【2022年12月】ボーナス60万円の手取りと税金の計算

1回のボーナス(賞与)の金額60万円は、全体から見るとそれなりにもらっているほうですが、社会保険料や税金を引かれますので、手取りは思ったより少ないかもしれません。

ボーナス60万円の手取りがいくらか? 税金と社会保険料の計算方法を具体例を使ってわかりやすく解説します。

1.ボーナス60万円の手取り額一覧

ボーナスの手取り額は、次の項目を基に計算します。

  • ボーナス支給月の前月の給料(健康保険料などを引く前の金額、定期代などの交通費は含まない)
  • 扶養家族の人数
  • 年齢(39歳以下 or 40歳以上)

ボーナスの額面金額が60万円のときの手取り額の一覧です。

(1)39歳以下の場合

39歳以下の場合のボーナス60万円の手取り額の一覧です。

 扶養親族0人扶養親族1人扶養親族2人扶養親族3人
前月給与15万491,733円502,202円512,670円512,670円
前月給与20万491,733円502,202円502,202円502,202円
前月給与30万481,264円491,733円502,202円502,202円
前月給与40万460,327円470,796円481,264円491,733円
前月給与50万428,921円439,389円449,858円460,327円

(2)40歳以上の場合

40歳以上では「介護保険料」が引かれます。そのため、一般的には、39歳以下の人より手取り額が少なくなります(一部、増えることもあります)。

 扶養親族0人扶養親族1人扶養親族2人扶養親族3人
前月給与15万487,014円497,382円507,750円507,750円
前月給与20万487,014円497,382円497,382円507,750円
前月給与30万476,646円487,014円497,382円497,382円
前月給与40万455,909円476,646円476,646487,014円
前月給与50万435,173円435,173円445,541円455,909円

ボーナスの手取りは額面金額の75~85%くらい

ボーナスの額面金額が60万の場合の手取りは、額面金額のおよそ75~85%です。

次章で、税金と社会保険料の計算方法を説明します。一番多く引かれるのは、社会保険料です。

2.60万円のボーナスの手取り額・税金の計算方法

ボーナス・賞与の手取り額は、税金と社会保険料を引いて計算します。

[ボーナスの手取り額] = [額面の金額] – [税金の金額 + 社会保険料]
40歳以上、独身(扶養家族なし)、前月給与40万円のケースで解説します。

(1)社会保険料の計算

最初に社会保険料から計算します。社会保険料は次の4つがあります。

  • ①健康保険料: [ボーナスの金額] × [健康保険料率] ÷ 2
  • ②介護保険料:  [ボーナスの金額] × [介護保険料率] ÷ 2
  • ③厚生年金保険料: [ボーナスの金額] × [厚生年金保険料率] ÷2
  • ④雇用保険料: [ボーナスの金額] × [雇用保険料率]

①②③は、会社と従業員で半分ずつ負担しますので、ボーナスから引かれるのは半額です。

健康保険料

協会けんぽ・東京を想定すると、2022年12月時点で、健康保険料率は9.81%です。(加入している健康保険組合によって保険料率が違います。)

[ボーナス金額60万円] × [健康保険料率9.81%] × [1/2] =29,430円

介護保険料

40歳以上の方は、介護保険料もボーナスから引かれます(39歳以下の方は引かれません)。

協会けんぽのケースでは、2022年12月時点で、健康保険料率は1.64%(全国一律)です。(加入している健康保険組合によって保険料率が違います。)

[ボーナス金額60万円] × [健康保険料率1.64%] × [1/2] =4,920円

厚生年金保険料

社会保険料の中で最も高いのが、厚生年金保険料です。

協会けんぽ・東京のケースでは、2022年12月時点で、健康保険料率は18.3%です。(加入している健康保険組合によって保険料率が違います。)

[ボーナス金額60万円] × [健康保険料率18.3%] × [1/2] =54,900円

雇用保険料

雇用保険料は、会社と従業員でそれぞれ負担します(負担する金額は違います)。

「一般の事業」では、2022年12月時点で、従業員分の雇用保険料率は0.5%です(建設業、農林水産業、清酒製造業は0.6%)。

[ボーナス金額60万円] × [雇用保険料率0.5%] =3,000円

社会保険料の合計

ここまでの社会保険料をすべて合計します。

29,430円 + 4,920円 + 54,900円 + 3,000円 = 92,250円

(2)税金(所得税)の計算

次は税金の計算です。ボーナスにかかる税金は所得税のみです。住民税は発生しません。

[所得税] = [ボーナスの金額 - 社会保険料の合計額] × [源泉徴収税率]

