[図説]ふるさと納税の確定申告書の書き方と記入例
市区町村などの各自治体にお金を寄付して返戻品等を受け取る、ふるさと納税。ふるさと納税をすると、所得税や住…[続きを読む]
東京マラソンにチャリティ枠で参加した方は、確定申告で寄付金控除を受けられます。
東京マラソンのチャリティランナーの概要から、寄附金控除を受ける場合の所得税計算の仕組み、いくら還付されるのか等を詳しく解説します。
東京マラソンは2007年から始まったマラソン大会で、毎年2月に開催されます。
この大会には、チャリティ枠が設けられており、参加料の他に寄付金を支払うことによってチャリティランナーになることができます。
東京マラソンは毎年大人気で、2019年大会の一般ランナーの抽選倍率は、なんと12倍以上となりました。
出場すること自体が難しい大会なのですが、10万円以上の寄付をすることでチャリティランナーとなり、先着3,700名まで優先的に出場することができます。 一般ランナーの申し込みは8月に行われますが、チャリティランナーの申し込みはそれに先駆けて7月に行われます。
2020年度の募集からは、今までのチャリティ(「個人チャリティ」と呼ばれる)のほかに、クラウドファンディング300名、アクティブチャリティ1,000名が追加されており、合計5,000名のチャリティランナーが出走できることになりました。
寄付先は、以下の29事業(28団体)の中から自由に選択することができます。漠然と東京マラソンに寄付する訳ではなく、自分が応援したいと思う寄付先に寄付することができるので安心です。
寄付金は東京マラソン財団を通して、28それぞれの団体に渡ります。
(1番目の団体だけは、寄付控除の対象になりません。)
【参考サイト】東京マラソンチャリティ “Run with Heart”
10万円以上の寄付金には参加料は含まれていないので注意しましょう。 参加料は16,200円なので、チャリティランナーとなるには116,200円以上必要となります。
チャリティ事業や大会が中止になった場合においても、既に決済したお金は返金されません。選んだ寄付先の事業がやむを得ない事情で中止となった場合には、他の寄付先に振り替えられます。
単純にマラソンに参加したいという理由だけでチャリティランナーになる場合もあるかもしれませんが、これはあくまでも寄付ということを忘れないようにしましょう。
新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、2020年3月1日(日)に予定されていた東京マラソン大会は、一般参加者の出走を中止し、エリート選手約200人のみで実施することになりました。
東京マラソンは、男子のオリンピックの選考会も兼ねているため、男女ともにエリート選手については予定通り実施されます。
参加費の返金については、いろいろと議論があるところのようですが、寄付金については、もともと寄付ですので、一般参加中止とは特に関係ないものと思われます。
東京マラソンのチャリティ事業への寄付については、所得税と住民税の寄付金控除の対象となります。
寄付金控除は所得税と住民税に設けられており、それぞれ計算方法が異なります。
住民税については、地方自治体ごとで条例があり、条件を満たせば、寄付金の最大10%が控除されます。所得税と住民税の控除額を合わせれば大きな節税効果が期待できます。
所得税での寄付金控除には、所得控除と税額控除があり、納税者が自由に選択することができます。どちらで計算するかによって納税額が変わってくるので、通常は両方計算してみて、納税額が少なくなる方を選択します。
ただし、税額控除を受けられる寄付先は一部に限られるので注意が必要です。
また、寄付金控除は年末調整では受けることができず、確定申告をしなければなりません。
所得控除とは、総所得金額から差し引くことができる金額で、課税所得を減らすことができます。
所得控除での寄付金控除とは、納税者が特定寄付金(※)に該当する寄付を行った場合には、下記の計算方法で算出された金額を、所得控除とすることができる制度です。
※特定寄付金とは次のような寄付金をいいます。
詳しい内容については、こちらをご確認ください。
【参考サイト】一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|所得税|国税庁
①と②のいずれか低い金額-2,000円=所得控除額
