源泉控除対象親族とは?控除対象扶養親族との違いをわかりやすく解説

家族

年末調整の扶養控除等申告書では、令和8年分から、「源泉控除対象親族」という用語が登場します。初めて耳にする用語であり、戸惑う方も多いでしょう。

「源泉控除対象親族」の意味、「控除対象扶養親族」との違いについて、図を使ってわかりやすく解説します。

1.源泉控除対象親族とは

令和8年分(2026年)の扶養控除等申告書では、「源泉控除対象親族」という用語が新たに登場します。

源泉控除対象親族」とは、次の条件に該当する親族(子ども、親など)のことです。

  • 配偶者以外
  • 給与所得者と生計を共にしている
  • 合計所得金額の見積額が100万円給与収入だけなら165万円以下である
  • 令和8年12月31日時点で年齢が16歳以上である(令和8年分では、誕生日が平成23年1月1日以前である)
  • 青色事業専従者として給与が支払われていないこと、および、白色事業専従者でないこと

条件がたくさんありますが、通常は、「給与年収165万円以下」かつ「16歳以上」という部分だけ、把握しておけばよいでしょう。

(1)源泉控除対象親族の年齢と年収条件

源泉控除対象親族は、年齢によって年収(所得)条件が違います。

年齢 年収 所得
16歳~18歳、23歳~ 123万円以下 58万円以下
19歳~22歳 165万円以下 100万円以下

19歳以上~22歳以下の大学生に当たる年齢の親族(子ども)だけ、特殊な年収です。

ややこしいので、図を掲載します。下の図で、赤く囲った部分です。

扶養親族

(2)毎月の源泉徴収で扶養親族の1人としてカウントされる

「源泉控除対象親族」という用語は、年末調整や、入社時などの、会社に提出する「扶養控除等申告書」という書類の中だけ登場します確定申告では登場しません

源泉控除対象親族は、給料をもらって働く、会社員・公務員だけが関連するものです。

毎月、給料が支給される際に、所得税が引かれて振り込まれますが、これを「源泉徴収」といいます。

源泉徴収の金額は、次の表のように、社会保険料を引いた後の給与の金額と、扶養親族の人数によって決まっています。
(こちらは、令和7年分までの表ですが、令和8年分でも基本的な考え方は同じです。)

つまり、扶養親族の人数が多いほど、引かれる(源泉徴収される)所得税が少なくなります。

「源泉控除対象親族」に該当すると、扶養親族の1人として人数にカウントされますので、引かれる所得税が少なくなります

2.源泉控除対象親族の記入箇所

源泉控除対象親族の記入箇所は、「令和8年分 給与所得者の扶養控除等申告書」の、真ん中あたりの「B」欄の部分です。

扶養控除等申告書 令和8年分

ここに、令和8年分の年収(所得)の予測が、年齢ごとに、次に該当する親族を記入します。

  • 16~18歳、23歳~:年収123万円以下(所得58万円)以下
  • 19~22歳:年収165万円以下(所得100万円)以下

3.控除対象扶養親族との違い

令和7年分(2025年)までの扶養控除等申告書では、「控除対象扶養親族」でした。

控除対象扶養親族」とは、次の条件に該当する親族(子ども、親など)のことです。

  • 配偶者以外
  • 給与所得者と生計を共にしている
  • 合計所得金額の見積額が58万円給与収入だけなら123万円以下である
  • 令和7年12月31日時点で年齢が16歳以上である(令和7年分では、誕生日が平成22年1月1日以前である)
  • 青色事業専従者として給与が支払われていないこと、および、白色事業専従者でないこと

(1)控除対象扶養親族の年収条件

控除対象扶養親族は、全年齢で年収条件が同じで、年収123万円(所得58万円)以下です。

こちらは、19~22歳であっても、年収123万円(所得58万円)を超えると、控除対象扶養親族には該当しません。

さきほどの図で、緑色で塗った部分です。

扶養親族

(2)扶養控除の対象になる

「控除対象」「扶養親族」という名称のとおり、扶養控除の対象になる親族です。つまり、扶養親族になります(扶養に入っている人)。

(3)大学生は、年収123万円を超えても、特定親族特別控除の対象

年収123万円を超えると、扶養控除の対象からは外れてしまいます(扶養親族でなくなります)。
ただし、19~22歳の年齢の親族については、年収123万円を超えても、「特定親族」と呼ばれ、特定親族特別控除を受けられます。

年収150万円(所得85万円)以下であれば、控除額は同じ63万円です。

年収150万円の壁 扶養 特定親族

詳しくは、次をご覧ください。

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4.控除対象扶養親族の記入箇所

控除対象扶養親族の記入箇所は、「令和7年分 給与所得者の扶養控除等申告書」の、真ん中あたりの「B」欄の部分です。

扶養控除等申告書 令和7年分

ここに、令和7年分の年収(所得)の見積額が、年収123万円以下(所得58万円)以下に該当する親族を記入します。

5.令和8年分と令和7年分の違いに注意!

ここまでをまとめると、扶養控除等申告書の令和8年分では「源泉控除対象親族」、令和7年分では「扶養控除対象親族」を記入します。
似ているようで違いますので、記入ミスにご注意ください。

  名称 年収(所得)条件
令和8年分 源泉控除対象親族 16~18歳、23歳~:123万円以下(58万円以下)
19~22歳:165万円以下(100万円以下)
令和7年分 扶養控除対象親族 全年齢:123万円以下(58万円以下)

6.よくある質問

16歳未満の子どもは、源泉控除対象親族ですか?

16歳未満の子どもは、源泉控除対象親族と、扶養控除対象親族のどちらにも該当しません。よって、扶養控除等申告書のB欄には記入しません。

そのかわり、扶養控除等申告書の下のほうに「16歳未満の扶養親族」という欄がありますので、ここに記入します。

扶養控除等申告書 令和8年分

年収150万円を超えた大学生の子どもも、源泉控除対象親族ですか?

源泉控除対象親族の年収(所得)条件は、年収165万円(所得100万円)以下です。

よって、年収150万円を超えた大学生(19歳以上~22歳以下)の子どもも、年収165万円(所得100万円)以下であれば対象です。中途半端な年収(所得)条件ですので、間違いにご注意ください。

年の途中で年収165万円を超えたらどうなりますか?

令和8年中に、親族の年収が165万円を超えたら、その時点から、源泉控除対象親族ではなくなります。

速やかに、扶養控除等申告書を修正して、会社に提出してください。

まずは、親族の年収が165万円を超えたことを会社に連絡すれば、手続き方法を会社が指示するはずですので、それに従ってください。

監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を10年以上担当。
税金やお金に関することが大好きで、関連記事を2000本以上、執筆・監修。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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