賞与手取り額計算ツール
※社会保険料率、雇用保険料率を令和5年4月1日~の値に変更いたしました。 アンケートのお願い ツールの機能改善と品質…[続きを読む]
10万円のボーナス・賞与が支給されても、10万円そのまま振り込まれるわけではありません。税金と社会保険料が引かれます。
ボーナス・賞与が10万円のとき、手取りはいくらになるのでしょうか? 税金と社会保険料の計算方法を具体例を使ってわかりやすく解説します。
また、ボーナス10万円は少ないのか?についても紹介します。
目次
ボーナス(賞与)の手取り額は、次の内容によって決まります。
ボーナスの額面金額が10万円のときの手取り額を、一覧表にしました。
※2023年6月時点の最新の税率・保険料率で計算しています。
39歳以下の場合、ボーナス10万円の手取り額は、こちらの表のようになります。
前月給与 | 扶養親族0人 | 扶養親族1人 | 扶養親族2人 | 扶養親族3人 |
---|---|---|---|---|
15万円 | 81,769円 | 83,510円 | 85,250円 | 85,250円 |
20万円 | 81,769円 | 83,510円 | 83,510円 | 83,510円 |
30万円 | 80,028円 | 81,769円 | 83,510円 | 83,510円 |
40万円 | 76,546円 | 78,287円 | 80,028円 | 81,769円 |
50万円 | 71,324円 | 73,065円 | 74,806円 | 76,546円 |
40歳以上では「介護保険料」も引かれるので、39歳以下の人より手取り額が少し減ります(一部、増えることもあります)。
前月給与 | 扶養親族0人 | 扶養親族1人 | 扶養親族2人 | 扶養親族3人 |
---|---|---|---|---|
15万円 | 80,896円 | 82,618円 | 84,340円 | 84,340円 |
20万円 | 80,896円 | 82,618円 | 82,618円 | 84,340円 |
30万円 | 79,174円 | 80,896円 | 82,618円 | 82,618円 |
40万円 | 75,729円 | 79,174円 | 79,174円 | 80,896円 |
50万円 | 72,285円 | 72,285円 | 74,007円 | 75,729円 |
ボーナスの額面が10万の場合の手取りは、額面のだいたい70~85%くらい(70,000~85,000円くらい)になります。
次の章では、税金と社会保険料の計算方法を説明します。税金よりも社会保険料のほうがたくさん引かれます。
ボーナス・賞与の手取り額は、税金と社会保険料を引いて計算します。
最初に社会保険料から計算します。社会保険料は次の4つがあります。
①②③は、会社と従業員で半分ずつ負担しますので、ボーナスから引かれるのは半額です。
協会けんぽ・東京のケースでは、2023年6月時点で、健康保険料率は10.00%です。(加入している健康保険組合によって保険料率が違います。)
介護保険料は40歳以上の方だけ、ボーナスから引かれます。39歳以下の方は引かれません。
協会けんぽのケースでは、2023年6月時点で、健康保険料率は1.82%(全国一律)です。(加入している健康保険組合によって保険料率が違います。)
社会保険料の中で最も高いのが、厚生年金保険料です。
協会けんぽ・東京のケースでは、2023年6月時点で、健康保険料率は18.3%です。(加入している健康保険組合によって保険料率が違います。)
雇用保険料は、会社と従業員それぞれの負担分がありますが、金額は違います。
「一般の事業」では、2023年6月時点で、従業員分の雇用保険料率は0.6%です(建設業、農林水産業、清酒製造業は0.7%)。
ここまでの社会保険料をすべて合計します。
次は税金の計算です。ボーナスにかかる税金は所得税のみです。住民税は発生しません。
源泉徴収税率は、「賞与に関する源泉徴収税額の算出率の表」を見て決定します。
前月の給与から社会保険料を控除した後の金額と、扶養親族の人数で決まります。表の金額の単位は「千円」ですので、ご注意ください。
毎月の給与が30万円だと、社会保険料を控除すると約25万4千円(計算省略)です。扶養家族は0人の列で、かつ、25万4千円が間に入る行を探して、その左の税率を参照すると、税率は6.126%です。
あとは、税金と社会保険料を引けば、手取り金額が出ます。
ボーナス10万円の場合の、税金と社会保険料を一覧にしました。社会保険料(厚生年金保険料)が一番高いです。
項目名 | 金額 |
---|---|
健康保険料 | 5,000円 |
介護保険料 | 910円 |
厚生年金保険料 | 9,150円 |
雇用保険料 | 600円 |
所得税 | 5,166円 |
手取り額 | 79,174円 |
なお、こちらの動画でも、ボーナスの手取り額の計算方法も説明しています。
賞与の手取り額を計算するツールもありますので、ご自由にご利用ください。
ボーナス10万円は少ない、と見るか、もらえるだけで有り難いと、考えるかは、何を基準にするかによって異なります。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の結果では、ボーナスの1人当たりの平均支給額は、2022年夏が389,331円、2022年冬が392,975円でした。
平均額で見ると、ボーナス10万円は圧倒的に少ないということになってしまいます。
