マイナンバーの本人確認方法、パターン別に整理

マイナンバー

 マイナンバー制度では、税務署などの公的機関に書類を提出する書類に12桁のマイナンバー(個人番号)を記入します。

会社が従業員や報酬を支払った個人からマイナンバーを教えてもらうには、単純にマイナンバーを伝えてもらうだけでなく、本人確認が必須となります。

会社も従業員(個人)も、本人確認が一番大変な作業になると思われますので、その本人確認の方法を、いろいろなパターン別に整理して説明します。

1.本人確認=番号確認+身元確認

従業員や個人(以降、「マイナンバー提示者」)からマイナンバーの提示を受ける際には、本人確認をしますが、本人確認として下記の2点の確認が必要です。

  • (1)番号確認:正しい個人番号であることを確認する
  • (2)身元確認:番号の提供者が正しい持ち主であるかを確認する

ただし、人によってマイナンバーカード(個人番号カード)を持っていたり、持っていなかったりと状況が異なります。
また、提示方法が対面であったり、ウェブ上など様々です。

そこで、国税庁サイトの中から、頻度が多いと思われるパターンを抽出して、本人確認の方法を解説します。

【参照】

2.対面で本人確認をする場合

会社の従業員やセミナー講師など、対面で本人確認が可能な場合は、確認方法は簡単で、主に次の3パターンに分けられます。

(1)マイナンバーカード

最も楽な方法です。

マイナンバーカード(個人番号カード)の提示を受ける場合は、「マイナンバーカードのみ」で番号確認と身元確認の両方が行えます

マイナンバー

マイナンバーカードの表面には氏名・住所・生年月日などの個人情報、および顔写真が掲載されていますので、これを見ることで「身元確認」ができます。
また、マイナンバーカードの裏面には個人番号が記載されていますので、これを見れば「番号確認」も行えます。

(2)通知カード+身元確認書類

マイナンバー提示者がマイナンバーカードを持っていないが、通知カードを持っている場合です。この場合は「通知カード」と「身元確認書類」の2つで確認を行います

通知カードとは国民全員に配られたマイナンバーが記載されているカードです。これで「番号確認」が可能です。

※通知カードは2020年5月25日に廃止されていますが、通知カードに記載された氏名・住所と、住民票の氏名・住所が一致している場合は、番号確認に利用可能です。

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次に、身元確認は各種の身元確認書類で行います。

下表の(A)の身元確認書類があれば1点で確認可能です。
そうでない場合は、下表(B)の身元確認書類2点で確認します。

(A)
1点で身元確認
・運転免許証
・運転経歴証明書
(交付年月日が平成24年4月以降のもの)
・住民基本台帳カード
・パスポート(旅券)
・身体障害者手帳
・在留カード
など
(B)
2点で身元確認
・健康保険証
・年金手帳
・社員証
・学生証
・学校名が記載された各種書類
・医療受給者証
・その他、氏名と生年月日、または
氏名と住所が記載されている公的な書類

身元確認書類に有効な書類は他にも多くありますので、下記をご参考ください。

【引用】東京都主税局:マイナンバー(個人番号)を記載した申告書等の提出時の本人確認について

(3)住民票の写し+身元確認書類

マイナンバーカードも通知カードも所持していない場合は、マイナンバーが記載された住民票で番号確認が可能です。

代理で取得はできませんので、マイナンバー提示者本人に、市区町村役場またはコンビニで入手していただきます。

身元確認は、すでに説明したのと同じく、身元確認書類で行います。

(4)知覚による身元確認

マイナンバーの提示者が控除対象配偶者や従業員の場合は「身元確認書類」の提示に代わって知覚でも、確認できます。

知覚とは簡単に説明すると、目視による確認(見て判断する)方法です。これによって本人であることに相違ないと判断して「身元確認」とすることができます。

たとえば、会社の部署のマイナンバー担当者は従業員個人を見れば本人であるとわかりますし、また、従業員に扶養されている控除対象配偶者は、従業員が見れば本人であるとわかります。

なお、この方法を利用する場合には、番号法や税法で定められているものか同等の身元確認書類により、採用時などにあらかじめ、身元確認を行っている必要があります。

3.遠隔地の方の本人確認をする場合

近年、リモートワークやクラウドソーシングの普及により、一度も対面したことがない方に、業務を依頼することが多くなりました。

この場合、マイナンバー提示者からマイナンバーカード等を直接提示を受けることができませんので、主に次の3パターンにより確認を行います。

(1)郵送による確認

時間とコストはかかりますが、最もオーソドックスな方法です。

たとえば、証券口座を開設する場合、顧客が証券会社にマイナンバーを提供する方法としてよく利用されています。

事業者がマイナンバー提示者に対して、マイナンバーを提示するように依頼する書類を送ります
そして、マイナンバー提示者は、送付された依頼書に「マイナンバーカードの写し」などを貼って返送します。

返送してもらう書類については、「2.対面で本人確認をする場合」で説明したように、次のようないずれかの書類になります。

  • ①マイナンバーカードの写し
  • ②通知カードの写し+身元確認書類(の写し)
  • ③マイナンバーが記載された住民票+身元確認書類(の写し)

返送されたマイナンバーカードの写しなどから「番号確認」ができます。

また、依頼書等に印字した宛先などの個人識別情報とマイナンバーカードの写しなどの個人識別情報を照らし合わすことで「身元確認」を行えます。なお、依頼書などには個人識別情報(氏名・住所)が正しく印字されていなければなりません。

(2)メールによる確認

事業者が、報酬を支払った個人(講師、ライターなど)から法定調書作成のためにマイナンバーの提供を受ける場合が想定されます。

メールによりマイナンバー(個人番号)の提供を受ける場合は、撮影もしくはスキャナによるイメージデータ化によって提出を受けることができます。

マイナンバー提示者に撮影またはスキャンしてもらう内容については、「(1)郵送による確認」で記載したものの、いずれかになります。

継続的な契約関係にある場合には、提供を受けたマイナンバーを法定調書作成のために保管しておき、次回改めてマイマンバーの提供を受ける必要はありません。

なお、メールによる送受信は情報漏洩リスクが発生しますので、個人情報の扱いについて必要な措置を講じなければなりません(送信ファイルを暗号化しパスワードをかける、送信間違いを防止する、送信するPCのウィルスチェックをするなど)。

マイナンバー提示者側にも、セキュリティ対策に協力していただく必要がありますが、相手の環境次第では難しいかもしれません。その場合、次で紹介する「電子ファイルによる確認」のほうが現実的でしょう。

(3)インターネットの専用ページによる確認

インターネットの専用ページにて、あらかじめ本人確認をした上で発行されたID・パスワードによりログインし、そこに、撮影またはスキャンしたマイナンバーのデータをアップロードしてもらうことも可能です。

マイナンバー提供者がID・パスワードでログインしたことをもって「身元確認」とします。
また、専用ページでマイナンバー関連書類のデータをアップロードすることで、「番号確認」が行えます。

専用ページについては、クラウドのマイナンバー管理サービスがありますので、それらのクラウドサービスを利用するか、または独自で作成することも可能です。

ファイルのアップロードについては、「KDDIファイルストレージ」のようなセキュリティ対策が万全に施されたサービスを利用し、マイナンバー提示者に対して、その人のみがアクセスおよびアップロード可能な専用URLを発行してアップしてもらう方法もあります。

なお、あらかじめ本人確認を取っており、その上でID・パスワードの発行が行われていないと、この方法を利用できません。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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