確定申告に印鑑は不要! でも必要な場合もあり|シャチハタは?

確定申告にはもう、印鑑の押印は必要ありません。といっても、過去分の申告をする場合など、印鑑が必要になるケースもあります。確定申告と印鑑について解説します。

1.2024年の確定申告では印鑑は不要!

結論からいうと、2024年の確定申告(令和5年分の確定申告)では、印鑑の押印は不要です。

(1)令和3年分以降の確定申告書に押印欄はない

令和2年分(2021年に行う確定申告)では、確定申告書に押印欄がありましたが、
令和3年分(2022年に行う確定申告)からは、押印欄がなくなりました。

令和2年12月に決定した「令和3年度税制改正の大綱」によって、一部の書類を除いた税務関係書類について押印が不要になったからですね。

(2)書き間違えた時も訂正印はいらない

確定申告書の場合、書き間違えても訂正印は不要です。

公式書類で書き間違えた時は、二重線をひいて訂正印をおすイメージがありますよね。ですが、確定申告書の場合、間違えたところを二重線で引いて、余白等に正しい情報を書けば問題ありません。

確定申告 訂正

2.過去分の確定申告では印鑑が必要なことも

(1)過去5年分さかのぼって申告可能

2023年に行う確定申告は、通常、令和4年分の所得に関する申告ですが、実は、過去5年分、さかのぼって申告することができます。

医療費控除などが漏れていて税金が還付されるときは「更正の請求」をします。
逆に、申告する所得が漏れていて追加で税金を払うときは「修正申告」をします。

どちらも期限は、法定申告期限から5年以内です。

ということは、2024年3月15日までであれば、平成30年分(2018年分、法定申告期限は2019年3月15日)の更正の請求や修正申告を行うことができます。平成31年/令和元年(2019年分)以降であれば、2024年中いつでも可能です。

(2)過去分は、過去の申告書の書式を利用する

ここで、問題になるのは、どの申告書の書式(フォーマット)を利用するかですが、過去分については、その年の時点で最新だった申告書の書式を利用します。

たとえば、令和2年分の更正の請求や修正申告をするのであれば、令和2年分の確定申告書を使用します。

過去分の確定申告書は、国税庁のサイトからダウンロード可能です。

【参照】国税庁:確定申告書(令和2年分以前用)

更正の請求書

更正の請求は「更正の請求書」に記入して提出しますが、令和元年分以前の更正の請求書には、氏名を記入する箇所に押印欄があります

修正申告

修正申告は、申告書Bの第一表と第五表を提出しますが、平成2年分以前の申告書Bの第一表には、氏名を記入する箇所に押印欄があります

確定申告書 印鑑 押印

3.確定申告で利用できる印鑑は? シャチハタでもいい?

これ以降は、過去分の確定申告をする際の印鑑について解説していきます。

(1)確定申告ではどんな印鑑が利用できる?

確定申告には印鑑登録した実印の他、銀行印、いわゆる三文判などの認印などが利用できます。

(2)確定申告で利用できない印鑑は?

確定申告では、インク内蔵型のはんこ、いわゆるシャチハタは利用できません。また、確定申告をする方の姓名が含まれていない屋号やペンネームなどの印鑑も利用できません。

(3)確定申告の印鑑をサインで代用することはできる?

確定申告の印鑑を忘れてしまったなどの理由であってもサインでの印鑑の代用はできません。認印などの捺印が必要になります。

4.確定申告で印鑑を押す場所は? 失敗したらどうする?

(1)確定申告で印鑑を押す場所

修正申告では、確定申告書Bを利用します。確定申告書Bでは「第一表」の右上の「氏名」欄の右側に捺印欄がありますので、こちらに押印します。同様に「第一表」の「控え」の同じ位置にも捺印欄がありますので、こちらにも押印します。

(2)確定申告で印鑑を押すのに失敗した場合

申告書の押印に失敗した場合は、修正テープや修正液は使ってはいけません。

ただし、申告書を新しく書き直す必要はなく、誤って捺印した部分に二重線を引くか、訂正印として間違って押印してしまった場所に重ねて押印し、無効であることが分かるようにします。その後に、空欄に正しい印鑑を捺印します。

よくある質問

確定申告で印鑑を押し忘れた場合はどうしたらいい?

過去分の確定申告書では押印欄がある場合があります。確定申告書の提出後に印鑑の押し忘れに気づいた場合は、そのままにせず念の為提出した確定申告コーナーや管轄の税務署に押印を忘れた旨を連絡しましょう。税務署などによって対応は異なりますが、郵送による再捺印などの指示に従いましょう。

確定申告書の控えにも印鑑は必要?

過去分の確定申告書では押印欄がある場合があります。その場合、申告書の提出の際は、原本と控えの両方に捺印が必要です。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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