ただし、業種別に見ると、高い業種と低い業種で大きな差があります。
2022年夏季ボーナス | 2022年冬季ボーナス | |
---|---|---|
鉱業,採石業等 | 595,716円 | 544,456円 |
建設業 | 524,047円 | 498,569円 |
製造業 | 527,118円 | 514,074円 |
電気・ガス業 | 777,339円 | 805,880円 |
情報通信業 | 687,247円 | 662,768円 |
運輸業,郵便業 | 368,827円 | 390,812円 |
卸売業,小売業 | 357,998円 | 365,502円 |
金融業,保険業 | 644,728円 | 621,410円 |
不動産・物品賃貸業 | 494,650円 | 554,675円 |
学術研究等 | 659,687円 | 634,606円 |
飲食サービス業等 | 63,793円 | 67,605円 |
生活関連サービス等 | 157,582円 | 164,324円 |
教育,学習支援業 | 493,306円 | 537,509円 |
医療,福祉 | 275,083円 | 309,224円 |
複合サービス事業 | 428,876円 | 455,815円 |
その他のサービス業 | 217,344円 | 217,774円 |
【出典】
・厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報等」
・厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等」
ほぼすべての業種でボーナス支給の平均額は10万円より多いですが、飲食サービス業だけは10万円以下です。
もしあなたが飲食業で働いているならば、ボーナス10万円は業界内では少なくはないと言えるかもしれません。
ところで、ボーナス(賞与)は給与と違って必ず支給されるものではありません。中小企業では、会社の業績が悪いとボーナスが支給されないことも多いです。
同じく、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の結果によると、ボーナスが支給された事業所数の割合は、2022年夏が66.8%、2022年冬が70.5%でした。
つまり、約3分の1の事業所では、ボーナスが支給されないということです。ここから判断すると、たとえ10万円であっても、支給されるだけ良いという考え方もできます。
業種別で見てみると、支給割合も高いところと低いところがあります。
2022年夏季ボーナス | 2022年冬季ボーナス | |
---|---|---|
鉱業,採石業等 | 100.0% | 100.0% |
建設業 | 66.5% | 76.4% |
製造業 | 71.6% | 76.6% |
電気・ガス業 | 90.7% | 90.3% |
情報通信業 | 72.9% | 75.1% |
運輸業,郵便業 | 69.8% | 75.4% |
卸売業,小売業 | 67.2% | 67.9% |
金融業,保険業 | 91.0% | 89.6% |
不動産・物品賃貸業 | 78.5% | 80.2% |
学術研究等 | 77.8% | 81.6% |
飲食サービス業等 | 46.2% | 54.9% |
生活関連サービス等 | 50.3% | 50.8% |
教育,学習支援業 | 75.5% | 75.5% |
医療,福祉 | 69.7% | 73.9% |
複合サービス事業 | 95.5% | 93.5% |
その他のサービス業 | 71.8% | 73.6% |
ほとんどの業種で、夏より冬のほうが支給割合が少し高いです。
多くの業種では、3分の2の割合で支給されていますが、飲食サービス業と生活関連サービス業では、支給割合は約半分です。残りの半分の企業では、ボーナスが支給されないということです。
従業員数別に見ると、大企業ほどボーナス支給割合が高くなります。
従業員数 | 夏季賞与 | 冬季賞与 |
---|---|---|
5人~29人 | 63.2% | 67.3% |
30人~99人 | 88.7% | 90.1% |
100人~499人 | 93.1% | 93.6% |
500人以上 | 96.5% | 97.4% |
従業員数30人未満の企業では、ボーナス支給割合は約3分の2です。残り3分の1では支給されません。
大企業では支給割合が高いですが、従業員500人以上の企業でも、3%くらいの企業ではボーナスが支給されていないことがわかります。
たとえ10万円でも、ボーナスが支給されるだけ有り難いのかもしれません。
だいたいの企業では、ボーナス支給の条件として、「対象期間に勤務していたこと」があります。
ボーナスは全員に支給されるものではなく、ある期間、働いてくれた従業員への報酬だからです。
対象期間は、大企業であれば、次のような決め方が多いです。
つまり、4月入社の新入社員や、4月に転職した人だと、ボーナス支給対象期間に働いていないので、もらえないことになります。
ただ、それではモチベーションがわかないかもしれないので、会社によっては、特例として、新入社員や転職してきた社員にも、いくらかのボーナスを支給することがあります。
その場合の金額は、寸志として、数万円から10万円程度のことが多いようです。
もし、あなたが新入社員や転職したばかりで10万円のボーナスをもらったのであれば、十分にもらっているほうかもしれません。