消費税がかからないもの、生活に身近なものからピックアップ

非課税 かからない

消費税10%増税で、消費者の負担が増えますが、実は、消費税がかからないものもいくつかあります。そういうものは消費税の税率は気にする必要はありません。

無駄な心配をしなくてすむように、消費税がかからないものを、生活に身近なものからピックアップして解説しますので、抑えておきましょう。

1.消費税がかからないものとは?

具体例を挙げていく前に、まずは消費税の区分について簡単に解説します。
消費者にはあまり関係ない部分ではありますので、頭の片隅に入れておく程度でOKです。

(1)消費税の区分

消費税の区分は大きく次の4つに分けられます。

  • 課税
  • 非課税
  • 不課税(対象外)
  • 免税

このうち消費税がかかるものは「課税」だけで、あとの3つには消費税はかかりません。
消費税がかからない区分についてもう少し詳しく説明します。

(2)非課税・不課税(対象外)・免税

①非課税

非課税とは、消費税という税の性格になじまないものや社会政策的配慮から「消費税がかからないもの」として法律に規定されている取引をいいます。

一例を挙げると「土地の譲渡、貸付け」「預金利子」「印紙」「社会保険診療」「学校教育」などが非課税取引に該当します。

②不課税(対象外)

不課税取引とは、消費税の対象とみなされない取引のことです。

実は、非課税や免税は消費税がかからなくても、店舗や事業者での消費税額の計算上その金額が関係してきます。
一方不課税は消費税の計算からは完全に排除されるものと考えてください。

不課税取引の一例を挙げると「給与」「寄附金」「補助金」「株式の配当金」などが該当します。

③免税

免税取引は、国内で消費されない取引、例えば輸出商品や免税店で外国人が購入する商品がこれに該当します。

免税取引は広い意味で課税取引に含まれるものの消費税が課税されないため、「0%課税取引」と言われることもあります。

2.商品券・プリペイドカード・切手など

商品券やプリペイドカードなどをまとめて「物品切手等」といいますが、物品切手等には消費税がかからないこととなっています。

物品切手等には次のようなものが該当します。

  • 商品券
  • ビール券
  • 図書券
  • 旅行券
  • 映画や遊園地等の前売り入場券
  • 仕立券
  • プリペイドカードなど

これらにはなぜ消費税がかからないのでしょうか?商品券を例に考えてみましょう。

商品券を購入した人は、いつかその商品券を使って買い物をすることが想定されますよね。
商品券の購入時に消費税がかかり、商品券を使用した時にも消費税がかかるのでは、二重課税となってしまいます。

このような理由から、商品券等は購入時には課税されないこととなっているのです。
なお、プレゼント用に商品券を購入した場合でも同様に非課税となります。

郵便切手・郵便ハガキ

物品切手等と近いものとして郵便切手・郵便ハガキが挙げられます。
これらも購入時は消費税はかかりませんが、実は郵便物の配達代金は消費税がかかるのです。

少しややこしいですが、郵便切手や郵便ハガキは元々消費税分も込みの金額で販売されていると考えてください。
したがって消費税がかからないにも関わらず、増税の際に料金が上がる可能性がある点は覚えておいてください。

なお、収入印紙は購入時に消費税がかからず、使用時にも消費税はかかりません。

3.医療・福祉・教育

診療費や福祉、教育関係の料金は、社会政策的に消費税をかけるべきではないとされているため、消費税がかからないものが多くあります。

ただし、これらに関係する費用はすべて消費税がかからないわけではありません。
消費税がかかるもの(課税)とかからないもの(非課税)の区別は、下の表を参考にしてください。

  課税 非課税
医療・福祉関係 ・健康診断料
・予防接種
・差額ベッド代、差額食事代
・健康保険が適用されない
自由診療・医薬品
・人口妊娠中絶
・一般的な葬儀費用
・健康保険適用の治療・医薬品
・社会福祉事業
・介護保険サービス
・身体障害者用物品(義足など)
・助産
・埋葬料・火葬料
教育関係 ・給食費
・スクールバス代
・参考書・問題集などの補助教材
・塾・カルチャースクールの授業料
・授業料
・入学金・入園料
・施設設備費
・入学試験検定料
・在学証明書などの発行手数料
・教科書代

4.住宅・土地・駐車場

住宅の賃貸、土地の売買や賃貸、駐車場料金などに関係する支出には、消費税がかかるものとかからないものがあります。

(1)住宅の賃貸

一戸建て、アパート、マンション、社宅、寮など居住用の住宅の賃料には消費税がかかりません。

なお、貸付期間が1ヶ月以上であることが条件なので、ウィークリーマンションの賃貸料には消費税がかかります。
共益費や敷金・保証金、礼金なども住宅賃貸に係るものであれば消費税はかかりません。

一方、不動産会社に支払う仲介手数料や貸し別荘の家賃、事務所の家賃、店舗家賃などには消費税がかかります。

なお、その物件が居住用なのか事務所用なのかの判断は、契約書に記載されている用途によって判断されます。
例えば、契約上居住用であるマンションを法人の事務所として利用している場合には消費税はかかりません。

(2)住宅の購入・リフォーム

不動産会社から住宅を購入する場合、消費税がかかります。
ただし、個人から住宅を購入する場合には消費税はかかりません。

個人同士の売買に消費税がかからないのは住宅に限った話ではありませんが、住宅は消費税の有無が価格に大きく影響を及ぼすので覚えておくことをおすすめします。

その他、住宅購入関係で消費税がかかるものには、住宅購入に係る仲介手数料、登記の際に司法書士に支払う報酬などが挙げられます。
一方消費税がかからないものには、登記の際に支払う登録免許税や、不動産取得税などが挙げられます。

