【中小企業向け】雇用調整助成金の対象者・申請方法・必要書類

【5/19更新情報】厚生労働省から、雇用調整助成金について、手続きの大幅な簡略化が発表されました。助成額算定の大幅な簡略化休業等計画届提出の省略、支給申請も簡素化が実施されますので現時点の最新情報をお伝えします。

この記事では休業手当を国が助成する制度、『雇用調整助成金』について解説します。

・休業せざるを得ないけれど「休業手当」の捻出に苦心している雇用主の方
・「小規模事業主」(※)に該当しない方
・「休業手当」を貰いたいけれど上が動いてくれない従業員の方

※「小規模事業主」とは、従業員が約20人以下の会社や個人事業主をいいます。

上記に当てはまる方に、「雇用調整助成金」の基礎から自分で申請する方法まで、詳しくお伝えしていきます。

  • 雇用調整助成金について知らない、基礎から知りたい
    助成金の概要から読み始めましょう
  • 自身が助成対象に入るのか、自分の場合いくらもらえるのかを知りたい
    助成の条件から読み始めましょう
  • 自身が助成対象であることは分かっていて、申請方法を知りたい方(社労士への依頼が難しい場合)
    雇用調整助成金を自分で申請する方法から読み始めましょう

【引用】厚生労働省:雇用調整助成金

小規模事業主に該当する方は、手続き方法がさらに簡素化されていますので、次の記事をご覧ください。

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5/19、雇用調整助成金の手続きが大幅に簡略化されました。休業せざるを得ないけれど「休業手当」の捻出に苦心している雇…[続きを読む]

1.新型コロナウィルス雇用調整助成金の概要

1-1.新型コロナウィルス雇用調整助成金とは

雇用調整助成金とは、一言でいうと「従業員に支払う休業手当を国が助成してくれる制度」です。

今回のコロナ禍のように、

  • やむを得ない事情で業務の縮小や休業を余儀なくされた時
  • 従業員に「休業手当を支払って休ませる」選択を取った場合
  • 国が「休業手当」の一部を助成してくれる

という制度です。

1-2.申請までの大まかな道のり

この記事では、社労士に依頼せずに雇用調整助成金の申請手続きを自分で行う方法をご紹介します。

小規模事業主に該当しない方が、支給までに必要な大まかなステップは下記の通りで、記事内で順を追って説明していきます。

  1. ご自身(orご自身の雇用主)が助成金の対象者か否かを確認
  2. 助成金額を試算
  3. 従業員との協定を締結
  4. 休業計画書の提出(ハローワーク)
  5. 休業実施
  6. 支給申請
  7. 審査
  8. 支給(申請後約1ヵ月)

2.ステップ1 ご自身が助成金の対象者か否かを確かめましょう

2-1.対象者と条件の確認

「新型コロナウィルス雇用調整助成金」を貰うためには、次のチェックポイントを7つ全て満たしていることが条件です。まずはこの条件を確認していきましょう。

  申請できる 申請できない
1 事業者(全業種) 労働者個人
2 従業員が雇用保険に加入している 従業員が雇用保険に加入していない※1
3 新型コロナウィルスの影響による休業 コロナに関係ない業績悪化による休業
4 支給した休業手当が
平均賃金の60%以上※2
支給した休業手当が
平均賃金の60%未満
5 休業により生産指標が低下※3 生産指標の低下が基準に満たない
6 原則丸1日間休業している※4 休業を行っていない
7 休業規模が一定以上である※5 休業規模が基準に満たない

※1 アルバイト・パート等で雇用保険に加入していない従業員を休業させた場合は、「緊急雇用安定助成金」という制度で、助成金が支給されます。こちらは「雇用調整助成金」と似ていますが別の制度ですので、別途、申請が必要です。

