インボイス制度の少額特例とは? 1万円未満はインボイス不要
少額特例では、1万円未満の取引なら、インボイスがなくても仕入税額控除を適用できます。内容、適用条件、期間について、い…[続きを読む]
インボイス制度では、消費税の仕入税額控除を適用するには、インボイス(適格請求書)が必要です。
では、自販機で飲料を購入したら、どうやってインボイスを入手すればいいのか?
実は、自販機特例で、インボイスは不要ですが、住所メモが必須です。
課税事業者が消費税を控除するには、原則として、売り手が発行したインボイス(適格請求書)が必要です。
しかし、自動販売機で飲料を購入したら、インボイスを発行してもらうことは困難です。
そこで、「自販機特例」で、インボイスがなくても、帳簿の保存のみで、仕入税額控除を受けることができます。
自販機特例を適用するための条件です。
対象となるのは、飲食料などの自動販売機のほか、コインランドリー、コインロッカー、金融機関のATMなど、その場に人がおらず、代金を支払うと自動的に商品・サービスが提供される形態のものです。
金額は税込みで3万円未満です。通常、自販機で3万円を超える商品を購入することはほぼありませんので、金額は問題ないでしょう。
ただし、飲食店内にある食券の券売機や、コンビニ・スーパーのセルフレジなどは対象外です。飲食店やコンビニ・スーパーでは店員がいて、本来であれば、その店員を介して支払いをするところを、単に機械装置により精算しているにすぎないため、自販機特例の対象にはなりません。
まれに飲食店内に自販機が置いてあるケースがありますが、料金は別途で支払い専用のコインなどを渡されて、それで購入する場合は、飲食店が提供する飲食物サービスとみなされますので、自販機特例の対象にはなりません。その代わり、1万円未満であれば、「少額特例」の対象になります。
飲食店内に自販機が設置されていても、通所どおり、お金を入れて購入できる自販機であれば、自販機特例の対象になります。
自販機特例を適用する場合、インボイスは不要ですが、次の内容を帳簿に記載する必要があります。
金融機関のATMの場合、このようになります。
自販機で飲料を購入した場合、レシートや領収書は発行されません。
そこで、帳簿に記入するときに困らないように、どこで購入したか、その場所の住所をメモをしておくのが良いでしょう。
ここで、住所はどこまで記入すればよいかですが、国税庁のFAQを参照すると、「〇〇市 自販機」と例が書いてあります。とりあえず、市区町村単位まで記入すれば良いのでしょうか。
念のため、国税庁のインボイスコールセンターに問い合わせてみたところ、「住所をどこまで記入すれば良いかという明確な決まりはありませんが、場所がわかるようにして下さい」とのことでした。
もし正確な住所がわかるなら「〇〇市〇〇町1-2-3」というように正確に記入すれば良いですし、わからなければ、市区町村単位まででも良さそうです。
出張先などで自販機がある位置の住所がわからないときは、自販機で購入したら、スマホのマップアプリを開いて住所をメモするようにしましょう。
コインパーキングは無人ですし、電車の切符の販売機についても、最近は無人駅もありますので、自販機特例の対象になるように思われますが、コインパーキングや電車の切符の販売機は自販機特例の対象外です。
なぜかというと、機械は代金の受領を行うだけで、商品・サービスの提供は別途行われるからです。機械が行うわけではないからです。
コインパーキングでは、駐車スペースは別途提供されており、精算機では駐車場代金を支払うだけですので、自販機特例の対象になりません。
消費税の仕入税額控除を受けるには、駐車場運営会社が発行するインボイス(適格請求書)が必要になります。ただ、受け取る人の氏名はわかりませんので、レシートにインボイス登録番号が記載された「簡易インボイス」を受け取ります。
駐車場の運営者が免税事業者であれば、簡易インボイスも発行できませんので、消費税を控除できません。
駐車場を利用する前に、その駐車場の運営者が誰か?と、インボイス登録事業者かどうかを必ず確認するようにしましょう。
ちなみに、1万円未満の料金であれば、「少額特例」を利用できますので(条件あり)、インボイスがなくても帳簿保存のみでOKです。
無人駅での切符の券売機では、自動的に切符が出てきますが、鉄道会社の提供するサービスは、切符そのものではなく、「電車にのせて運ぶ」という旅客サービスですので、自販機特例の対象外にはなりません。
ただし、電車・バス・船舶などの公共交通機関の運賃については、3万円未満なら、インボイスが不要で帳簿保存のみで仕入税額控除が可能です(公共交通機関特例)。