消費税がかからないもの、生活に身近なものからピックアップ
消費税10%増税で、消費者の負担が増えますが、実は、消費税がかからないものもいくつかあります。そういうものは消費税の…[続きを読む]
消費税は2019年10月に、これまでの8%から10%に増税されました。家計の負担が大きくなることは避けられず、特に高額商品は「2%の差」が大ダメージになりかねません。
しかし政府や企業は、増税後の消費の落ち込みを警戒し、増税後に「お得な仕掛け」を多数用意しています。それで「増税後に買ったほうが得」な商品・サービスもあるのです。
増税前にやるべきことの判断、「増税前に買うもの」と「買わなくてよいもの」の判断は簡単ではありません。そこで次の3つに分けて紹介します。これを参考にして「買うもの・買わないものリスト」をつくってみてはいかがでしょうか。そしてまとめ買いの準備を始めてみましょう。
目次
増税前にやるべきことの重要なこととして「先に支払うことができるもの」の購入があります。
消費の多くは、支払いと使用がほぼ同時に発生します。例えば遊園地では、入場券の支払いを済ませた直後に遊びます(消費します)。
しかし消費のなかには、先に支払いを済ませ、一定期間を経過してから使用したり利用したりすることがあります。
そのタイプの消費であれば、消費税率が低い2019年9月30日までにまとめ買いで支払いを済ませ、10月1日以降にゆっくり使用または利用すればよいのです。
有効期限がなかったり、有効期限が長かったりするチケット類は、増税前に購入しておきましょう。
電車の定期券、航空券、映画やコンサートやテーマパークの入場券などは、「使うことが確実」であれば、予算を決めて増税前に買ったほうがいいでしょう。
ただし、ホテルや旅館の料金が込みになったパッケージツアーの旅行券は、3月31日までに契約すればOKですが、4月1日~9月30日の間に契約して支払ったとしても、10月1日以降に出発する場合は、税率10%になりますので、ご注意ください。
「積ん読」をする読書家は、消費増税前に書籍を大量に買っておいてはいかがでしょうか。積ん読とは、購入した本をすぐに読まず、ひとまず机の上に積んでおいて後で読む読書法です。
また、仕事で必要になる資料や物品類も、計画を立てて消費税前にまとめ買いをしておきましょう。ただし、在庫コストが高くなるものは、無理に買わないほうがいいでしょう。
そして、日用品の中でも割引がない、またはほとんど割引をしないブランド品などのプレミアム商品は、待っても価格が下がらないので、低い税率で買ってしまったほうが「得」です。
そのほか、カルチャースクールの受講費用、結婚関連の費用、常備薬、化粧品、たばこ、一部日用品などは「駆け込み購入」がおすすめです。
政府は駆け込み需要を懸念していますが、消費者はある程度の自衛手段が必要です。
自動車関連の消費には特に注意が必要です。
2019年10月に消費増税が実施されると、同時に自動車取得税が廃止されます。自動車取得税は、次のような複雑な計算式で算出します。
したがって「消費税8%+自動車取得税あり」で購入したほうがいいのか、それとも「消費税10%+自動車取得税なし」で購入したほうがいいのかは、ディーラーに相談したほうがいいでしょう。
ただ、50万円以下の中古車であれば、そもそも自動車取得税がかからないので、消費増税前に買ったほうがよい、といえます。
そのほか、自動車のガソリンや軽油は、9月30日以前に給油しておいたほうがいいでしょう。
増税前に購入しなくてよいものは「増税にならないもの」です。
飲食料品に課せられる税率は、消費増税後も8%のままです。飲食料品は生活への影響が大きいので「軽減税率」という仕組みを導入することになったのです。
したがって、スーパーやコンビニで購入する飲食料品はあわてて買う必要はありません。
また、そもそも消費税が課せられていないものは増税後も非課税のままなので、駆け込み購入する必要はありません。
非課税の商品やサービスには次のようなものがあります。
消費増税と同時に「ポイント還元」が実施されます。これは買い物でキャッシュレス決済をした場合、消費者にポイントを与えることで「増税分を帳消しにする」仕組みです。
中小店舗のポイント還元率は5%、コンビニエンスストアや外食などの大型小売・飲食店の還元率は2%です。したがって中小店舗でキャッシュレス決済をするのであれば、「帳消し」どころか、増税後に買い物をしたほうが「得」になるのです。
消費増税前にキャッシュレス決済に慣れておくことも自衛策といえるでしょう。
最後に紹介するのは、増税前に購入すべきかどうか、判断が難しい商品やサービスです。
ここで紹介する商品やサービスは、消費税より「他の要素」のほうが影響力が大きくなることがあるのです。
