自営業者の国民年金は月7万円だけ?10万円以上に増やす4つの方法

自営業の人の老後でよく問題になるのが、会社員や公務員より年金が少なくなりやすい点です。
会社員や公務員は「厚生年金」制度に加入しており、国民年金に加えて年金が上乗せされます。しかし、自営業者は原則として国民年金のみに加入する仕組みになっているため、将来受け取れる年金額が少なくなりやすいのです。
ただし、自営業でもいくつかの制度を使えば、将来もらえる年金を増やすことができます。
この記事では次のことを説明します。
- 自営業者の国民年金はいくらなのか
- 自営業者の国民年金が少ない理由
- 年金を10万円以上に増やす方法
目次
1.自営業者の年金はいくら?
(1)自営業者が受給できるのは国民年金のみ
日本の公的年金制度は、以下の通り2階建て構造です。以下の通り、年金が2つの層でできているためです。
| 自営業者 | 国民年金のみ |
|---|---|
| 会社員や公務員 | 国民年金+厚生年金 |
会社員や公務員は「国民年金」と「厚生年金」の2つの年金をもらえますが、自営業は基本的に国民年金1つだけなので、その分年金が少なくなります。
(2)国民年金の満額
国民年金は、40年間保険料を払うと満額になります。
2026年度の老齢基礎年金の満額は、次の通りです。
2026年度(令和8年度)
- 満額:約84万7,300円/年
- 月額:約7万608円
つまり、満額でも月7万円くらいで、インフレが厳しい今の日本では少なく感じます。
事実、この金額だけで生活するのは難しいと感じる人も多く、そのため自営業者は老後資金を自分で準備する必要があると言われています。
(3)実際の平均受給額
さらに、実際には、すべての人が40年間きちんと保険料を納めているわけではありません。
次のような理由があると、国民年金を満額を受け取れないからです。
- 保険料を納めていない期間がある
- 免除制度を利用していた期間がある
- 加入期間が40年に満たない
厚生労働省の統計によると、令和6年度の老齢基礎年金の平均受給額は月額56,476円(基礎年金のみ)*です。
自営業者は原則として老後にもらえる年金がが国民年金のみのため、実際にもらえる額は月5万〜6万円程度になる人が多いといわれています。
*【出典】「厚生年金保険・国民年金事業の概況」16頁|厚生労働省
2.なぜ自営業者の年金は少ないのか
自営業者の年金が少なくなる理由は、主に次の2つです。
まず1つ目は、厚生年金がないことです。
会社員や公務員は厚生年金に加入しており、給料に応じて保険料を支払い、その分だけ将来の年金も増えます。つまり、働いている間の収入に応じて、老後の年金も増えていく仕組みになっています。
一方、自営業者はこの制度に加入していません。そのため、会社員のように年金が上乗せされる仕組みがありません。
2つ目は、国民年金の保険料が一律であることです。
国民年金の保険料は、基本的に全員同じ金額です。そのため、収入が多い人でも少ない人でも、将来受け取れる年金額は大きく変わりません。
さらに、次のような期間があると、将来受け取れる年金額はその分だけ少なくなります。
- 未納期間(保険料を払っていない期間)
- 免除期間(保険料の支払いを免除してもらった期間)
このような理由から、自営業者の年金は会社員より少なくなりやすいのです。
しかし、自営業者は次の制度を活用することで、老後の年金額を増やすことができます。
そこで、ここからは自営業者が老後にもらえる年金を増やす、以下の4つの方法を紹介していきます。
3.年金を増やす方法① 付加年金
(1)付加年金とは
付加年金は、主に自営業者である国民年金の第1号被保険者が利用できる制度です。
国民年金の保険料に加えて、月400円を追加して納めるだけで、将来の年金額を増やすことができます。
(2)付加年金の特徴
負担額はとても少ないですが、効率よく年金を増やせる制度として知られています。
付加年金で増える年金の額は、次の計算式で決まります。
200円 × 納付月数
例えば、20年間(240か月)支払えば、増える年金額は以下の通りの計算になります。
200円 × 240カ月 = 年額48,000円
つまり、月400円の保険料を追加すれば、将来は年48,000円(約月4,000円)の年金が増えることになります。
支払った保険料は 400円 × 240か月=96,000円 のため、2年程度で元が取れる計算になります。
このように、付加年金は少ない負担で年金を増やせる制度として、多くの自営業者に利用されています。
(3)付加年金の注意点
ただし、付加年金には次の注意点があります。
- 国民年金基金と併用できない
- 国民年金保険料を納めている人のみ加入できる
- 免除期間は加入できない
そのため、国民年金基金に加入する予定がない人にとっては、まず検討したい基本的な年金上乗せ制度といえるでしょう。
4.年金を増やす方法② 国民年金基金
(1)国民年金基金とは
国民年金基金は、自営業者の老後所得を補うために作られた制度です。
会社員や公務員には厚生年金がありますが、自営業者にはそれがないため、その代わりの役割を果たす制度です。
