【2024年版】ボーナス60万円の手取りと税金の計算

ボーナスが60万円となると、サラリーマン全体から見ても比較的高額な金額と言えます。ただし、社会保険料や税金を引かれますので、手取りは思ったより少ないかもしれません。

ボーナス60万円の手取りがいくらか? 税金と社会保険料の計算方法を具体例を使ってわかりやすく解説します。

1.ボーナス60万円の手取り額一覧

ボーナスの手取り額は、次の項目を基に計算します。

  • ボーナス支給月の前月の給料(健康保険料などを引く前の金額、定期代などの交通費は含まない)
  • 扶養家族の人数
  • 年齢(39歳以下 or 40歳以上)

ボーナスの額面金額が60万円のときの手取り額の一覧です。

※2023年6月時点の最新の税率・保険料率で計算しています。

(1)39歳以下の場合

39歳以下の場合のボーナス60万円の手取り額の一覧です。

  扶養親族0人 扶養親族1人 扶養親族2人 扶養親族3人
前月給与15万 490668円 501114円 511560円 511560円
前月給与20万 490668円 501114円 501114円 501114円
前月給与30万 480222円 490668円 501114円 501114円
前月給与40万 459330円 469776円 480222円 490668円
前月給与50万 427992円 438438円 448884円 459330円

(2)40歳以上の場合

40歳以上では「介護保険料」が引かれます。そのため、一般的には、39歳以下の人より手取り額が少なくなります(一部、増えることもあります)。

  扶養親族0人 扶養親族1人 扶養親族2人 扶養親族3人
前月給与15万 486064円 496412円 506760円 506760円
前月給与20万 486064円 496412円 496412円 506760円
前月給与30万 475716円 486064円 496412円 496412円
前月給与40万 455020円 475716円 475716円 486064円
前月給与50万 434324円 434324円 444672円 455020円

ボーナスの手取りは額面金額の75~85%くらい

ボーナスの額面金額が60万の場合の手取りは、額面金額のおよそ75~85%です。

次章で、税金と社会保険料の計算方法を説明します。一番多く引かれるのは、社会保険料です。

2.60万円のボーナスの手取り額・税金の計算方法

ボーナス・賞与の手取り額は、税金と社会保険料を引いて計算します。

[ボーナスの手取り額] = [額面の金額] – [税金の金額 + 社会保険料]
40歳以上、独身(扶養家族なし)、前月給与40万円のケースで解説します。

(1)社会保険料の計算

最初に社会保険料から計算します。社会保険料は次の4つがあります。

  • ①健康保険料: [ボーナスの金額] × [健康保険料率] ÷ 2
  • ②介護保険料:  [ボーナスの金額] × [介護保険料率] ÷ 2
  • ③厚生年金保険料: [ボーナスの金額] × [厚生年金保険料率] ÷2
  • ④雇用保険料: [ボーナスの金額] × [雇用保険料率]

①②③は、会社と従業員で半分ずつ負担しますので、ボーナスから引かれるのは半額です。

健康保険料

協会けんぽ・東京を想定すると、2024年6月時点で、健康保険料率は9.98%です。(加入している健康保険組合によって保険料率が違います。)

[ボーナス金額60万円] × [健康保険料率9.98%] × [1/2] =29,940円

介護保険料

40歳以上の方は、介護保険料もボーナスから引かれます(39歳以下の方は引かれません)。

協会けんぽのケースでは、2024年6月時点で、保険料率は1.6%(全国一律)です。(加入している健康保険組合によって保険料率が違います。)

[ボーナス金額60万円] × [保険料率1.6%] × [1/2] =4,800円

厚生年金保険料

社会保険料の中で最も高いのが、厚生年金保険料です。保険料率は18.3%です。

[ボーナス金額60万円] × [保険料率18.3%] × [1/2] =54,900円

雇用保険料

雇用保険料は、会社と従業員でそれぞれ負担します(負担する金額は違います)。

「一般の事業」では、2024年6月時点で、従業員分の雇用保険料率は0.6%です(建設業、農林水産業、清酒製造業は0.7%)。

[ボーナス金額60万円] × [雇用保険料率0.5%] =3,600円

社会保険料の合計

ここまでの社会保険料をすべて合計します。

29,940円 + 4,800円 + 54,900円 + 3,600円 = 93,240円

(2)税金(所得税)の計算

次は税金の計算です。ボーナスにかかる税金は所得税のみです。住民税は発生しません。

[所得税] = [ボーナスの金額 - 社会保険料の合計額] × [源泉徴収税率]

源泉徴収税率は、「賞与に関する源泉徴収税額の算出率の表」を見て決定します。

源泉徴収税額表 賞与

前月の給与から社会保険料を控除した後の金額と、扶養親族の人数で決まります。表の金額の単位は「千円」ですので、ご注意ください。

毎月の給与が40万円だと、社会保険料を控除すると約34万円(計算省略)です。扶養家族は0人の列で、かつ、34万円が間に入る行を探して、その左の税率を参照すると、税率は10.21%です。