※2 「平均賃金」とは、休業させた従業員の月給の平均ではありません。計算方法が特殊ですので、詳細は後の「平均賃金の60%以上の休業手当か」で解説します。

※3 生産指標の低下については今回のコロナ特措の場合、下記の基準が取り決められています。詳細は後の「生産指標とは?」で解説します。

  • 3月31日以前から休業している場合:1ヵ月10%以上低下
  • 4月1日~9月30日の間に休業する場合:1ヵ月5%以上低下

※4 部署・部門ごと等で、1時間以上の休業をさせても対象です。

※5 休業規模とは、休業した従業員の人数と日数を掛け合わせたものであり、一定以上の人数または日数、休業する必要があります。詳細は後の「休業規模とは?」で解説します。

2-2.平均賃金の60%以上の休業手当か

「平均賃金」とは、休業させた従業員の毎月の給与の平均ではありません。下記のように求めます。

  • 通常:直近の3か月間の賃金の総額を、その期間の総日数で割って求めます。

さらに、時給・日給制の場合(パート・アルバイト等)は、「最低保証」があり、次のように求めます。そして、上記の通常の計算で求めた金額と、最低保証の金額の高い方を採用します。

  • 最低保証:直近の3か月間の賃金の総額を、その期間の実労働日数で割って求めます。

賃金の総額には、残業手当や通勤手当等も含まれます。

一方で、結婚手当や傷病手当など臨時的に支払われる手当や、3か月を超える期間ごとに支払われる賞与、その他労働協約で定められていない現物給与等は含まれません。

計算例

月給制の従業員が、5月に10日間休業した場合の休業手当を計算してみます。まずは平均賃金の計算です。

2月の賃金総額(2/1~2/29):基本給20万円、通勤手当1万円、残業手当3万円
3月の賃金総額(3/1~3/31):基本給20万円、通勤手当1万円、残業手当4万円
4月の賃金総額(4/1~4/30):基本給20万円、通勤手当1万円、残業手当2万円

平均賃金=(24万円+25万円+23万円)÷(29日+31日+30日)=8,000円

休業手当として平均賃金の60%が支給する場合、1日当たりの休業手当は、8,000×60/100=4,800円です。

5月分の休業手当は4,800円×10日=4,800円となります。

平均賃金60%は最低ライン

月給制では、賃金総額を、実労働日数ではなく総日数で割るため、実際の給与額よりも低くなることがポイントです。
これは、法律で定められた休業手当の最低ラインです。

もちろん、休業した日を、欠勤や有給休暇の扱いにせず、通常通りの給与(基本給)を支払うことは全く問題ありません。ただ、直近3ヶ月の残業代が非常に多い場合には注意が必要です。

2-3.生産指標とは?

生産指標とは「雇用の変動と密接に結びつく指標」のことで、要するに「経営が厳しく従業員を一時休ませないといけない状態です」と主張する根拠となる数字です。

例えば「売上高」や「販売数」などが該当し、どの値をこの「根拠」とするかは申請者が自由に選ぶことができます。

この生産指標が、コロナによる影響で1ヶ月5%、あるいは10%低下していることを証明しなければいけません。

☑ポイント:新型コロナウィルス雇用調整助成金を貰う基準値

3月31日以前から休業 生産指標が1ヵ月10%以上低下
4月1日~9月30日の間に休業 生産指標が1ヵ月5%以上低下

生産指標の「低下」の証明

「生産指標が、コロナによる影響で1ヶ月5%、あるいは10%低下している」というのは、先月と今月を比べて出すものではありません。基本的には前年あるいは前々年の同月の生産指標と今年の生産指標を比べる必要があります。

以下の①②の2つのデータが必要です。

① 計画届を提出する前月の生産指標(下表A)
※「計画届」については後述しますが、「誰をいつ休ませます」という内容を記載した書類です
② 過去の生産指標(下表B~Dのいずれか)

・計画書の提出月が2020年6月の場合

A 計画書提出月の前月の生産指標 2020年5月の生産指標
B 前年(令和元年)同月の生産指標 2019年5月の生産指標
C 前々年(平成30年)同月の生産指標 2018年5月の生産指標
D 計画書提出月の前々月~さかのぼった1年間のうち任意の1ヶ月の生産指標 2019年6月~2020年4月の間のうち任意の1ヶ月の生産指標

Aの数字(マスト)と、B~Dの数字の内いずれか一つを用意する必要があるということです。原則としてBあるいはCが求められますが、経営難の証明が難しい場合はDも認められています。

2-4.休業規模とは?

