年末調整の印鑑はシャチハタでもOK?

年末調整

0.年末調整の印鑑・押印は不要になった

2021年(令和3年)以降、扶養控除等申告書などの年末調整の書類に、印鑑(はんこ)で押印する必要はなくなりました

申告書の用紙を見れば、2020年(令和2年)まではあった押印欄が消えていることがわかります。

ただし、書類を書き間違えたときは、その箇所を訂正のうえ、訂正印を押すこともあります。訂正印が必要かどうかは、会社の指示に従いましょう。

ただ、手元にシャチハタしかない場合もありますよね。

もし、訂正印が必要な場合に、シャチハタでも良いのかどうか、見ていきましょう。

1.シャチハタとは

実は、シャチハタとは印鑑の種類や商品名を指すものではなく、シヤチハタ株式会社という企業の名前です。

シヤチハタ株式会社が製造販売しているインク内蔵式のハンコの商品名は「Xスタンパー」と言いますが、商品名ではなく企業名による呼称が定着したという経緯があります。 

シヤチハタ社製のインク内蔵ハンコがあまりにも有名であるため、シヤチハタ社製以外のインク内蔵式のハンコについても「シャチハタ」と呼ばれるようになりました。
現在では「シャチハタ」と言うと、メーカーに関係なくインク内蔵式のハンコ全般を指すと考えて良いでしょう。

2.公文書では印鑑(ハンコ)を利用

朱肉いらずで便利なシャチハタですが、公文書や契約書などの重要書類にはシャチハタではなく印鑑(ハンコ)を利用するべきとされています。

その理由として次の点が挙げられます。

  • シャチハタは大量生産されており、同じ印面が複数存在するため
  • シャチハタのインクは変色しやすく、薄くなりやすいため
  • ゴム材で作られており、力加減により印影が変わることがあるため

上記のような理由から、シャチハタでは本当に本人が押印したものなのか、証拠として不十分であると考えられています。したがって公文書にはシャチハタの利用は基本的に不可とされています。

3.シャチハタがOKな場合

令和3年の年末調整から押印は不要となりました。(下記は、令和2年までの書類についての説明です)

重要書類には使用できないシャチハタですが、年末調整の申告書類に使用することはできるのでしょうか?

年末調整 印鑑

年末調整の申告書類は、勤務先の会社から税務署に提出されることとなっています。
したがって年末調整の申告書類も公的な文書ということになるため、シャチハタは使用できないように思えます。

しかし実際には、年末調整の申告書類にシャチハタを捺印してもOKな場合もあります。

その理由は、年末調整の申告書類は実際には税務署には提出されず、会社内で保存されるためです。
したがってシャチハタでもOKかどうかは会社内のルール次第ということになります。

不安な方は、会社の担当者にシャチハタでもOKかどうかを確認しておきましょう

ただし、年末調整の申告書類は、税務署から提出を求められた場合には提出する必要がある書類です。
どうしてもシャチハタしか準備できない等の理由があれば別ですが、印鑑の方が望ましいことは確かです。

4.確定申告書はシャチハタはNG

繰り返しになりますが、シャチハタは公文書等の重要書類には使用することができません。

したがって、税務署に提出する必要がある確定申告書には、シャチハタの使用はNGです。
年末調整のケースと混同しないよう注意しましょう。

ただ、確定申告書でも印鑑の押印が不要になりました。

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5.印鑑を押すのに失敗したら

年末調整の申告書類等で、印鑑またはシャチハタを押すのに失敗した場合の対処法について解説します。
印鑑の捺印には、薄かったり、場所を間違えたり、印影が欠けているなどといったミスが起こり得ます。

原則は訂正印を押して修正

公的書類の訂正は、原則として訂正箇所を二重線で消し、訂正印を押印したうえで訂正することが求められます。
訂正印に使用する印鑑は、その書類に押印した印鑑と同じ印鑑を使用するのが正式な方法です。訂正印を押すことで本人が訂正したことを示す効果があります。

ただし、印鑑の捺印ミスの訂正には別の方法も考えられます。
二重線で消すのではなく、捺印ミスをした印影と少し被るくらいの位置に訂正印を押印し、その横に改めて印鑑を捺印するという方法です。

もし年末調整の申告書類等に印鑑の捺印ミスをしてしまった場合、どのように訂正したらよいか会社の担当者に確認するのが最も安全です。後々の面倒を避けるためにも指示に従って訂正しましょう。

修正液や修正テープはNG

なお、訂正に修正液や修正テープを使用することは認められていませんので注意してください。

6.年末調整申告書はサインでも大丈夫?

日本では様々な書類に印鑑を押す必要があります。
しかし、この文化は日本独特なものであり、外国人労働者にとっては馴染みの薄い習慣です。そもそも外国人の中には印鑑を持っていない人も多くいるでしょう。

年末調整の申告書類には印鑑を押すのが原則とされています。
ただし、外国人の場合はルールが異なります。
「外国人ノ署名捺印及無資力証明ニ関スル法律」の規定により、外国人は公的書類にも印鑑は不要、署名のみでOKとされています。

一方、日本人がハンコの代わりにサインで代用することは認められるのでしょうか?
先ほども説明したように年末調整の申告書類は会社内で保存する書類であるため、印鑑の代わりとしてサインを付してもただちに問題は生じません。

ただし、繰り返しになりますが、年末調整の申告書類は税務署に提出を求められたら提出しなければならないものです。
したがって印鑑の方が安全なのは間違いないところです。

どうしても印鑑を準備できない方はサインでOKかどうかは会社の担当者に確認しましょう。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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