2024年10月から郵便料金値上げ、はがき85円、消費税は?

郵便 郵送 ポスト

2024年10月から郵便料金が大幅に値上げされました。

はがきは63→84円に、手紙は84→110円に値上げされました。どちらも30%以上という驚異的な値上げ幅です。

1.2024年10月から郵便料金の値上げ、消費税の金額

2024年10月から郵便料金が値上げされました。

2019年10月に消費税が8%から10%に増税されたときに値上げされたばかりでしたが、今回は、そのときと比べ物にならないほど大幅に値上げされました。
郵便の利用回数が減っており、郵便事業の収支が赤字になっているというのが理由です。
(詳しい説明は「郵便料金値上げの理由」を参照ください。)

値上げ前と値上げ後の郵便料金は次のようになります。()内は消費税10%です。

はがき・定型郵便物・定形外郵便物等

    改定前の料金
()内は
消費税※1
改定後の料金
()内は
消費税※1
値上げ
はがき 通常はがき 63円(5円) 85円(7円) 22円
往復はがき 126円(11円) 170円(15円) 44円
定型郵便物 25g以内 84円(7円) 110円(10円) 26円
50g以内 94円(8円) 16円
定型外郵便物
規格内
50g以内 120円(8円) 140円(12円) 20円
100g以内 140円(10円) 180円(16円) 40円
150g以内 210円(19円) 270円(24円) 60円
250g以内 250円(18円) 320円(29円) 70円
500g以内 390円(35円) 510円(46円) 120円
1kg以内 580円(52円) 750円(68円) 170円
レターパック レターパックライト 370円(33円) 430円(39円) 60円
レターパックプラス 520円(47円) 600円(54円) 80円
  スマートレター 180円(13円) 210円(19円) 30円

※1 消費税は、郵便料金に10/110をかけ、1円未満を切り捨てています。

値上げ率という観点では、はがきが約35%近くの上昇と、最も値上げ率が大きいです。

封筒は、今までは、25g以内と50g以内で料金が分かれていましたが、50g以内の料金に統一されました。
25g以内の封筒の値上げ率は約31%です。

一方、レターパックライト・レターパックプラスなど、業務によく利用されているものは、15~16%程度の値上げ率にとどまっています。

速達・書留・配達証明・内容証明・特定記録など

    改定前の料金
()内は
消費税※1
改定後の料金
()内は
消費税※1
値上げ
速達 250g以内 260円(23円) 300円(27円) 40円
1kg以内 350円(31円) 400円(36円) 50円
4kg以内 600円(54円) 690円(62円) 90円
書留 現金書留・一般書留 480円(43円) 480円(43円)
簡易書留 350円(31円) 350円(31円)
配達証明 差出時 350円(31円) 350円(31円)
差出後 480円(43円) 480円(43円)
内容証明 謄本1枚 480円(43円) 480円(43円)
謄本1枚ごとに+ 290円(26円) 290円(26円)
特別送達   630円(57円) 630円(57円) 
特定記録   160円(14円) 210円(19円) 50円
本人限定
受取郵便
  210円(19円) 270円(24円) 60円

※1 消費税は、郵便料金に10/110をかけ、1円未満を切り捨てています。

郵便の特別料金については、速達・特定記録・本人限定受取郵便などの料金は値上げされましたが、書留・配達証明・内容証明・特別送達などの料金は据え置かれました。

クリックポスト・ゆうパケット・ゆうメール

    改定前の料金 改定後の料金
()内は
消費税
値上げ幅
クリックポスト 3cmまで 185円 185円(16円)
ゆうパケット 1cmまで 250円 250円(22円)
  2cmまで 310円 310円(28円)
  3cmまで 360円 360円(32円)
ゆうメール 150gまで 180円 180円(16円)
  250gまで 215円 215円(19円)
  500gまで 310円 310円(28円)
  1kgまで 360円 360円(32円)

郵便料金が値上げされた一方で、ゆうパケット・ゆうメールなどは、料金は据え置きとなっています。

2.過去の増税と郵便料金の値上げ

過去の消費税の増税と、その他のタイミングで、郵便料金は徐々に上昇してきました。

時期 値上げの内容 はがき 手紙
1981年4月1日 40円 60円
1989年4月1日 消費税3% 41円 62円
1994年1月24日 料金改定 50円 80円
2014年4月1日 消費税8% 52円 82円
2017年6月1日 人手不足による人件費の上昇 62円 82円
2019年10月1日 消費税10% 63円 84円
2024年10月1日 人件費と燃料費の上昇 85円 110円

1989年からの約30年間で、はがきの価格は約2.1倍に、手紙の価格は約1.8倍に上昇しています。

3.切手に消費税はかからないが、郵送料金にはかかる

以下は消費税8%時代の金額ですが、料金改定後も、消費税の仕組みは同じです。

郵便局やコンビニで切手を購入すると、領収書には「非課税計○○円」と記載されているはずです。
つまり、切手には消費税はかかりません。
(下記は、82円切手10枚を購入したとき)

領収書 切手

一方で、郵便局の窓口で封筒を差し出して郵送料金を払うと、領収書には「課税計○○円(内消費税等○円)」と記載されています。
つまり、郵送料金には消費税がかかります。
(下記は、封筒を1通郵送したとき)

領収書 郵送

これは、切手を購入したときも、郵送したときも消費税がかかると二重に消費税がかかることになってしまうため、切手の購入時には消費税はかからず、郵送したときにだけ消費税がかかるようになっています。

4.郵便料金値上げの理由:赤字

郵便料金がなぜこんなに値上げされたのか、疑問に思う方もいることでしょう。その理由は簡単で、郵便事業が赤字だからです。

総務省の資料によると、2001年(平成13年)から2022年(令和4年)にいたるまで、国内の郵便物数は45%も減少しました。さらに、職員の賃金引き上げや燃料費高騰が重なって経費が増え、2022年(令和4年)の郵便事業の営業損益は、211億円の赤字となりました。郵便事業の営業損益が赤字になったのは、民営化以降初めてのことです。

【出典】総務省:25g以下の定形郵便物等の上限料金の改定について

また、郵便事業の正社員の平均給料は、大企業の社員の平均給料よりも月額4万円以上も低くなっています。
今後も、郵便物数は大幅に減少し、収益もさらに大幅な赤字になることが予想されています。

そこで、収支改善のために、郵便料金を大幅に値上げされることになったのです。
ただし、レターパックなど一部の郵便物については、利用者の利便性の観点から低い値上げ率となりました。

ちなみに、総務省統計局の家計調査結果によると、2022年の1世帯当たりの郵便料の支出額は、支出全体のわずか0.1%(3593円)です。しかも、そのうち、6割強は、年賀状であるとのことです。
郵便料金を3割値上げしても、国民は困らないと判断したのでしょう。

ただ、ハガキや手紙は割高感がさらに強くなりましたので、ますます郵便物を出す人が減っていくと思われます。

また、今回の値上げで一時的に郵便事業の収支は改善されるものの、2026年度以降は赤字の予測であり、今後もさらなる値上げの可能性はあります。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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