こちらは、従業員全員が一斉にずっと休業した場合は、ほとんど問題になりません。
一部の従業員だけ休業したとか、1日だけ休業したとかいう場合に、問題となります。

休業規模とは、簡単にいうと、全従業員・全営業日のうち、どれくらいの割合で休業したかを示します。次の式で計算されます。

休業規模=月間休業延日数/月間所定労働延日数 × 100
式の用語については、実際の例で解説します。

たとえば、4月に、雇用保険に加入する従業員10人のうち、毎日3人が5日間休業したとします。
4月は、カレンダー通りの営業であれば、営業日数は21日です。

  • 月間休業延日数=3人×5日=15人日
  • 月間所定労働延日数=10人×21日=210人日
  • よって、休業規模=15/210×100=7.14…≒7.1(小数点第2位以下切り捨て)

休業規模は、大企業、中小企業それぞれ次の値以上である必要があります。

  休業規模
大企業 3.3(1/30 × 100)
中小企業 2.5(1/40 × 100)

この例の場合、7.1>2.5ですので、休業規模の条件を満たしています。

3.ステップ2 助成金額を確認しましょう

次に、「助成金額の上限」と「自分の場合の受給額」を確認します。申請のコストと貰える金額が釣り合うか否かを確認するためでもありますが、実際に申請をする際にも試算が必要となります。

3-1.新型コロナウィルス雇用調整助成金の上限金額

この助成金は「中小企業」か「大企業」かで助成率が異なります。下表で確認しましょう。

  解雇を行う 解雇を行わない
中小企業 助成率4/5 助成率9/10
大企業 助成率2/3 助成率3/4

更に、令和2年5月1日付けで特例措置が拡大し、次の要件を満たすことで休業手当の助成率が100%になります。

【休業手当100%助成の要件】
中小企業が従業員の解雇を行わず、都道府県知事からの要請に応じて休業や営業時間短縮などの一定の要件に応じた事業者で、次のいずれかに該当する休業手当を従業員に支払っている場合、従業員へ支払った休業手当の100%が助成されます。
A.従業員への休業手当の支払率が100%であること
B.従業員への休業手当の支払率が60%以上で助成金の上限額(8,330円)以上の休業手当を支払っていること

ただし、現状では1日1人当たり、8,330円が上限となっており、この上限については「低すぎる」という意見もあって、政府では15,000円程度まで引き上げる検討が行われています。

3-2.平均賃金額の計算

それではいよいよ、受給額の試算を行います。まず、「平均賃金額」の計算を行います。

平均賃金額の計算に当たっては、次の2つの方法があります。

  1. 直近の「源泉所得税」の納付書を利用する(5/19から可能に)
  2. 前年度の「労働保険確定保険料申告書」を利用する

1.は簡単で、2.は少しややこしいです。それぞれの方法を解説します。

1.「源泉徴収票」の納付書を利用する方法

5月19日に、平均賃金額の計算方法が簡素化され、「源泉所得税」の納付書により計算できるようになりました。

一人あたり「平均賃金額」=源泉所得税の納付書の支給額÷人数

☑計算の例:次の条件で計算してみましょう

  • 源泉所得税の納付書の支給額:1,200,000円
  • 人数:5人
  • 所定労働日数:20日
  • ⇒平均賃金額=1,200,000÷5÷20日=12,000円

