年末調整でマイナスになってしまう理由はこれ!|追加徴収の原因まとめ
年末調整でや還付金が発生することの方が多いですが、場合によってはマイナスになり、追加徴収によって給料がいつもより減る…[続きを読む]
結婚や離婚は人生の一大イベントですが、税金関連にも大きな影響があり、年末調整の申告内容、還付金も変わってきます。
この記事では、離婚する場合の年末調整手続きや還付金等への影響について、わかりやすく解説します。
目次
離婚は日常生活の他に年末調整にも影響を与えます。離婚したことによって年末調整で以下の控除を受けられなくなる場合があります。
そうなると、所得税が還付されず、反対に不足が発生し、給料から追加で徴収されるケースもあります。
配偶者控除とは、婚姻関係にあり生計を一にしている(生計を共にしている)配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与収入が103万円以下)の場合に38万円の所得控除を受けられる制度です。
離婚することで、婚姻関係が解消されるため配偶者控除の適用が受けられなくなります。
また、配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下(給与収入が103万円超201.6万円未満) の場合には、段階的に所得控除が受けられる「配偶者特別控除」がありますが、離婚することで配偶者特別控除の適用も受けられなくなります。
扶養控除は、16歳以上で年間所得48万円以下(給与収入103万円以下)の子どもを扶養している場合に38万円の所得控除が受けられる制度です(19~22歳の子どもを扶養している場合は63万円の所得控除)。
離婚が原因で配偶者に16歳以上の子どもの親権を譲り、子どもと生計を一にしていない状況になった場合は、扶養控除が受けられません。
生命保険料控除の要件は、「すべての保険金の受取人が契約者本人または配偶者、その他の親族である生命保険」となっており、配偶者の場合は、婚姻している必要があります。
離婚後も保険契約を変更せずに生命保険の受取人が元配偶者になっている場合は、離婚後に支払った保険料について生命保険料控除の対象になりません(離婚前に支払った保険料は控除対象です)。
離婚が成立した際は、早急に保険受取人を6親等以内の血族(たとえば子ども)に変更し、生命保険料控除の適用を受けられるようにしましょう。
年末調整での配偶者控除や扶養控除の判断は「その年の12月31日の現況で判定」されます。
つまり、12月31日までに離婚が成立していれば配偶者控除や子どもの扶養控除が受けられず、翌年1月1日に離婚が成立すればこれらの所得控除を受けられることになります。
そのため、年末調整では年末に離婚するよりも年明けに離婚した方が有利になることが多くあります。
子どもと別居している状態でも、養育費として生活費や学資金の送金を常に行っている場合は扶養控除の適用を受けられる可能性があります。
ただし、送金が「離婚条件の履行」とみなされた場合は「生計を一」の要件に該当しなくなるため、扶養控除を受けられない場合もあります。
また、養育費をまとめて一括で支払う場合は「生活費、学資金の送金を常に行っている場合」に該当しないため、扶養控除の適用が認められませんので注意が必要です。
なお、扶養控除は父側か母側かのどちらか片方の親でしか受けることができません。両方の親で子どもの扶養控除を受けると二重控除になってしまいますので、どちらが扶養控除を受けるのか事前に話し合いを行う必要があります。
離婚後に男性が子どもを養っている場合には、2020年の年末調整より「ひとり親控除」という35万円の所得控除の適用を受けることができます。
ひとり親控除制度は2020年の税制改正で寡夫控除が見直されて新設された制度で、寡夫控除で条件になっていた離婚や死別を撤廃し、既婚・未婚に関わらず全てのひとり親家庭に対して「ひとり親控除」が適用されます。
ひとり親控除の対象になる人は、婚姻歴に関わらず次の要件を全て満たしている人が対象になります。
この場合の子とは、その年分の総所得金額等が48万円以下で他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
上記のひとり親控除の要件に全てあてはまる人は、年末調整で35万円の所得控除、住民税については30万円の所得控除を受けることができます。
見直しされる前の寡夫控除は、年末調整の所得控除額は27万円(住民税26万円)でしたので、寡夫控除に該当していた人にとっては所得控除額の増加により減税となります。
女性が離婚した場合は、養う子どもがいるかどうかで適用になる所得控除が異なります。
ひとり親控除が新設されるまでは「特別の寡婦」と「一般の寡婦」で区別されていましたが、今回の改正により、養う子どもがいるかによって「ひとり親控除」と「寡婦控除」に分類されることになりました。
離婚後、子どもを養っている女性は男性と同様に「ひとり親控除」の所得控除35万円の適用を受けることができます。
改正前は「特別の寡婦」として35万円の所得控除が適用されていましたので所得控除額は据え置きになります。特別の寡婦の要件であった「扶養親族である子」の部分が、ひとり親控除では「生計を一にする子」に緩和されています。
※「扶養親族である子」は「専業専従者でない」という要件がありますが、「生計を一にする子」にはその要件はありません。
また、次にご紹介する寡婦控除とは併用適用することはできませんので注意が必要です。
税制改正により男女間格差をなくすため、寡夫控除と特別の寡婦は「ひとり親控除」に一本化されましたが、寡婦控除については改正後も適用することができます。
ただし、寡婦控除には新たに所得要件が追加されました。
寡婦控除は次のいずれかに該当する場合に適用することができます。
寡婦控除に該当する場合の所得控除額は、27万円(住民税26万円)です。
年末調整でひとり親控除または寡婦控除の適用を受ける場合には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」にその旨を記載し、会社などの給料支払者に提出しなければなりません。
下図の「障害者、寡夫、ひとり親、勤労学生」のブロックの中の、「ひとり親」または「寡婦」のチェックボックスにチェックマークをいれましょう。
離婚した年の年末調整では、扶養が減ったことにより所得税が追徴されることがあります。これは、毎月の給料から差引かれる源泉徴収税額がその年の1月1日現在(離婚前)の扶養で計算されているためです。
そのため年末調整で適正な所得税額を算出すると、月々の源泉徴収額合計より多くなってしまい、不足分を支払わなければなりません。
また、離婚後に両方の親が子どもを扶養にしている場合、どちらか一方しか扶養控除の適用を受けることができません。扶養控除を受けることができなかった方は、扶養の人数が減るため不足額を支払わなければなりません。
離婚協議中の場合や、配偶者と別居している場合でも、12月31日時点で婚姻状態にあり配偶者を扶養していれば、配偶者(特別)控除を受けられます。
また、子どもや義父母などを扶養していれば、扶養控除を受けられます。
支払った保険料のうち、配偶者の分の控除も可能です。
12月31日時点で、すでに離婚していれば、たとえ同居していたとしても、配偶者(特別)控除を受けられません。
また、離婚により、姻族関係が終了するため、元配偶者の親族を扶養している場合は扶養控除を受けられません。ただし、自らの両親・子どもなどであれば、扶養控除が可能です。
支払保険料についても、離婚後の、元配偶者の分は控除できません。
「離婚が与える年末調整の影響」についてご紹介しました。
年末調整では離婚により、配偶者控除や配偶者特別控除、子どもの扶養控除が受けられなくなる場合があり、配偶者の分の保険料を支払っていた場合は、保険料控除の金額が少なくなる可能性があります。
ただし、離婚後に子どもを扶養している場合は「ひとり親控除」「寡婦控除」が受けられることがありますので、年末調整前に適用要件をしっかり確認しましょう。
離婚とお金の関係については、下記関連サイトでも紹介していますので、ご覧ください。