お酒と関連製品の軽減税率まとめ

お酒

消費税には軽減税率という制度があります。消費税率を8%から10%に引き上げるときに、飲食料品を8%に据え置きます。税負担を減らしているので「軽減」というわけです。

飲食料品は定期購読の新聞代と並び、この軽減税率の対象となるのですが、酒類は対象外となります。
日本酒、ビール、ワインなどを購入すると消費税率は10%になります。

ただ、まれに8%が適用されるお酒や関連製品もあります。そこで酒類と軽減税率の関係を徹底解説します。

1.酒類は原則10%、軽減税率の対象外

軽減税率を導入する目的は、低所得者層の税負担を軽くするためです。飲食料品まで増税してしまうと低所得者の生活が困ってしまうので、軽減税率の対象としたのです。

また、知る権利も富裕層と低所得者層で差が生まれては困るので、定期購読している新聞料金も軽減税率が適用されます。

しかし、酒類は「飲み物」ではありますが、ぜいたく品と考えることもできます。したがって酒類は飲み物でありながら軽減税率の対象から外し、10%をかけることにしました。

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1-1.酒類とは?

専門用語を使って説明すると「酒税法に規定する酒類は10%が課せられる」となります。
酒税法に規定する酒類とは、アルコール分1度以上の飲料のことです。

同じ理屈は外食にもいえ、やはりぜいたく品として考えることができるので税負担を増やしても大丈夫だろうという判断のもと、飲食であっても税率は10%になります。

1-2.酒類には「持ち帰りと外食の違いはない」

飲食料品の提供の場合、スーパーなどでの買い物のように、持ち帰りの場合は軽減税率の対象になりますが、レストランで食事をするように外食での飲食料品の提供は10%になります。

しかし酒類の提供は、持ち帰りも外食も等しく10%です。

居酒屋やバーなどでの飲食では、酒類はもちろんのこと、ソフトドリンクも軽減税率の対象外です。

2.ノンアルコールビールは軽減税率8%

ノンアルコールビールは酒類ではなく、軽減税率の対象になる飲食料品に該当するので消費税率は8%のままです。

アルコールが少し含まれていたとしても、アルコール分1度未満であれば、軽減税率で8%です。

3.みりん、料理酒、酒粕など料理に使うもの

3-1.贅沢品とはいえなくても10%になる|みりん等

みりんと料理酒ですが、現在一般的に出回っている製品はほとんどが酒税法上の酒類に該当するので10%が課せられます。

肉じゃがを家庭でつくるとき、肉もジャガイモも醤油も8%ですが、みりんだけ10%なのです。ほとんどの料理酒は、「料理酒」と名づけているだけで実質的に日本酒なので軽減税率の対象から外れます。
肉や魚料理にワインを使っても、そのワインには10%が課せられます。

みりんや料理酒がぜいたく品であるとは考えにくいのですが、この場合は「酒税法上の酒類は10%」のルールが優先されるわけです。

3-2.みりん風調味料は8%

ただ、アルコール分が1度未満で、酒税法上の酒類に分類されない「みりん風調味料」は軽減税率が適用されます。
また、料理酒のうちの醗酵調味料(アルコール分が1度以上であるものの塩などを加えることにより飲用にできないようにしたもの)も同様に軽減税率が適用されます。

3-3.酒粕は食用なら8%、飼料用なら10%

酒粕は食用であれば軽減税率が適用されて8%です。飲料メーカーが酒粕を原料にして甘酒をつくっても、その甘酒がアルコール分1度未満で酒税法上の酒類でなければ8%が課されます。したがってノンアルコールビールも軽減税率が適用される飲料になります。

酒粕は家畜の飼料用に販売されることがありますが、その場合は10%です。飼料用の酒粕は「人用の飲食料品」ではないからです。

4.工業に使うものは10%

工場などの工業で使われるアルコールは飲食料品ではないので消費税率は10%が適用されます。

5.日本酒の原料となる米は軽減税率8%

日本酒メーカーが、日本酒の原料となる米を購入するとき、軽減税率が適用されます。このルールは少しわかりにくいかもしれません。

5-1.「人が食べられる米」は飲食料品だから8%

これまで紹介してきたルールは以下のとおりでした。

  • 人が食べる酒粕は8%、家畜の飼料用の酒粕は10%
  • 人が飲む酒類は10%、工業用のアルコールも10%

このルールからすると日本酒の原料の米は、1)人が食べず、2)工場のような酒造所で使われ、3)しかも酒税法上の酒類に関係しているため、軽減税率不適用が適当のような気もします。

しかし日本酒の原料となる米は、酒類ではなく、人が食べることもできます。人が食べることができる米であり、それが飼料に使われているわけではないので、それが日本酒の原料になっても軽減税率の対象となるわけです。

5-2.酎ハイの原料のウォッカは10%

酎ハイの原料にウォッカが使われています。飲料メーカーが酒類のウォッカを外部から購入して味をつけて酒類の酎ハイつくるとき、ウォッカの代金には消費税10%が課せられます。
日本酒にとっての米も、酎ハイにとってのウォッカも酒類の原料ですが、このときの消費税率は「飲食料品かそうでないか」で判断されます。

6.ウイスキーボンボンは8%

ウイスキーボンボンなどは、酒類を原料としていますが、完成品は菓子なので軽減税率が適用される飲食料品に該当します。

7.酒類と食品のセット商品は税率をわける

小売店が持ち帰り用に総菜を販売する場合、軽減税率が適用されます。同じ小売店が持ち帰り用の日本酒を販売したら、軽減税率の適用外です。

ではこの小売店が「総菜と日本酒のセット」を割引価格で販売していたら、消費税は10%になるのでしょうか? 8%になるのでしょうか?

答えは「按分(あんぶん)しなければならない」です。
つまり「総菜と日本酒のセット」を「税込1,000円」で販売したとしても、例えば次のように決めておかなければなりません。

  • 総菜:本体463円、消費税37円(8%)
  • 日本酒:本体455円、消費税45円(10%)

8.海外のお酒の消費税事情

海外のお酒の消費税は、日本よりも重い傾向があります。

イギリスは標準の消費税率が20%で、お酒も20%が課されています。フランスも20%です。
ドイツはやや低く19%です。イタリアとスペインはやや高く21%です
アジアでは韓国はすでに10%が適用されています。台湾は5%、シンガポールは7%となっています。

まとめ

酒類は原則、軽減税率の対象外と覚えておきましょう。「よほどのこと」がない限り10%です。
そして「よほどのこと」の例外は少なく、みりん風調味料(アルコール度1度未満)や食用の酒粕やウイスキーボンボンなどだけです。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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