年末調整は夫の扶養内の場合も必要? 保険料控除を使う意味はある?

パートの年末調整

年末調整は扶養内で働いていても必要なのでしょうか。また、年末調整ではどのように書類に記入すればよいでしょうか。解説します。

1.年末調整は年収いくらから必要?

年末調整は、給料にかかる所得税を清算するための手続きです。

「給料」と言った通り、会社員だけでなく、パートやアルバイトの人にも関係のある話です。

給料に所得税がかかるのは年収160万円を超えてからですが、年収が160万円以下の場合でも、2025年11月までに月収が8万8000円を超えた月がある場合、その月の給与からは所得税が天引きされています。

年末調整を受けることで、本来払わなくてよかったはずの所得税を返してもらう(還付金)ことができます。

いろいろと話をしましたが、年収160万円以下で、月収8万8000円を超えた月もないという人でも、勤務先から年末調整の書類を渡されたらきちんと必要事項を記入して提出しましょう

翌年の住民税の金額を決めるうえで、年末調整の結果が必要になるからです。

2.年末調整は夫の扶養内で働く場合も必要?

パートやアルバイトの収入を調整し、配偶者の扶養内で働いている人も多いですよね。

「扶養」には税制上の扶養と社会保険の扶養の2種類があり、それぞれ年収の上限が異なります。

まずはその点を整理しましょう。

税金の扶養内で働く

税制上の扶養の場合、配偶者の扶養内で働くには、パートやアルバイトの年収を123万円以下に抑える必要があります。

あなたの年収が123万円を超えると、あなたは配偶者の扶養から外れ、配偶者は「配偶者控除」を利用できなくなります。

ただし、あなたの年収が160万円を超えない限り、「配偶者特別控除」によって、配偶者控除と同額の控除を受けられますので、配偶者の税負担が増えることはありません。

しかし、例えば年金世帯など、配偶者の住民税が非課税の場合、あなたが配偶者の扶養から外れる(あなたの年収が123万円を超える)影響は大きいです。

あなたが配偶者の扶養からはずれることで、非課税の判定が厳しくなり、結果的に配偶者の住民税が非課税から課税になってしまう可能性があるからです。

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社会保険の扶養内で働く

年収130万円を超えると、社会保険の扶養から外れます(60歳以上の場合は年収180万円)。

社会保険の扶養に入る大きなメリットは以下の2点。

  • 保険料0円で健康保険証を利用できる
  • 年金保険料を払わずに老後に国民年金を受給できる

逆に、扶養から外れてしまうと、自分で保険に加入することになり、保険料の支払いが発生します。

ただし、大きな企業にお勤めで週20時間以上シフトを入れている場合など、年収106万円を超えた段階でご自身が社会保険に加入するケースもあります。

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扶養内で働く場合の結論

今見てきた通り、税制上の扶養にしろ、社会保険上の扶養にしろ、扶養内で働く場合は年収を160万円以下に抑えることになります。

ただ、前章で述べたように、年収160万円以下でも年末調整が必要になるケースはあります。

扶養内かどうかにかかわらず、パート先から年末調整書類が配布された場合は期限内に記入し、提出するようにしましょう。

3.扶養内で働いている場合の年末調整

扶養内であっても、そうでなくても、年末調整の受け方や書類の書き方に変更はありません。

年末調整書類は、利用する控除が多い人ほど記入箇所が増えますが、扶養内で働いている場合、記入が必要な個所は基本的に独身の人と同じです。

それほど時間はかかりませんので、下記記事・動画を参考にしてみてください。

4.扶養内で働いている場合、保険料控除はどうすればいい?

保険料控除とは、各種保険に加入し、保険料を支払っている人が使える控除です。

保険料控除を利用することで、所得税や住民税を安くすることができます。

ですが、1章でお伝えした通り、年収160万円以下の人に所得税はかかりません。

扶養内で働いているのであれば、年収は160万円以下ですので、所得税は最初から0円なのです。

仮に保険料控除を使っても、それ以上所得税を安くすることはできませんので、その意味では使う意味がありません。

扶養内で働いていても年収が110万円を超えると住民税の支払いが発生します※ので、保険料控除によって住民税を安くすることは可能ですが、納税額が少ない以上、お得度は低いといえます。

保険料控除は、保険の補償の対象となる人ではなくて、保険料を払っている人が利用する控除です。

ですので、扶養内で働いていて、配偶者の方が収入が多いという場合、配偶者が保険料を払い、保険料控除を利用する方がお得と言えます。

※住民税がかかる年収は地域によって異なります。都市部を除いて、103万円、106.5万円、107万円が基準となる地域もありますのでご注意ください。

監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
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