に現金決済からキャッシュレス決済への移行を前向きに考えている人は約3割いるようです。

2.飲食料品は8%のまま

ここで、2019年10月の増税時に実施される「軽減税率制度」について簡単にふれておきます。これは、消費税率引き上げの後も、対象の品目はそのまま8%に据え置くという、日本で始めて導入される制度です。

対象は主に

  • 外食と酒類を除く飲食料品
  • 定期購読契約をしている新聞

の2つです。

この対象の中で注目するべきは、生活費の中でおそらく大きな割合を占めていると考えられる「飲食料品」が含まれているという点です。一般的な世帯では出費の割合が大きいものの一つが日常の食費なので、それが8%のままだと消費増税による家計の負担が和らぎます。

上記の楽天市場が実施したアンケートによると、【増税の影響を受ける】【増税前に購入する予定】の質問の回答で上位に食品が名を連ねていましたが、実はきちんと軽減税率の対象を理解しておけば、食料品の増税の心配も、もちろん増税前の購入も不要であることがわかります。

例外:飲食料品でも10%になるもの

しかし、飲食料品の中でも以下のものは軽減税率の対象外で、消費税が10%になりますので注意が必要です。

【外食】

  • テーブル・椅子・カウンターなどの飲食可能な設備のある場所で、飲食物のサービスを提供する場合は軽減税率の対象外です。一方、テイクアウトは軽減税率の対象です。

【お酒・薬・食用でないものなど】

  • 酒類(ノンアルコールビールなどアルコール1%未満は対象)
  • 水道水(ミネラルウォーターは対象)
  • ドライアイスや保冷剤の氷(食用に使う氷は対象)
  • 医薬品のドリンク剤(清涼飲料水は対象)
  • ペットフード
  • 観賞用の魚
  • 家畜用の動物
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3.キャッシュレスで最大5%ポイント還元

キャッシュレス・消費者還元制度とは、中小店舗で商品やサービスを購入する際に、キャッシュレス決済(クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など)で代金を支払った場合には、購入額の最大5%分のポイント付与が受けられる制度です。もちろん通常のクレジットカード決済などでたまるカード会社のポイントは今まで通りたまります。

制度の概要は以下の通りです。

実施期間 2019年10月1日〜2020年6月30日
対象店舗 ①中小企業または個人事業主が運営する店舗
②フランチャイズチェーン(コンビニ、ガソリンスタンドなど)
還元率 ①中小企業または個人事業主が運営する店舗は5%
②フランチャイズチェーンは2%
支払方法 キャッシュレス決済のみ

※制度に参加している店舗のみが対象です。

つまり中小企業のお店で期間中にキャッシュレス決済を利用したら5%が還元されるので、実質、増税前よりも3%分お得になります。また、コンビニやガソリンスタンドでキャッシュレス決済を利用しても2%が還元されるので、家計に与えるダメージは増税前と変わらないことになります。

キャッシュレス決済によるポイント還元を受けた場合の実質の消費税負担額を一覧にしました。

対象店舗 ポイント還元率 軽減
税率
実質税率
中小企業・個人事業主の店舗 5% 対象 3%
対象外 5%
フランチャイズチェーン
(コンビニ・ガソリンスタンド等)
2% 対象 6%
対象外 8%
上記以外(大手スーパーなど) なし 対象 8%
対象外 10%

現金で決済をするよりキャッシュレス決済をした方がお得になるケースが多いことが分かると思います。キャッシュレス決済を中小企業や個人事業主の店舗やコンビニで利用をしている人は、消費増税後も家計の負担が少なくて済むことでしょう。

なお、制度に参加した加盟店リストは経済産業省作成のウェブサイトにて、登録加盟店のリストが順次発表されています。

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4.家計の負担増加をシミュレーション

それでは、ここで消費増税が家計に与える影響をシミュレーションしたいと思います。とはいえ日々の買い物によって消費税がどれだけかかるかは各家庭の収入や消費行動によって変わってきますので、総務省統計局が発表している「家計調査」を参考にしてみます。

1ヶ月当たりの収支

データは「2018年(平成30年)二人以上の世帯のうち勤労者世帯の1ヶ月平均」です(年収670万円)。
このデータによると年間の平均的な収入と支出は以下の表の通りとなります。

費目 1ヶ月当たりの
収支額(円)
実収入 558,718
 税金・社会保険料 103,593
可処分所得(手取り収入) 455,125
支出内訳 食料 76,090
住居 18,200
光熱費 21,771
日用雑貨 11,338
服飾費 13,072
医療費 11,973
交通・通信費 51,508
教育 19,131
教養娯楽 29,838
保険料 23,849
交際費・その他 62,394
支出小計 339,164

【引用】総務省統計局:家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)
2. 用途分類:収入及び支出金額・名目増減率・実質増減率(月・四半期・年)
区分:二人以上の世帯のうち勤労者世帯

これを見ると食料品の支出の比率が高いことがわかります。しかし、一番支出額の大きい食料品は税率が変わらず8%のままです。
加えて、もともと消費税がかからない項目もあります。

  • 【住居】
    生活用住宅の購入や賃貸には消費税がかかりません。ただし、ウィークリーマンションのように1カ月未満の賃貸には消費税がかかります。
  • 【医療費】
    公的医療保険の対象となる医療費や公的介護保険対象の介護サービス費や介護施設の利用料などは消費税がかかりません。しかし、公的保険の対象とならない医療費には消費税がかかります。
  • 【教育】
    学校教育法に規定する学校の入学検定料や入学金、授業料などには消費税がかかりません。ただし、塾や習い事の受講料、参考書などは消費税がかかります。
  • 【保険料】
    保険料の支払いは消費税がかかりません。ただし消費増税によって保険会社の事務手数料などがあがり、その分、保険料があがる場合はあります。