[所得税] = [ボーナス金額60万円 - 93,240円] × [10.21%] = 51,740円

最後に、税金と社会保険料を引けば、手取り金額が出ます。

[ボーナスの手取り額] = [ボーナス金額60万円] – [93,240円 + 51,740円] = 455,020円

(3)ボーナス60万円では、社会保険料(厚生年金保険料)が高い

ボーナス60万円の場合の、税金と社会保険料の一覧です。社会保険料(厚生年金保険料)が一番高いです。

項目名 金額
健康保険料 29,940円
介護保険料 4,800円
厚生年金保険料 54,900円
雇用保険料 3,600円
所得税 51,740円
手取り額 455,020円

なお、こちらの動画でも、ボーナスの手取り額の計算方法も説明しています。

賞与の手取り額を計算するツールもありますので、ご自由にご利用ください。

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3.ボーナス60万円は多い?少ない?

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」のデータでは、ボーナスの1人当たりの平均支給額は、2023年夏が397,129円、2022年冬が395,647円です。

ボーナス60万円は高額な部類に入ることがわかります。

(1)業種別・会社規模別

業種別

ただ、業種別に見ると、高い業種と低い業種で大きな差があります。

電気・ガス業、情報通信業、金融業・保険業、学術研究等、一部業種のボーナス金額は60万円以上です。それ以外の業種のボーナス金額は60万円より少ないです。

業種別1人当たり平均賞与額
  2023年夏季ボーナス 2023年冬季ボーナス
鉱業,採石業等 551,276円 581,210円
建設業 540,695円 499,260円
製造業 535,180円 523,946円
電気・ガス業 745,209円 803,194円
情報通信業 708,645円 713851円
運輸業,郵便業 387,908円 411,790円
卸売業,小売業 358,409円 367,165円
金融業,保険業 667,956円 645,024円
不動産・物品賃貸業 656,400円 548,808円
学術研究等 690,847円 630,490円
飲食サービス業等 59,978円 69,234円
生活関連サービス等 186,583円 170,269円
教育,学習支援業 522,001円 535,395円
医療,福祉 270,804円 290,826円
複合サービス事業 425,769円 459,608円
その他のサービス業 238,013円 239,074円

【出典】
厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報等」
厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年9月分結果速報等」

会社の規模別

従業員数別に見ると、大企業ほどボーナスが多くなります。

2022年ボーナス平均額
従業員数 夏季賞与 冬季賞与 合計額
5人~29人 265,204円 274,651円 539,121円
30人~99人 338,240円 354,645円 691,605円
100人~499人 417,894円 452,892円 894,443円
500人以上 636,176円 642,349円 1,315,951円

従業員数500人以上の企業だと、ボーナス金額は60万円以上です。従業員数499人以下の企業だと、ボーナス金額は60万円よりかなり少ないです。

(2)20代・30代・40代でボーナス60万は多い?少ない?

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」(10人以上の企業)のデータでは、20代・30代・40代の1年間のボーナス支給額は、次のようになっています。

年齢別、2022年賞与支給額
年齢 1年間のボーナス支給額 1回当たりの支給額
20~24歳 382,200円 191,100円
25~29歳 655,500円 327,750円
30~34歳 799,300円 399,650円
35~39歳 926,100円 463,050円
40~44歳 1,012,800円 506,400円
45~49歳 1,081,300円 540,650円

データは年間のボーナス額ですので、夏と冬に年2回ボーナスが支給されるとして、単純に2で割って考えれば良いでしょう。

すると、20代・30代・40代どの年代でも、平均ボーナス金額は60万円未満です。60万円のボーナスは平均より多いことになります。

(3)大卒だけのケース

上記のデータはすべての学歴を含んでいますので、大卒だけで見るとこのようになります。

大学卒、年齢別、2022年賞与支給額
年齢 1年間のボーナス支給額 1回当たりの支給額
20~24歳 339,800円 169,900円
25~29歳 787,400円 393,700円
30~34歳 962,800円 481,400円
35~39歳 1,175,200円 587,600円
40~44歳 1,331,900円 665,950円
45~49歳 1,531,300円 765,650円

20代、30代の1回当たりのボーナス平均は60万円以下ですので、60万円のボーナスをもらったら平均より多いということになります。

40代の平均は、60万円を超えていますので、60万円のボーナスは平均より少ないです。

ボーナス(賞与)についてよくある質問

ボーナス60万円の手取り額は?

ボーナス60万円の手取り額は、440,000~510,000円くらいです。

年齢、扶養親族の人数、前月の給与額によって変わります。詳しくは、こちらをご覧ください。

ボーナス60万円の税金・社会保険料は?

ボーナス60万円、40代で扶養親族なし、前月給与が40万の場合、所得税51,666円、健康保険料30,000円、介護保険料5,460円、厚生年金保険料54,900円、雇用保険料3,600円です。

年齢、扶養親族の人数、前月の給与額によって変わります。詳しくは、こちらをご覧ください。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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