住宅関連でもう一つ、住宅のリフォーム工事の代金には消費税がかかります。
リフォームに限らず工事、修繕費用は消費税がかかるものと覚えてしまっていいでしょう。

(3)土地

土地の購入や賃貸には消費税がかかりません。
ただし、貸付期間が1ヶ月以上であることが条件となります。

土地の賃貸で少し紛らわしいのが、駐車場やテニスコートのような施設が整備されている土地の賃貸料です。
このようなケースでは純粋な土地の貸付とは見なされず、消費税がかかります。

(4)駐車場

先ほど土地の欄で少し触れましたが、駐車場設備が整えられている駐車場の利用には消費税がかかります。
駐車場として整備されているかどうかは、アスファルト舗装、区画整備などが判断基準となります。

一方、単なる更地を駐車場として利用するのであれば、それは土地の貸付けとなるため消費税はかかりません。
駐車場と消費税の関係は、「用途」ではなく「整備状況」によって変わることを覚えておきましょう。

5.株式・投資信託などの有価証券

株式や投資信託など、有価証券の売買には消費税がかかりません。
有価証券には株券のほか、国債証券・地方債証券、社債券、投資信託の受益証券などが該当します。

なお、ゴルフ会員権は有価証券ではあるものの、その売買には消費税がかかる点には注意が必要です。

支払手段に消費税はかかる?

原則として、紙幣や硬貨、小切手、約束手形などの支払手段の売買には消費税はかかりません。

ただし、支払手段のうち「収集品・販売用のもの」については消費税がかかります。
例えば記念硬貨や古銭など、付加価値のあるものには消費税がかかると覚えておきましょう。

6.保険料・借入金(ローン)・利息

生命保険料・損害保険料、共済掛金、借り入れの際の保証料、健康保険料、国民年金・厚生年金の掛金など、保険料の支払いには消費税はかかりません。

また、借入金(ローン)の支払いは、元本も利息も消費税がかかりません。
ただし、借入れ時に金融機関に支払う事務手数料には消費税がかかります。

7.寄付金・慶弔金・会費・入会金

寄付金・慶弔金・見舞金・祝金・香典などの支払いと消費税の関係について考えてみましょう。
これらは商品やサービスの対価として支払うものではないため、消費税がかかりません。

会費や入会金の支払いは少しややこしいのですが、基本的な考え方は先ほどと同じです。
要するに、「商品やサービスの対価」として支払う会費や入会金には消費税がかかり、そうでないものには消費税はかからないということになります。

例えば研修・セミナー、ゴルフクラブ、スポーツ施設、宿泊施設、クレジットカードなど、サービス提供の対価とされるものには消費税がかかります。
一方で同業者団体や組合の会費・入会金には消費税かかかりません。
また、類似するものとして生協の出資金にも消費税はかかりません。

8.キャンセル料・違約金・損害賠償金

ホテルやゴルフ場などを直前にキャンセルした場合、キャンセル料や違約金を請求されることがあります。
これらのキャンセル料・違約金には消費税はかかりません。

これらの支払いは損害賠償金という性質であるため、消費税の対象外となるのです。

ただし、キャンセルに伴う事務手数料として請求される場合には消費税がかかります。
そのため、請求の内容をしっかり確認することが必要です。

同様の考え方として、携帯電話の違約金には消費税がかかるケースが多いようです。
これも解約に係る事務手数料など、サービスの対価であるという考え方です。

損害賠償金には消費税はかかる?

交通事故の示談金や住宅賃貸契約の中途解約による違約金など、心身や資産の損害に対するする損害賠償金の支払いには、消費税はかかりません。
ただし、例外的に次に該当する損害賠償金の支払いには消費税がかかるので注意してください。

  • 商品を破損し、その商品を譲り受けた場合において、その商品がそのまま、または軽微な修理で使用可能になる場合
  • 特許権、著作権等の無体財産権の侵害により支払うもの
  • 不動産等の明渡しの遅滞により支払うもの

このように損害賠償金の名目で請求されても、実質的に「商品販売」や「サービスの提供」であると判断される損害賠償金には消費税がかかります。

「損害賠償金=消費税がかからない」と決めてかかるのではなく、請求内容から判断することを心がけましょう。

まとめ

消費税がかかるものと消費税がかからないものを一通り解説してきました。
区別が難しいものも多く、一般消費者である私たちにはすべてを理解することは難しいでしょう。

しかし、消費税がかからない代表的な取引を覚えておけば、ほとんどのケースで迷うことなく判断できるはずです。

ここでもう一度消費税がかからない代表的な取引をまとめておきます。

  • 商品券・プリペイドカード・切手など
  • 医療・福祉・教育(自由診療や健康診断等、一部は消費税がかかる)
  • 住宅の賃貸
  • 土地の売買、賃貸
  • 有価証券の売買
  • 紙幣や小切手、手形などの支払手段の売買(収集品、販売用のものは消費税がかかる)
  • 保険料やローンの利息
  • 寄付金・慶弔金・会費・入会金等
  • キャンセル料・違約金・損害賠償金(名目によっては消費税がかかる)

消費税がかかる、かからないの判断は難しいものも多いです。

高度な判断を要するものは税理士等の専門家に任せ、私たちは身近な取引について覚えておけば十分でしょう。
この記事で紹介したものは基本的な内容なので、ぜひ覚えておいてください。

監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
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