①その年に支出した特定寄付金の合計額
②その年の総所得金額等×40%
税額控除とは、所得税額から差し引くことができる金額で、納付すべき所得税額を直接減らすことができます。
寄付金の税額控除は、寄付金が次のいずれかに該当する場合に限り、適用を受けることができます。
上記に該当する寄付金について、所得控除を受けるのか税額控除を受けるのかは、納税者の自由選択となっています。一般的には税額控除の方が有利といわれていますが、該当する場合には念のため試算をした方が良いでしょう。
【参考サイト】
No.1263 認定NPO法人に寄附をしたとき|所得税|国税庁
No.1266 公益社団法人等に寄附をしたとき|所得税|国税庁
(その年に支出した寄付金の金額-2,000円)×40%(※1)=税額控除額(※2)
※1 政党等寄付金の場合は30%となります。
※2 所得税額の25%が上限となります。
寄付金控除を受けるためには、次の書類が必ず必要です。
ただし、これらの書類が間に合わない場合は、支払ったことが分かる振込の領収書や、通帳コピーの添付でも受付けてもらえる場合があります。税務署に確認してみましょう。
上記で解説した寄付先のうち、スポーツレガシー事業は控除の対象外となっています。寄付をしたとしても、所得控除と税額控除は受けることができませんので注意が必要です。
残りの団体はすべて公益財団法人または認定NPO法人であるため、所得控除と税額控除の対象となります。
住民税の寄付金控除は、適用を受けることができる寄付金が各地方自治体で異なり、都道府県や市区町村の条例で指定されているものに限り対象となります。住んでいる地方自治体に直接確認しましょう。
寄付金が都道府県と市区町村の両者に指定されたものであった場合には、合わせて10%分の控除を受けることができます。
税務署に提出した確定申告の内容は、税務署から直接地方自治体に送られる仕組みになっていますので、住民税だけ特別に必要な手続きはありません。所得税の寄付金控除を受けたら、自動的に住民税にも適用されます。
何らかの事情により、所得税の確定申告書を提出しないで住民税の寄付金控除を受けたい場合には、住民税の確定申告書である「市民税・県民税申告書(住民税申告書)」に、上記「2-3.確定申告の必要書類」を添付して提出します。
【参考サイト】東京都の条例指定寄附金一覧 - 東京都主税局
寄付金控除はどのくらいの控除額になるのか、個人チャリティで10万円の寄付をした場合を具体的に計算してみましょう。
なお、ここではわかりやすく解説するため、復興特別所得税については考慮しません。
※1 この年に支払った社会保険料の合計は75万円と仮定
※2 寄付金控除 ①と②のいずれか低い金額100,000円-2,000円=所得控除額98,000円
①その年に支出した特定寄付金の合計額100,000円
②その年の総所得金額等3,460,000円×40%=1,384,000円
よって、135,500円-125,700円=9,800円 が寄付金控除による節税額になります。
上記のような単純な所得控除である場合の、寄付金控除による大まかな年収別の節税額と、それを参加料と比較した場合の実質参加費は次の通りです(参加費16,200円の場合)。
所得税率 | 年収目安 | 節税額 | 実質参加費 |
---|---|---|---|
5% | 400万円程度 | 4,900円 | 111,300円 |
10% | 800万円程度 | 9,800円 | 106,400円 |
20% | 1,000万円程度 | 19,600円 | 96,600円 |
23% | 1,200万円程度 | 22,540円 | 93,660円 |
33% | 1,500万円程度 | 32,340円 | 83,860円 |
40% | 3,000万円程度 | 39,200円 | 77,000円 |
45% | 5,000万円程度 | 44,100円 | 72,100円 |
給与収入10,000,000円-給与所得控除2,200,000円=給与所得7,800,000円
給与所得7,800,000円-所得控除(社会保険料控除1,500,000円※1+基礎控除380,000円)=課税所得5,920,000円
課税所得5,920,000円×所得税率20%-控除額427,500円=所得税額756,500円
所得税額756,500円-寄付金控除39,200円※2=納付すべき所得税額717,300円
