お土産屋のまんじゅうは軽減税率の対象になる?

まんじゅう

観光といえば温泉。温泉といえば、まんじゅう。ちょっと強引ですが、温泉街の土産といえば、まんじゅうが定番ですよね。その場で食べて楽しみ、土産として買って家でも楽しめます。

ところで、この、まんじゅうにかかる消費税は軽減税率の対象になるのでしょうか?
お土産と軽減税率について、ちょっと考えてみましょう。

1.土産店で食べたら?

最初に、軽減税率の対象となる品目を確認しておきましょう。

【軽減税率対象品目】

  • 飲食品類(酒類・外食を除く)
  • 新聞(週2回以上刊行されているもの)

上記の「飲食品類」には「外食」は含まれません。
したがって、土産店で買った駄菓子やまんじゅうを土産店で食べた場合、軽減税率が適用されない可能性が出てくるのです。

1-1.まんじゅうが軽減税率の対象にならないケース

次のケースに該当する場合、土産店で買ったまんじゅうは軽減税率の対象にはなりません。

ケース1

ケース2

 

土産店が店内にテーブルやベンチを設置している場合、イートインスペースのようなものと見なされ、外食扱いとなってしまうのです。

2つ目のケースが分かりづらいかもしれませんが、例えば土産店の隣に公園があり、その公園のベンチの使用許可を土産店が取っている場合がこれに当たります。
なお、ここで言うテーブルやベンチは飲食のための専用設備である必要はありません。

1-2.まんじゅうを土産店で食べても軽減税率の対象となるケース

一方、まんじゅうや駄菓子を土産店で食べても軽減税率の対象となるケースもあります。

ケース1

ケース2

要するに「土産店で買ったまんじゅうがあまりに美味しそうで、店を出る前に食べてしまった」というケースは軽減税率の対象です。

2つ目のケースは、土産店の隣に公園などの公共のベンチが設置されていても、土産店が使用許可をとっておらず、土産店の客以外にも大勢の人が利用しているケースがこれに該当します。

1-3.土産店で食べるつもりだったが、気が変わった場合は?

最初は土産店内の飲食スペースで食べるつもりでまんじゅうを買っても、飲食スペースが混んでいたり、やっぱり家で食べようと気が変わったりすることもあるでしょう。
そんなケースでは消費税率はどうなるのでしょうか。

結論から言うと、途中で気が変わったとしてもそのまんじゅうは軽減税率の対象にはなりません。
消費税率は購入時点で決まってしまうので、購入時に店内飲食の名目で購入してしまえば後から消費税率を変更することはできないのです。

あくまで購入時の目的で消費税率が決定されることを覚えておきましょう。

2.お土産として持ち帰ったら?

冒頭で説明した通りまんじゅうや駄菓子は食品類に該当するため、土産として持ち帰った場合は軽減税率の対象となります。
一方、当然のことながら土産屋でキーホルダーや置物を買った場合には、飲食品類には該当しないため軽減税率は適用されません。

では、まんじゅうとキーホルダーを同時に買った場合にはどうなるでしょうか?

その場合には、まんじゅうには軽減税率の8%が適用され、キーホルダーには標準税率の10%が適用されることになります。

3.セット商品のお土産は?

おしゃれなお土産として人気の紅茶やスイーツ。
例えば次のような商品を見たことはありませんか?

  • 紅茶とティーカップのセット商品
  • 豪華な容器に入っているプリン

このように軽減税率が適用される商品と、標準税率が適用される商品が一体となって販売されている商品は、軽減税率導入後の判断がやや複雑になります。
具体的には次の条件を満たす場合に限り、その商品は軽減税率の対象となります。

  1. 税抜価格が1万円以下であること
  2. 全体のうち、食品部分の価格割合が3分の2以上であること

したがって、まずその商品の価格が1万円以下であることが大前提となります。
さらに、「ティーカップの価格が紅茶の3分の1以下」「容器の価格がプリンの3分の1以下」である場合に限り、軽減税率が適用されることになるのです。

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4.飲食料品のお土産つきのパック旅行

バスツアーなどのパック旅行では、ちょっとしたお菓子などのお土産付きのツアーも頻繁に企画されています。

ツアー代金が標準税率10%の対象になることはお分かりだと思いますが、そのツアー代金の中には飲食品類であるお土産代も含まれていますよね。
「お土産代だけは軽減税率が適用されないの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

結論から言うと、お土産付きのパック旅行は軽減税率の対象にはなりません。
パック旅行は、バス代やホテル代、食事代など様々なサービスを複合して提供する商品です。
それら全てのサービスをひっくるめて「旅行サービス」という一つのサービスとして捉えるので、お土産付きだとしても軽減税率は適用されないという解釈です。

では、次のように旅行代金が設定されている場合はどうでしょうか。

  • ツアー料金…10,000円
  • お土産代…1,000円
  • ツアー料金計…11,000円

このように「お土産代」という項目を作っている場合でも、ツアー料金計11,000円は軽減税率の対象とはなりません。

請求の形態にかかわらず、旅行代金は「旅行」という一つのサービスの提供として捉えられてしまうと考えましょう。

まとめ

「飲食品類には軽減税率が適用される」と一見明確な基準のようでいて、この記事で紹介したような判断が難しいケースは多々あります。

例えば「あの土産店ではベンチで食べても軽減税率だった」「こっちの土産店では標準税率だった」という事例も出てくるかもしれません。
あるいは「この紅茶セットは軽減税率なのに、こっちの紅茶セットは標準税率」といった混乱してしまいそうなケースもあるでしょう。

また、「持ち帰ります」と言って軽減税率でまんじゅうや駄菓子を購入しておきながら、実際には店内の飲食スペースでそのまんじゅうを食べてしまったケースはどのように対処されるのかも不透明です。

我々、消費者は定められた消費税率に従うしかありませんが、実際、欧州では上のような行為はよく行われているようで、モラルが問われることになりそうです。

欧州同様に、日本でも軽減税率導入後は税率の判断による問題が生じることが予想されます。
店側の判断が100%正しいとも限りませんし、私たち消費者が軽減税率の知識を持っておくことで防げるトラブルもあるはずです。

トラブル防止のためにも、あらかじめ軽減税率に関心を持っておくことが大切なのではないでしょうか。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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