増税による支出増加額をシミュレーション

食品は軽減税率8%で変化なし、一部の費目は非課税という条件の基に、消費税増税による1か月当たりの支出増加額をシミュレーションしてみます。

増税による支出増加額(単位:円)
費目 支出額 消費税 増税による
支出増加額
8% 10%
食料 76,090 (変化なし)  
住居 18,200 (変化なし)  
光熱費 21,771 1,612 2,015 403
日用雑貨 11,338 839 1,049 210
服飾費 13,072 968 1,210 242
医療費 11,973 (変化なし)  
交通・通信費 51,508 3,815 4,769 954
教育(授業料) 14,735 (変化なし)  
教育(その他) 4,396 325 407 82
教養娯楽 29,838 2,210 2,762 552
保険料 23,849 (変化なし)  
交際費・その他 62,394 4,621 5,777 1,156
合計 339,164 3,599
年間合計   43,188

年収約670万円の家庭の場合、支出は1ヶ月で約34万円となり、消費増税による支出の増加金額は3,599円となります。支出合計額の34万円と比較をすると約1.1%の増加率です。今回は2%の増税ですが、2%まるまる負担が増えるわけではないことがわかります。

ポイント還元も追加してシミュレーション

ここで、キャッシュレス・消費者還元制度による5%ポイント還元を考慮して家計に与える影響を表にしてみます。

通常、お店で購入する一部の費用について、半額をポイント還元5%で購入した場合を想定します。

ポイント還元を加えた支出増加額(単位:円)
費目 支出額 消費税 ポイント
還元5%
増税による
支出増加額
8% 10%
食料 76,090 (変化なし) 1,902 -1,902
住居 18,200 (変化なし)    
光熱費 21,771 1,612 2,015   403
日用雑貨 11,338 839 1,049 288 -78
服飾費 13,072 968 1,210 332 -90
医療費 11,973 (変化なし)    
交通・通信費 51,508 3,815 4,769   954
教育(授業料) 14,735 (変化なし)    
教育(その他) 4,396 325 407   82
教養娯楽 29,838 2,210 2,762   552
保険料 23,849 (変化なし)    
交際費・その他 62,394 4,621 5,777 1,588 -432
合計 339,164 -511
9か月間合計   -4,599

ポイント還元制度の利用を加味すると負担の増価額は、マイナス511円となり、逆に少し負担が減ることがわかります。ポイント還元期間の9か月間合計では、約4,600円、負担が減ります。

今回の計算は、店舗で購入するもののうち半額をキャッシュレス決済にした場合でシミュレーションをしていますが、少なくとも消費増税によって家計が苦しくなるというイメージは抱かないでしょう。

さらに、キャッシュレス決済の多くは、カード会社やQRコード決済事業者側で一般的には0.5%〜1.0%ほどのポイント還元があり、シミュレーション以上に家計をお得にできるかもしれません。

5.個人でできる増税対策

(1)外食を減らしてテイクアウトを増やす

増税対策としてまっさきに考えられるのは、外食を減らし、スーパーなどでの食材の購入やテイクアウトを増やすことです。

中には酒類のように軽減税率の対象外となる商品もありますが、スーパーやコンビニなどで買うお惣菜・お弁当などの調理済み食品は基本的に8%の軽減税率が適用されます。

(2)中小企業のお店やコンビニでキャッシュレス決済

キャッシュレス・消費者還元制度によるポイント還元の対象商品は、軽減税率とは違い幅広く適用されます。キャッシュレス決済を利用する店舗が制度対象の中小企業であれば食料、日用雑貨、衣服といった生活必需品はもちろん外食、家電、美容院なども5%還元の対象です。

また、ほとんどのクレジットカードにはもともとカード会社が付与しているポイント制度がありますので、更にお得になるでしょう。

(3)増税前に買っておくべきものを買っておく

増税前に購入したほうがよいのは「先に支払うことができるもの」「価格が安定していて値引きが少ないもの」です。
先に支払うことができるものの代表は有効期限が長いチケットなどで、価格が安定していて値引きが少ないものは、例えば本やブランド品などがあげられます。

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6.これだけはやめよう

(1)増税前に食品をまとめ買い

ここまで読んだ方なら分かると思いますが、食品は増税後も8%のままですので、増税になるからといってまとめ買いをするのはやめましょう。

飲食料品は生活への影響が大きいので軽減税率という仕組みを導入することになったため、スーパーやコンビニで飲食料品をあわてて購入する必要はありません。

(2)無駄な駆け込み消費

消費増税になるからといって焦って買い物をしようとすると、普段は何を買うべきか正しく判断ができている人も判断力が鈍くなる可能性があります。

特に過去の消費増税の時も家電量販店などで増税前の駆け込み消費が目立ちましたが、家電やスマートフォンなどは増税後に値引きキャンペーンをする可能性もありますので気をつけましょう。

まとめ

今回の消費税率の引き上げでは、食品と新聞に軽減税率が適用されるほか、キャッシュレス決済で最大5%ポイント還元される制度がありますので、今までの増税時よりは、家計への影響が少なくなりそうです。

軽減是率は、これまで日本では導入をしたことがない制度ですので、実感が沸いていない方もいると思いますが、焦って駆け込み消費をするのだけはやめて、計画的に制度を利用して賢い消費行動をしましょう。

執筆
エファタ㈱ 服部 貞昭
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
自ら経理処理を行う中で疑問に思ったこと・気づいたことを記事にして発信中。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を1000本以上、執筆・監修。
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