※1 この年に支払った社会保険料の合計は150万円と仮定
※2 寄付金控除 (100,000-2,000円)×40%=税額控除額39,200円
控除限度額は所得税額の25%であるため、所得税額756,500円×25%=限度額189,125円となり、39,200円全額が控除できます。
所得税率 | 年収目安 | 控除限度額 | 節税額 | 実質参加費 |
---|---|---|---|---|
5% | 400万円程度 | 21,000円 | 21,000円 | 95,200円 |
10% | 800万円程度 | 114,125円 | 39,200円 | 77,000円 |
20% | 1,000万円程度 | 189,125円 | ||
23% | 1,200万円程度 | 296,400円 | ||
33% | 1,500万円程度 | 516,900円 | ||
40% | 3,000万円程度 | 1,893,000円 | ||
45% | 5,000万円程度 | 3,967,000円 |
所得控除と比べると、税率45%の人以外は、税額控除の方が圧倒的に節税効果が高いことが分かります。
都道府県と市区町村合わせて最大10%控除される場合の還付額は、(100,000円-2,000円)×10%=9,800円 となります。
所得税と合わせた節税額と実質参加費は次の通りとなります。
年収目安 | 所得税の 節税額 |
住民税の 節税額 |
節税額の 合計 |
実質参加費 |
---|---|---|---|---|
400万円程度 | 4,900円 | 9,800円 | 14,700円 | 101,500円 |
800万円程度 | 9,800円 | 19,600円 | 96,600円 | |
1,000万円程度 | 19,600円 | 29,400円 | 86,800円 | |
1,200万円程度 | 22,540円 | 32,340円 | 83,860円 | |
1,500万円程度 | 32,340円 | 42,140円 | 74,060円 | |
3,000万円程度 | 39,200円 | 49,000円 | 67,200円 | |
5,000万円程度 | 44,100円 | 53,900円 | 62,300円 |
年収目安 | 所得税の 節税額 |
住民税の 節税額 |
節税額の 合計 |
実質参加費 |
---|---|---|---|---|
400万円程度 | 21,000円 | 9,800円 | 30,800円 | 85,400円 |
800万円程度 | 39,200円 | 49,000円 | 67,200円 | |
1,000万円程度 | ||||
1,200万円程度 | ||||
1,500万円程度 | ||||
3,000万円程度 | ||||
5,000万円程度 |
これらの表の年収目安は、あくまでも大まかに計算した場合の目安です。
納税者それぞれの所得の種類や所得控除によって、多少異なってきますのでご注意ください。
※実際の計算に当たって、不明な場合は、必ず税務署や税理士などにご相談ください。
ふるさと納税は寄付金控除の計算に含まれます。よって、支払った寄付金についてはその分控除の枠が減ることになります。
その寄付金が寄付金控除の対象となるかどうかや、具体的な計算については、税務署や税理士などに相談すると間違いがありません。
特に税務署は申告先になりますので、そこの回答に従えば不備などの心配もありません。税務署の回答を受けた場合には、担当者の部署や氏名を聞いておくと、後々問い合わせがあったときや税務調査が入る際に、税務署の回答に従ったことが明らかとなり安心です。
2019年度までは、法人寄付(コーポレートチャリティ)という制度がありましたが、「アクティブチャリティ」に統合されました。
アクティブチャリティとは、寄付先団体が独自のプロモーションやランナー向けプログラムに寄って、能動的に寄付を呼びかける制度です。2020年度の東京マラソンでは、全29事業のうち、26事業が対象になります。
アクティブチャリティの定員は1,000人(先着順)です。
個人・法人を問わずに、各団体が指定した金額以上を寄付された方は、チャリティランナーとして出走することができます。
チャリティは、本来、寄付することが目的ですので、出走しなくても寄付することができます。
東京マラソン2020では、寄付は2020年3月31日まで受け付けています。