コーヒー豆やコーヒーチケットは軽減税率の対象になる?

コーヒー カフェ

消費税の軽減税率は消費者にも小売店にも混乱をもたらしていますが、「コーヒー」も取り扱いが難しい商品のひとつです。

コーヒーをテイクアウトしたりコーヒー豆を買って帰ったりすれば軽減税率が適用されて8%ですが、喫茶店内で淹れたてのコーヒーを飲めば10%になります。
そしてコーヒーチケットについては、8%になる場合と10%になる場合と、税抜きで販売する場合があります。

この機会に、コーヒーの消費税率について整理しておいてください。

1.コーヒー豆は軽減税率が適用される

軽減税率は飲食料品に適用されるので、コーヒー豆を買って帰ると消費税率8%が適用されるのは、わかりやすいルールです。米を買って帰るのと同じです。

国税庁は次のように説明しています。

食品とは、人の飲用または食用に供されるものをいい、人の飲用または食用に供されるコーヒーの生豆は食品に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となる

 

【引用】消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)問5

コーヒー豆であれば、生豆でも焙煎した豆でも挽いた粉でも関係なく8%です。その他、次のようなコーヒー関連の飲食料品も軽減税率が適用されます。

  • ミルク
  • クリーム
  • シロップ
  • ドリップバッグ
  • ペットボトルに入ったコーヒー
  • 缶コーヒー
  • インスタントコーヒー
  • ミネラルウォーター
  • コーヒー牛乳
  • コーヒー味のアイス
  • コーヒーチョコ
    など

2.コーヒー用具は対象外

コーヒー用具は飲食料品ではないので、軽減税率の対象外です。コーヒーマシンやその関連機器も10%です
その他、次のような商品には、通常の消費税率10%が課されます。

  • フィルター
  • ミル
  • ポット
  • ドリップセット
  • 紙コップ
  • サイフォン
  • コーヒー豆粉砕機
  • エスプレッソマシン
  • ミルク泡だて器
  • コーヒーメジャー
  • コーヒーカップ
  • スプーン
    など

3.コーヒーギフトは8%

コーヒー豆やインスタントコーヒーは中元や歳暮のギフト商品になります。このようなギフトも8%です。
ただ、コーヒー豆とコーヒー用具がセットになった商品は「一体資産の判定」を受けることになります。

本来であれば、コーヒー豆は8%、コーヒー用具は10%です。しかし店側が両者をセットにしている場合、それを一体資産と呼び原則10%が適用されます。セット商品全体の価格に10%がかかります。

ただ例外的に、一体資産が次の条件をクリアすると、セット商品全体の消費税が8%になります。

  • セット商品全体の価格が税抜10,000円以下
  • 飲食料品(ここではコーヒー豆)のみの価格の、全体の価格に占める割合が3分の2以上
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4.コーヒーチケットは8%と10%

コーヒーチケットとは、コーヒーショップなどで販売しているコーヒーの回数券のことです。前払いでコーヒーチケットを買えば、あとはチケットを店側に渡すだけでコーヒーを飲むことができます。

2019年9月30日までは消費税率が一律8%でしたので、店内用としてもテイクアウト用としても使うことができるコーヒーチケットを販売することができました。
しかし軽減税率が適用されることで、例えば税抜300円のコーヒーは、店内で飲めば税込330円(消費税10%)、テイクアウトすれば324円(消費税8%)になります。

そのためコーヒーチケットを消費税10%で販売し、客がそれをテイクアウト用に使えば、店は客に差額の6円を支払わなければなりません。
もしくは、店側が消費税8%でコーヒーチケットを販売し、客がそれを店内で飲む用に使ったら、客は店に消費税の差額分を支払うことになります。

もちろん店側が、2019年9月30日以前に8%で販売したコーヒーチケットに限り、10月1日以降の店内利用も追加料金なしで使用可能とすることはできます。

国税庁の見解

国税庁はコーヒーチケットについて次の2つの方法を提案しています。
ひとつ目は、店内用のコーヒーチケットとテイクアウト用のコーヒーチケットを販売する方法です。
ふたつ目は、コーヒーチケットを税抜価格で販売し、使用時に客に消費税を支払わせる方法です。実はこちらの税抜価格での販売が原則になります。

国税庁の見解は次のとおりです。

コーヒーチケット(物品切手)の発行は、消費税の課税の対象外。しかし、コーヒーチケットを発行した際に、発行時の売上計上と合わせて、消費税の課税の対象とする方法も継続適用を要件として認められている。
しかし店内飲食と持ち帰りの共用のコーヒーチケットでは、その発行時点において適用税率を判定することはできないため、例えば、店内飲食用のチケットと持ち帰り用のチケットを区分して発行する対応も考えられる。

【引用】消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)問57

いずれにしても、店側の手間は増えますし、客の利便性も低下しそうです。

5.テイクアウトは軽減税率の対象

テイクアウトのコーヒーの消費税は、軽減税率が適用されて8%です。これはコーヒーショップ、喫茶店、コンビニ、すべてに共通したルールです。

まとめ

コーヒーの消費税率は、販売形態によって8%になったり10%になったりします。

特に難しいのはコーヒーチケットで、消費税10%で販売すれば、店内用に使うときは問題ありませんが、テイクアウト用に使えば店が消費税の差額を返金しなければなりません。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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