加入すると、国民年金に加えて、生きている限り受け取れる年金として「終身年金」を受け取ることができます。
(2)国民年金基金の特徴
掛金は加入するプランによって異なりますが、主な特徴は次の通りです。
- 掛金は全額所得控除
- 受給は原則終身年金
- 加入時の年齢によって掛金が決まる
例えば、月2万円程度の掛金で加入した場合、将来は月1万5,000円~2万円程度の年金が上乗せされるケースもあります。
iDeCoのように運用成績で受給額が変わるのではなく、加入時点で将来の受給額がある程度決まる点が特徴です。そのため、老後の収入を安定させたい人に向いています。
(3)国民年金基金の注意点
ただし、次の点には注意が必要です。
- 付加年金とは併用できない
- 原則として途中解約できない
- 掛金はiDeCoと合算で上限がある
一度加入すると長期間継続する前提の制度であるため、無理のない掛金設定をすることが重要です。
5.年金を増やす方法③ iDeCo
(1)iDeCoとは
iDeCo「個人型確定拠出年金」は、自分で掛金を拠出して運用し、老後資金を作るを作る制度です。
自営業者の老後資金づくりとしても、広く利用されています。
(2)iDeCoの特徴
iDeCoの最大の特徴は、税制優遇が大きいことです。主なメリットは次の3つです。
- 掛金が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 受取時も退職所得控除または公的年金控除の対象
つまり、積み立てるとき・運用するとき・受け取るときのそれぞれの段階で税制優遇を受けられる仕組みです。
自営業者の場合は、掛金の上限額が月6万8,000円と、会社員よりも高く設定されているのもメリットです。
(3)iDeCoの注意点
ただし、次の点には注意が必要です。
- 国民年金基金と合算で月6万8,000円が上限
- 原則として60歳まで引き出せない
- 運用結果によって将来の受取額が変わる
iDeCoは「年金制度」というより、老後資金を作るための長期投資制度と考えると分かりやすいでしょう。
6.年金を増やす方法④国民年金の任意加入
(1)任意加入で納付期間を増やし、受給を増額
老齢基礎年金を満額で受け取るには、原則として40年間(480か月)の保険料の納付が必要です。しかし、未納や免除の期間があると、その分だけ将来の年金額は減ってしまいます。
そこで利用できるのが任意加入制度です。任意加入制度を利用すると、60歳以降も国民年金に加入して保険料を納めることができ、納付期間を増やすことができます。
つまり、老齢基礎年金の保険料の納付期間が不足している場合には、国民年金の任意加入制度を利用すると、年金額を増やすことができるのです。
例えば、次のようなケースです。
- 保険料納付期間が35年
- 満額より5年不足
この場合、60歳から65歳まで任意加入すると、納付期間を40年に近づけることができ、将来の年金額を増やすことが可能になります。
国民年金の満額は、2024年度(令和6年度)で年約84万7,300円(月約7万608円)です。任意加入によって納付期間を増やせば、この満額に近づけることができます。
(2)任意加入制度の注意点
ただし、任意加入制度には次の条件があります。
- 60歳以上65歳未満であること
- 老齢基礎年金を受給していないこと
- 保険料納付期間が40年未満であること
過去に未納期間がある人にとっては、老後の年金額を増やす重要な制度といえるでしょう。
7.制度の組み合わせで年金はいくら増える?
自営業者でも、ここまで解説した制度を組み合わせることで、将来の年金額を増やすことができます。
ここでは簡単なモデルケースで考えてみます。
前提として、国民年金のみを月7万円受給したとします。
(1)国民年金+国民年金基金
国民年金基金は加入プランで変わります。
例えば月1万円を年利2%で30年間積み立てた場合、資産は約492万円になります。
これを65歳から20年間で取り崩すと、月約2万円程度を国民年金にプラスすることができ、老後資金は月額合計で約9万円です。
- 国民年金:約7万円/月
- 国民年金基金:約2万円/月
- 合計:約9万円/月
(2)国民年金+国民年金基金+iDeCo
例えばiDeCoを使い、月1万円を年利2%で30年間運用できれば、老後資金は約492万円になります。
これを65歳から20年間で取り崩すとすれば、月約2万円程度を国民年金にプラスすることができます。
国民年金基金のみを利用した場合より月2万円増えて、老後資金が月額10万円を超えることになります。
- 国民年金:約7万円/月
- 国民年金基金:約2万円/月
- iDeCoで資産形成:約2万円/月
- 合計:約11万円/月
このように制度を組み合わせることで、老後資金を増やすことが可能になります。
まとめ
自営業者の年金は、国民年金のみの場合、月5万〜6万円程度になるケースが多いといわれています。
しかし、以下の制度を利用すれば、将来の年金額を増やすことは可能です。
- 付加年金
- 国民年金基金
- iDeCo
- 任意加入制度
自営業者は会社員よりも自由度が高い分、老後資金を自分で準備する必要があります。制度を理解し、早めに対策を考えておくことが大切です。






