医療費控除と通院の交通費|対象になるもの、ならないものは?
この記事では、医療費控除の対象になる交通費・対象外の交通費を整理して解説します。[続きを読む]
この記事では、歯医者でかかった費用が医療費控除の対象となる条件をわかりやすく解説します。医療費控除を上手に活用して、治療費の負担を軽減しましょう
目次
歯医者さんへの通院は、多くの人にとって身近な出来事です。虫歯の治療から矯正まで、さまざまな治療がありますが、これらの治療費は意外に高額になることがあります。そんな時に役立つのが「医療費控除」という制度です。
医療費控除とは、1年間にかかった医療費の一部を税金(所得税)から引くことができる制度のことを指します。これにより、医療費の負担を軽くすることが可能です。
歯医者での治療費も、条件に当てはまれば控除の対象になります。
歯医者での治療費を含め、1年間の医療費が一定の金額を超えれば医療費控除を利用することができます。
しかし、どのような治療が控除の対象になるのか、また確定申告はどうすればいいのか、分かりにくい部分も多いですよね。
次章から、医療費控除について、歯医者の治療費に焦点を当ててわかりやすく解説します。
歯医者での治療が医療費控除の対象になるかどうかは、治療の種類によって異なります。
一般的には、以下のような、健康を維持するための治療は控除の対象になります。これらの治療は、歯と口の健康を守るために必要なものとされているためです。
しかし、すべての歯科治療が控除の対象となるわけではありません。
たとえば、審美的な目的で行うホワイトニングや、特に高額な素材を使用した治療(例えば、1本100万円を超える金歯等)は、医療費控除の対象外となることが多いです。
これらは、健康維持よりも見た目を重視した治療と見なされるためです。
また、日常の歯磨き用品や、通常の予防のためのクリーニングも、医療費控除の対象には含まれません。これらは、個人の衛生管理の一環として考えられるためです。
最近では、新しい治療法や素材が登場していますが、これらが医療費控除の対象となるかどうかは、その治療が健康維持のために必要かどうかによります。詳細なケースについては国税庁や税理士に確認することをお勧めします。
医療費控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
病院やクリニック、そして歯医者での治療にかかった費用を申告する手続きが必要ということですね。その際に必要な書類は以下の通りです。
これらの書類を準備し、確定申告の期間内に税務署に提出するか、e-Taxでオンライン提出します。
確定申告は原則、毎年2月16日から3月15日までの期間に行われますが、還付申告の場合、e-Taxを利用することで1月初旬から申告が可能です。
なお確定申告は、スマホやパソコンを利用したe-Taxが便利です。
病院での支払い主に現金払いが多いですが、歯科医の場合、自由診療(自費診療)で治療費が高額になることが多いクリニックでは、クレジットカード払い、ローンや分割払いが可能なこともあります。
こうした支払い方法が可能な場合、医療費控除の申請に影響がでるのでしょうか?
一般に、未払いの治療費がある場合は実際にその年のうちに支払った金額のみを控除額に算入します。例えば100万の治療費が発生したけど、その年のうちは20万円だけ払い、80万円はまだはらっていないという状態なら、その年分の医療費控除で医療費としてカウントしていいのは20万円です。
しかし、歯科ローンやクレジットカードの分割払いを利用する場合、つまり医療機関と患者の間にクレジットカード会社やローン会社などの金融機関が介入する場合は話が別なのです。
患者が金融機関とローンの契約をして、金融機関が医療機関に100万円を立て替え払いをしたのなら、患者が金融機関にお金を全額返済していなくても、100万円がそのままその年分の医療費控除の対象となるという事ですね。
国税庁HPでも以下のように解説しています。
歯科ローンは、患者が支払うべき治療費を信販会社が立替払をして、その立替分を患者が分割で信販会社に返済していくものです。したがって、信販会社が立替払をした金額は、その患者のその立替払をした年(歯科ローン契約が成立した時)の医療費控除の対象になります。
なお、ローンの利用に伴う手数料や利息は、医療費控除の対象外です。
これは、治療費自体ではなく、金融サービスに対する支払いと見なされるためです。
ここで、医療費控除による還付金の計算シミュレーションをしてみましょう。
例えば、ちょっと盛沢山すぎるかもしれませんが、以下のような歯科治療を受けたとします。
これらの治療費の合計は942,300円となり、このうち自由診療の費用が940,000円です。
医療費控除の計算では、これらの費用から10万円(所得が200万以下の場合は所得の5%)を差し引きます。
治療費から10万円を差し引くと、控除額は842,300円(942,300円 - 10万円)となります。
この控除額に所得税率を乗じて還付金額を計算します。
所得税率が10%の場合、還付金額は84,230円(842,300円 × 10%)となります。
歯科治療に限らず、医療費控除の対象となるのは治療費だけではありません。
通院にかかる交通費も、条件によっては医療費控除の対象となり得ます。ここでは、通院費が医療費控除の対象となる条件について説明します。
公共交通機関を利用して通院した場合の費用は、医療費控除の対象になります。これには、電車やバスなどの交通費が含まれます。また、子供や付添が必要な場合の付添人の交通費も含まれます。
一方で、自家用車で通院した際のガソリン代や駐車料金は、医療費控除の対象外となります。同様に、タクシー代も通常は対象外です。
交通費の申請については以下の記事も併せてご覧いただければと思います。
また、医療費控除は生計を一にする家族の医療費を合算して申請することができますので、家族の中で2人以上、医療費の支払いがあるようなら合算することで控除額を引き上げることが可能です。
この記事では、歯医者での治療費が医療費控除の対象となる条件、必要な書類、控除額の計算方法、さらに通院費の控除について解説しました。
はい、一般的に保険診療と自由診療の両方の歯科治療が医療費控除の対象となります。保険診療はもちろん、インプラントや審美目的でない歯列矯正などの自由診療も、治療目的であれば医療費控除の対象になります。
はい、歯科治療のための通院に使った公共交通機関の費用は医療費控除の対象になります。ただし、自家用車で通院した際のガソリン代や駐車料金は対象外です。
はい、ローンや分割払いで支払った歯科治療費は、その年に実際に支払った金額が医療費控除の対象となります。ただし、ローンの利息部分は控除対象外です。
いいえ、美容目的の歯科治療、例えばホワイトニングや審美的な目的の歯列矯正は医療費控除の対象外です。治療目的であることが必要です。