平均賃金額の計算は終わりですので、「受給額の計算」にお進みください。

2.「労働保険料申告書」を利用する方法

こちらは、以前からの、やや難しい方法です。

お手元に前年度の「労働保険確定保険料申告書」と、勤怠記録を確認できるもの(給与システム・ソフト等)を用意してください。

それらを用いて、まずは下記の3つを調べましょう。

  • ①前年度1年間の雇用保険の保険料の算定基礎となる賃金総額
  • ②前年度1年間の1か月の平均の雇用保険被保険者数
  • ③前年度の年間所定労働日数

①の「前年度1年間の雇用保険の保険料の算定基礎となる賃金総額」は、労働保険料申告書の「確定保険料 雇用保険法適用者分」の欄に記載されています(下図の赤枠参照)。

労働保険料申告書
2020年度の労働保険料の申告を終えていて、そちらのほうが条件が良ければ、2020年度の申告書の金額を利用することもできます。

②の「前年度1年間の1か月の平均の雇用保険被保険者数」は、4月から3月までの1ヶ月ごとの雇用保険加入者数を合計して12で割ります(小数点以下切り捨て)。

③の「前年度の年間所定労働日数」は、次の2つの確認方法があります。

  1. 過去1年分の実績を基にします。
    給与システム・ソフト等で確認できます(小数点以下切り捨て)。
  2. 休業前の任意の1ヶ月分の所定労働日数×12で計算します。(5月19日から可能)

あとは、今用意した①②③の数字を決まった式に当て込めることで、支給額の計算も完了です。

まずは、「従業員の平均賃金額」を、次の計算式で求めます(小数点以下切り上げ)。

平均
賃金額
 
②× ③  

☑計算の例:次の条件で計算してみましょう

  • 前年度1年間の雇用保険の保険料の算定基礎となる賃金総額:14,400,000円
  • 前年度1年間の1か月の平均の雇用保険被保険者数:5人
  • 前年度の年間所定労働日数:240日
  • ⇒平均賃金額=14,400,000÷(5×240)=12,000円

3-3.実際の受給額の試算

次に、1人1日当たりの支給額を求めます。計算式は次のとおりです。

平均賃金額×休業手当率(60~100%)×助成率

最後に、助成金受給額を求めます。

1人1日当たりの支給額×人数×休業日数

このように、雇用調整助成金の受給額は実際に支払う「給与額」ではなく「雇用保険の保険料の算定基礎となる賃金」をベースに計算します。休業をさせた従業員に支払った給与額が、そのまま支給されるわけではない点に注意しましょう。

以下、計算の例を掲載します。(計算例をとばしてステップ3に進む場合はこちらから)

例1

従業員5名を5日間休業
平均賃金額:12,000円、休業手当率100%、解雇者なし(助成率90%)のとき

  • 1人1日当たりの支給額=12,000円×100%×90%=10,800円→上限8,330円
  • 助成金受給額=8,330円×5名×5日=208,250円

休業手当率が高いと、1人1日当たりの支給額が上限8,330円より多くなってしまいます。支給されるのは、上限額のため、休業手当を支払った事業者側に負担が生じている可能性があります。

例2

従業員5名を5日間休業
平均賃金額:12,000円、休業手当率60%、解雇者なし(助成率90%)のとき

  • 1人1日当たりの支給額=12,000円×60%×90%=6,480円
  • 助成金受給額=6,480円×5名×5日=162,000円

休業手当率を低く設定して、1人1日当たりの支給額が上限8,330円を下回っています。休業手当を支払った事業者側に負担はあまり生じていないと想定されます。

例3

雇用保険に加入していない労働者に対する助成金は「緊急雇用安定助成金」という制度になり、1日の支給額は次の計算式になります。

支給した休業手当の平均額×対象労働者休業総日数×助成率

アルバイト員5名を5日間休業
アルバイトに支給した休業手当総額:200,000円のとき

  • 1人1日当たりの支給額=200,000円/25人日=8,000円
  • 助成金受給額=8,000円×25人日×90%=180,000円

1人1日当たりの上限額8,330円を超えない限りは、実際に支給した休業手当が支払われます。

4.ステップ3 申請手続きを行い休業を実施しましょう

受給額の試算が完了したら、いよいよ助成金の申請手続きに移りましょう。

助成金を申請し、適切な助成金を得ることは大切な会社と従業員を守るために必要不可欠です。しかし、雇用調整助成金の申請手続きには多くの書類の提出が必要になり、簡単とは言えません。