住宅関連の購入は「消費増税+他の要素」をじっくり考慮したほうがいいでしょう。
まず前提として、個人が売主になる中古住宅は消費税の対象外ですし、不動産会社に支払う仲介手数料には消費税がかかっても大きな影響はありません。
問題になるのは、新築住宅や改築、リノベーションなどで数百万円規模、数千万円規模の出費になるケースです。
例えば税別価格5,000万円の物件であれば、消費税が2%上がるだけで支払総額は100万円も上がります。
では「増税前に買うべきか」というと、一概にそうともいえないのです。
政府は住宅の駆け込み購入が拡大しすぎないように、「すまい給付金」や「贈与税の非課税枠」「住宅ローン減税の拡充」といった、増税後も損にならないような仕組みを同時に導入するのです。
政府の狙いは、消費増税後に「大きな損得の差」を出さないことなので、住宅関連の大きな資金が必要な買い物は「あまり消費増税を考えなくよい」ということもできるのです。
そして、数千万円の住宅を購入する場合、消費税より住宅ローンの金利のほうが支払い総額に影響を与えます。
また、住宅などの不動産購入では、「二度と同じ物件は出てこない」といわれています。したがって、2019年10月1日以降に導入される「さまざまな特典」を利用せず、気に入った物件は早めに購入してしまう選択もあるでしょう。
しかし、それほど強い思い入れがない物件だったり、しばらく他に買い手が現れそうになかったりする場合は、2019年10月以降に購入したほうがいいかもしれません。消費増税後は住宅需要が冷え込む可能性が高いので、住宅メーカーやマンション販売会社が値下げ販売をするかもしれないからです。
住宅関連の消費では、住宅メーカーの営業担当者や銀行のローン担当者に相談したほうがいいでしょう。
自動車も、数百万円以上の新車また中古車は、消費増税前に買うべきか、後に購入すべきか迷うところです。
「1-3.自動車関連」で紹介したとおり、増税と同時に自動車取得税が廃止され、代わりに「環境性能割」が導入されます。
自動車の購入者にとって消費増税は「悪影響」ですが、自動車取得税の廃止や「環境性能割」の新設は「良い影響」です。
環境性能割は新しい税制で、低燃費車ほど税金が安くなる仕組みになっています。
そして「悪影響」と「良い影響」のどちらが大きくなるかは、自動車のタイプや値段によって変わってしまうのです(新車の多くは燃費基準を達成して税金がかからないと予測されています)。
また、カーディーラーが消費増税後に割引攻勢をかけてくるかもしれません。
自動車を1年以内に購入する予定のある方は、早めに複数のディーラーに相談したり価格交渉をしたりしてみてはいかがでしょうか。
家電や家具、得に冷蔵庫や洗濯機、テレビ、スマホの買い替えなどは数万円から数十万円することが珍しくないので、消費税増税後も、ポイント還元率がどれくらいかで負担総額が大きく変わります。
現金で購入する人は増税前に買う、キャッシュレス決済を使う人は買い急がない、といった姿勢で臨んでみてはいかがでしょうか。
また、家電や家具、スマホの買い替えなどの大型製品は量販店でセールもよく行われますので、もしかしたら、増税後のほうがお買い得の可能性もあります。
消費税前に買うべきか、後に買うべきかは、難しい判断が迫られます。ネットのランキングなどを見て決定する方も多いと思います。
しかし最後は自分の判断で決定するしかありません。
増税前に買ったほうが良いもの/そうでないものを簡単にまとめてみました。
増税前に 買ったほうが良いもの |
・電車の切符、航空券、映画館・美術館・遊園地のチケット類 ・書籍、ブランド品、カルチャースクールの受講費用、 結婚関連の費用、常備薬、たばこ、 ・50万円以下の中古車、ガソリン・軽油 |
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増税前に 買わなくても良いもの |
・飲食料品 ・非課税のもの(土地、中古住宅、株、保険、商品券など) |
判断が難しいもの | ・住宅 ・自動車 ・家具・家電|冷蔵庫、テレビ、洗濯機、スマホ |
消費する前に支払うことができる商品やサービスは、増税前に支払いを済ませておき、増税後にゆっくり利用してはいかがでしょうか。
そして買い物のタイミングを測るときは、ポイント還元制度を忘れないでください。
大きな資金が必要な住宅や自動車などの買い物は、ネットのランキングよりもプロのアドバイスに耳を傾けましょう。そして企業によっては増税後に大規模キャンペーンを実施します。企業も増税後の消費の落ち込みを懸念しているからです。
ちなみに、いくらお買い得だからといっても、無駄なものを買ってしまったら意味がありませんので、衝動買いは避けたいものです。
消費増税の影響を最小限に食い止めるには、賢い消費行動が必要になります。