源泉徴収税率は、「賞与に関する源泉徴収税額の算出率の表」を見て決定します。

源泉徴収税額表 賞与

前月の給与から社会保険料を控除した後の金額と、扶養親族の人数で決まります。表の金額の単位は「千円」ですので、ご注意ください。

毎月の給与が40万円だと、社会保険料を控除すると約34万円(計算省略)です。扶養家族は0人の列で、かつ、34万円が間に入る行を探して、その左の税率を参照すると、税率は10.21%です。

[所得税] = [ボーナス金額60万円 - 92,250円] × [10.21%] = 51,841円

最後に、税金と社会保険料を引けば、手取り金額が出ます。

[ボーナスの手取り額] = [ボーナス金額60万円] – [92,250円 + 51,841円] = 455,909円

(3)ボーナス60万円では、社会保険料(厚生年金保険料)が高い

ボーナス60万円の場合の、税金と社会保険料の一覧です。社会保険料(厚生年金保険料)が一番高いです。

項目名金額
健康保険料29,430円
介護保険料4,920円
厚生年金保険料54,900円
雇用保険料3,000円
所得税51,841円
手取り額455,909

なお、こちらの動画でも、ボーナスの手取り額の計算方法も説明しています。

賞与の手取り額を計算するツールもありますので、ご自由にご利用ください。

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3.ボーナス60万円は多い?少ない?

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」のデータでは、ボーナスの1人当たりの平均支給額は、2022年夏が389,331円、2021年冬が380,787円です。ボーナス60万円は平均よりは多いです。

(1)業種別・会社規模別

業種別

ただ、業種別に見ると、高い業種と低い業種で大きな差があります。

電気・ガス業、情報通信業、金融業・保険業、学術研究等の4つの業種のボーナス金額は60万円以上です。それ以外の業種のボーナス金額は60万円より少ないです。

業種別1人当たり平均賞与額
 2022年夏季ボーナス2021年冬季ボーナス
鉱業,採石業等595,716円587,736円
建設業524,047円490,735円
製造業527,118円502,134円
電気・ガス業777,339円794,941円
情報通信業687,247円671,032円
運輸業,郵便業368,827円328,857円
卸売業,小売業357,998円344,023円
金融業,保険業644,728円625,813円
不動産・物品賃貸業494,650円499,336円
学術研究等659,687円594,138円
飲食サービス業等63,793円56,091円
生活関連サービス等157,582円127,657円
教育,学習支援業493,306円520,472円
医療,福祉275,083円308,301円
複合サービス事業428,876円472,170円
その他のサービス業217,344円222,276円

【出典】
厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年2月分結果速報等」
厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等」

会社の規模別

従業員数別に見ると、大企業ほどボーナスが多くなります。

2021年ボーナス平均額
従業員数夏季賞与冬季賞与合計額
5人~29人265,204円273,076円538,268円
30人~99人338,240円344,921円683,161円
100人~499人417,894円424,899円842,793円
500人以上636,176円621,724円1,257,900円

従業員数500人以上の企業だと、ボーナス金額は60万円以上です。従業員数499人以下の企業だと、ボーナス金額は60万円よりかなり少ないです。

(2)20代・30代・40代でボーナス60万は多い?少ない?

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」(10人以上の企業)のデータでは、20代・30代・40代の1年間のボーナス支給額は、次のようになっています。

年齢別、2021年賞与支給額
年齢1年間のボーナス支給額1回当たりの支給額
20~24歳376,100円188,050円
25~29歳648,100円324,050円
30~34歳778,400円389,200円
35~39歳910,200円455,100円
40~44歳1,006,100円503,050円
45~49歳1,068,500円534,250円

データは年間のボーナス額ですので、夏と冬に年2回ボーナスが支給されるとして、単純に2で割って考えれば良いでしょう。

すると、20代・30代・40代どの年代でも、平均ボーナス金額は60万円未満です。60万円のボーナスは平均より多いことになります。

(3)大卒だけのケース

上記のデータはすべての学歴を含んでいますので、大卒だけで見るとこのようになります。

大学卒、年齢別、2021年賞与支給額
年齢1年間のボーナス支給額1回当たりの支給額
20~24歳341,500円170,750円
25~29歳774,800円387,400円
30~34歳931,000円465,500円
35~39歳1,175,400円587,700円
40~44歳1,351,400円675,700円
45~49歳1,519,200円759,600円

20、30代の1回当たりのボーナス平均は60万円以下ですので、60万円のボーナスをもらったら平均より多いということになります。

40代の平均は、60万円を超えていますので、60万円のボーナスは平均より少ないです。

監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2023年時点)。
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