前述のとおり、社労士事務所も代理申請の依頼が立て込み新規依頼への対応が難しいという状況をふまえ、以下に社労士に依頼せずに雇用調整助成金の申請手続きを自分で行う方法を解説します。

4-1.申請手続きの流れ

雇用調整助成金の申請手続きは、事前準備と6つのパートに分かれています。順番に見ていきましょう。

  1. 労使協定の締結
  2. 計画届の提出(手続き簡略化で省略、ただし、添付書類は申請時に提出必要
  3. 休業の実施
  4. 支給申請
  5. 労働局の審査
  6. 支給決定

雇用調整助成金

4-2.【事前準備】従業員の休業への同意を得る

従業員を休業させることは、その従業員の生活に大きく影響します。まずは、

  • 会社側の休業の意向や経営状況が深刻な事
  • 休業期間と休業日
  • 休業中の休業手当の支払額

などを従業員に説明し、従業員に納得してもらうことが一番重要です。

説明と同時に従業員の中から代表者(労働代表者)の選出を行いましょう。労働代表者の選出は、助成金の申請に必要な労使協定の締結に必要になります。

4-3.①労使協定の締結

事業者と従業員の間で「労使協定」を結びます。この協定は、労使間で休業の実施について同意する「休業協定書」です。

  • 休業の実施期間
  • 休業の対象者
  • 休業手当の額(とその算定方法)

などの記載が必要です。

休業協定書には事業者の署名押印と、労働代表者の署名押印が必要になります。また、「休業協定書」の作成において、労働代表者を確認する書類が必要になります。会社に労働組合がある場合は「組合員名簿」労働組合がない場合は「労働者代表選任書」を用意しましょう。

☑「休業協定書」と「労働者代表選任書」のひな形のダウンロード

【参照】愛知労働局:雇用調整助成金 様式見本

4-4.中小企業かどうかの判定

雇用調整助成金は、対象になる事業所が中小企業か大企業かで助成率が異なります。中小企業は大企業より助成率が高いため、中小企業に該当する場合は、それを証明できる資料の提出が必要です。

具体的には、常時雇用する従業員の数が確認できる「従業員名簿」及び「役員名簿」などの書類の提出が必要です。なお、中小企業の定義は、業種と資本金、従業員数で異なり、次のとおりとなっています。

中小企業の定義
業種 条件
小売業・飲食店業  資本金5,000万円以下または従業員50人以下
サービス業 資本金5,000万円以下または従業員100人以下
卸売業 資本金1億円以下または従業員100人以下
その他の業種  資本金3億円以下または従業員300人以下

4-5.②計画届の提出

従来は、休業等実施計画届の提出が必要でしたが、5月19日の手続き簡略化で不要となりました。

ただし、従来、計画届の提出時に一緒に提出していた下記のような書類は、申請時に提出が必要となります。

  • 新様式特第4号 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書
  • 生産指標が確認できる資料(総勘定元帳など)
  • 休業協定書
  • 労働者代表選任書
  • 中小企業かどうか確認できる資料(従業員名簿および役員名簿など)

雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書

「雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書」は、助成金の受給資格があるかどうかの判定を行う書類です。助成金受給の判定である「生産指標」を記入し、事業内容の詳細と、新型コロナウィルス感染症がどのように事業に影響しているかの記入を行います。

「休業等実施計画(変更)届」と「雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書」は、厚生労働省のホームページでダウンロードすることができます。

