病院での医療費・診察料や健康診断には消費税がかかる?
病院での医療費・診察料について、公的医療保険が適用されると消費税はかかりませんが、保険適用外だと消費税がかかります。…[続きを読む]
消費税の8%から10%への引き上げは、2019年10月に行われました。また、一部のものに対して導入される軽減税率制度も、同じく2019年10月からです。しかし、中には軽減税率が適用されるかどうか迷う製品もあります。
リポビタンDやオロナミンCを代表とする栄養ドリンクや、健康食品、医薬品なども、そうしたもののひとつ。
ここでは、医薬品に類似するもののなかで、どれが消費税の軽減税率の対象になるか詳しく解説します。
目次
実は、消費税の軽減税率の対象に医薬品等は含まれていません。しかし、食品は軽減税率の対象です。では、栄養ドリンクや健康食品など、どちらにもとれるものの判断はどうすればよいでしょうか。
ポイントは、医薬品等であるかどうかです。医薬品等でなければ軽減税率対象で8%、医薬品等であれば対象外で10%となります。
では、医薬品等の定義を見ていきましょう。
このうち「医薬品」には、病院で処方される「医療用医薬品」や、処方箋がなくても薬局で購入できる「要指導医薬品」「一般用医薬品」があります。
栄養ドリンクには、医薬品等に該当するものと該当しないものがあります。医薬品等に該当すれば消費税率10%、該当しなければ軽減税率対象で8%になります。
通常、医薬品等であれば、商品についているラベルなどに「医薬品」や「医薬部外品」と記載されているので、それを見て判断します。
栄養ドリンクはその含有成分により、大きく4つに分類され、それぞれで医薬品等に該当するかどうかが異なります。
効果も副作用も高い順に、第2類医薬品、第3類医薬品、医薬部外品
清涼飲料水(エナジードリンクなど)
医薬品等に該当するものは、次のようになります。
特に代表的な商品は「リポビタンD」です。リポビタンDの場合、表示は「指定医薬部外品」となっており、消費税率は10%となります。
医薬品等に該当しないものは、次のようになります。
代表的な商品は「オロナミンC」「レッドブル」などでしょう。オロナミンCには「炭酸飲料」の表記があり、軽減税率対象商品となり消費税は8%となります。
健康食品とは、「広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されているもの全般」のことです。
医薬品との大きな違いは、薬事法で明確に定義されていないことで、つまり基本的には食品に該当します。
「栄養機能食品」「特定保健用食品(特保・トクホ)」「機能性表示食品」といった「保健機能食品」があります。
これらは基本的には食品に該当し、消費税率8%の軽減税率の対象となります。
乳児、幼児、妊産婦、病者などの発育、健康の保持・回復などに適する「特別用途食品」と「機能性表示のない一般的な健康食品」なども存在します。
こちらについても、医薬品等でいうところの「医薬品、療機器等の品質、有効性及び安全確保に関する法律」といった法律上の定義はありません。そのため、基本的には食品に該当し、消費税率8%の軽減税率の対象となります。
よくトレーニングする人が飲んでいる、プロテインやサプリメント等はどちらにあたるのでしょうか。
結論としては、プロテインは栄養補助食品にあたるため軽減税率が適応され、消費税は8%となります。
これは筋トレ前に飲むことが多いBCAAやクレアチン、アミノ酸などのサプリメントも、プロテインと同様に軽減税率の対象内です。
薬局やドラッグストアで販売されているビタミン剤は医薬品もしくは医薬部外品に該当するため、軽減税率が適用されず、税率は10%となります。
サプリメントとの違いは、サプリメントはあくまで食品という扱いになるのに対して、ビタミン剤は医薬品もしくは医薬部外品となり「薬」であるという扱いを受けるためです。
具体的に該当する商品は以下の通りです。
風邪をひいたときや調子の悪い時だけではなく、嗜好品としても身近なのど飴の税率はどうなっているのでしょうか。
のど飴の税率はその商品が医薬品に分類されるのかどうかで変わります。
のど飴は「医薬品」、「医薬部外品」、「食料品」の三種類に分類されてあり、このうち食料品のみが軽減税率の対象となります。
・10%の税率がかかるのど飴
・8%の税率がかかるのど飴
OS-1に代表される経口補水液は「特別用途食品」に分類されます。
特別用途食品は医薬品等には分類されないため、軽減税率の対象となるため8%の税率が適用されます。
「エニマクリン」などの商品名で有名な大腸検査食も8%です。
これは大腸内視鏡検査で正確な診断を行うために、腸の中をきれいにしておくために利用する商品ですが、食品にあたるため8%になります。
ここでは、医療機関と医療を受ける人(消費者)の医薬品に対する消費税負担のしくみを確認しましょう。
本来、消費税は消費者が負担するべきものです。そのため、薬局で購入できる薬には、薬代に加えて消費税を支払っています。
では、病院などで処方される医療用医薬品はどうなっているでしょうか?
医薬品自体は消費税の課税対象のため、病院が薬の業者から医薬品を購入する場合については、薬代に加えて消費税を支払っています。
しかし、医療を受ける人(消費者)に対する公的医療保険の適用範囲内の医療である社会保険診療では、消費税が課されません。
そのため、消費者が病院で処方された薬を購入するときは消費税を払っていません(自由診療なら消費税は課税されます)。
これでは、病院などの医療機関に大きな負担となってしまいます。そこで、診療報酬や薬価の点数を上乗せすることで消費税が含まれている状態にしています。具体的には以下の計算式で計算します。
2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられたときも、診療報酬や薬価が改定されて、消費税分が上乗せされています。
そのため、2019年10月に予定されている消費税率8%から10%の引き上げの時期においても、同様の処置が行われると思われます。