年末調整をしないとどんな罰則がある?|会社側・従業員側の罰則を税理士が解説
年末調整をしなかったらどうなるのか、会社側・従業員側それぞれの罰則について税理士が解説します。[続きを読む]

年末調整を受けたいのに会社がやってくれない! そんな時はどうすればよいのでしょうか。解説します。
目次
従業員の年末調整を行うことは、会社側の義務です。
会社員だけでなく、アルバイトやパート、学生であっても、原則として全ての従業員分の年末調整をする義務を課せられているため、会社が年末調整をしないことは所得税法違反です(所得税法190条)。
給与所得者は、会社による源泉徴収と年末調整で所得税の清算を行うため、会社が年末調整をせず、結果的に国に納付すべき所得税額に不足が生じた場合は、以下の罰則が科されることになります。
前章で、年末調整は会社の義務であることをお伝えしましたが、「会社の年末調整の対象外になる」ケースも存在します。
以下のいずれかに該当する場合、年末調整の対象外となり、会社にやってもらうことはできませんので、自分で確定申告をして税金の清算をする必要があります。
④の「年の途中に退職した人」ですが、年内に退職していても下記のいずれかに当てはまる場合、退職時に年末調整を受けることが可能です。
年末調整を会社がやってくれない場合どのような対応が必要になるのか、ケース別に説明します。
年末調整の前に会社を退職しても、年内に再就職した場合は、新しい勤務先で年末調整を受けられるので問題ありません。
注意点としては、再就職先で受ける年末調整で、前職の給与と合算して給与収入・給与所得を記入する必要があるという点です。
通常、転職時に前職の源泉徴収票を提出しますが、もしもまだであれば、年末調整を受ける際に提出しましょう。
前職の源泉徴収票がまだ届いていない、または紛失してしまったという場合、前の会社に連絡して再発行を依頼することになりますが、源泉徴収票の発行が年末調整の時期に間に合わない場合、転職先で年末調整を受けることができません。
その場合は、自分で確定申告を行って税金の精算をする必要があります。
また、年末調整の前に会社を辞めて、なおかつ年内には再就職しなかったという場合も年末調整をうけられないため、自分で確定申告をする必要があります。この場合も前職の源泉徴収票が必要です。
ダブルワークや副業・アルバイトの掛け持ちなどで、2か所以上から給与をもらっている場合、本業(メインの勤務先)でのみ、年末調整を受けることになります(副業やサブの勤務先では年末調整を受けることはできません)。
注意点としては、メインの勤務先で年末調整を受けても、そのうえで確定申告(または住民税の申告)をしなければいけない点です。
年末調整の対象外、別にメインの勤務先がある、など、従業員側の理由で年末調整を受けられないケースもありますが、そうした事情がないにもかかわらず、会社が年末調整をしてくれない場合はどうすればよいでしょうか。
1章でお伝えした通り、年末調整は会社の義務です。
会社の担当者にその旨を伝えても説得できなければ、税務署に対応を相談し、会社側の対応が遅すぎる場合は自分で確定申告を行います。
ただし、確定申告には会社が発行する「源泉徴収票」が必要です。
年末調整をしてくれない会社となると、源泉徴収票の発行もしてもらえない可能性があります。この場合、税務署に「源泉徴収票不交付の届出手続」を提出しましょう。
確定申告は2月~3月に行いますが、毎年期限が決められていますので、準備には早めに取り掛かることをお勧めします。