【参照】厚生労働省:雇用調整助成金の様式ダウンロード(新型コロナウィルス感染症対策特例措置用)

生産指標

「生産指標」の算定は、休業等実施計画届の提出月の前月の売上高や販売数を基礎とし、原則的に前年同月比より5%減少しているかどうか判定を行います。

例外的に、特例措置の拡充により、前年同月比で正しく比較ができない場合は、他の適切な1ヵ月でも算定できるようになっています。「生産指標」の確認に総勘定元帳や売上帳などの資料の添付が必要になります。

4-6.③休業の実施

実際に休業の実施を行います。労使間で契約した「休業協定書」どおりに休業を行い、従業員に休業手当の支払いを行います。

4-7.④支給申請をする

休業の実施後に雇用調整助成金の支給申請をハローワーク等に行います。申請期限は、「支給対象期間」の末日の翌日から起算して2ヵ月以内になります。

ただし、特例として、支給対象期間の初日が2020年1月24日から5月31日までの休業の申請期限は、2020年8月31日までとなります。

支給申請後は、労働局で審査が行われ、書類に不備がない場合は、申請後約1ヵ月で支給が決定します。支払いまでのタイムラインは下図をご覧ください。

雇用調整助成金

5.ステップ4 支給申請の提出書類を揃えましょう

休業を実施したら、以下の書類をハローワーク等に提出し、支給申請を行います。

  • 新様式特第6号 支給要件確認申立書・役員等一覧
  • 新様式特第9号 休業・教育訓練実績一覧表
  • 新様式特第8号 助成額算定書
  • 新様式特第7号 支給申請書(休業等)
  • 労働・休日の実績に関する書類(確認資料)
  • 休業手当・賃金の実績に関する書類(確認資料)
  • 就業規則・給与規定・労働条件通知書の写しなど

☑ポイント 雇用調整助成金 支給申請先
雇用関係各種給付金申請等受付窓口一覧

①支給要件確認申立書・役員等一覧

申立書には、会社の基本情報と「はい・いいえ」で答える確認欄、役員等一覧の記載が必要です。記載については、決して難しいものではありません。

②休業・教育訓練実績一覧表

休業手当を支払う従業員の氏名、所定労働日数、休業日数を記載します。

③雇用調整助成金助成額算定書

助成金の金額の算定を記入する書類です。前年度1年間の雇用保険料の基礎となる賃金と平均雇用保険被保険者数、年間労働日数を基礎として平均賃金額の算定を行います。

平均賃金額に休業手当支払率と助成率を乗じることにより、受給される雇用調整助成金の金額を算定します。基礎になる雇用保険の資料があれば、計算自体は難しいものではありません。

Excel版とPDF版がありますが、Excel版は必要な部分だけ入力すれば残りは自動計算されます。

④雇用調整助成金(休業等)支給申請書

③の助成金算定書で計算した助成金の金額を転記し、助成金の振込先を記入します。こちらの申請書の作成についても特段難しいものではありません。

①~④の申請書については、下記リンク先よりダウンロードすることができます。

【参照】大阪労働局:雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金の様式について(新型コロナウィルス感染症による特例措置用)

⑤労働・休日の実績に関する書類(確認資料)

労働日・休日及び休業の実績の確認できる資料の提出が必要です。出勤簿タイムカードシフト表などが該当します。

⑥休業手当・賃金の実績に関する書類(確認資料)

休業手当・賃金及び労働時間の確認のため、「賃金台帳」「給与明細書」などの書類(判定基礎期間を含め前4ヵ月間)の提出が必要です。

⑦就業規則・給与規定・労働条件通知書の写しなど

事業所ごとに定められている、所定労働日・所定休日・所定労働時間等や、賃金締切日等の賃金制度の規定を確認できる「就業規則」「給与規定」「労働条件通知書の写し」などの書類の提出が必要です。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
服部 貞昭 プロフィール この監修者の記事一覧
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