年末調整はアルバイト収入123万以下・160万以下でも必要?

年末調整

アルバイトの収入を年収103万円以下になるよう調整していた人は多いでしょう。

しかし、2025年の税制改正で、年収160万円までは所得税がかからず、年収123万円まで親の扶養に入れるようになりました。

では、2025年、アルバイト収入が年収123万円、あるいは160万円以下の人は年末調整を受けなくてよいのでしょうか? 解説します。

1.年末調整とは

会社員やアルバイト、パートのように、勤め先から給料を受け取っている人(まとめて「給与所得者」と呼びます)は、毎月のお給料から税金や社会保険料が天引きされています。

アルバイト先からあなたにお給料が渡される前に、お給料の一部が毎月、国や自治体に持っていかれているという事ですね。

給料から天引きされるお金の一つに「所得税」という税金があり、毎月のお給料から所得税を天引きすることを「源泉徴収」といいます。

ですが、私たちのお給料から天引きされている所得税(これを源泉所得税と呼びます)の金額は、実は正確な金額ではありません。

所得税の金額は「1月1日から12月31日の収入の合計金額」をもとに計算されるため、12/31になるまで正確な金額は特定できないのです。

毎月のお給料から天引きされている源泉所得税は、「今月の給料がXX万なら年収XXX万くらいになりそうだから所得税はこのくらいかな」という仮の金額であり、当然、正確な金額とは多少なりとも差が出てしまうことになります。

このため、年末に会社が従業員一人一人の所得税を計算しなおして、「それまで払った所得税」と「本来支払うべき所得税」の差額を清算します。税金を払いすぎていた人には「還付金」という形でお金を返し、税金の支払いが不足していた人からは追加で税金を徴収するのです。これが「年末調整」です。

年末調整とは、1年間の所得税を精算するための手続きなのです。

2.年末調整はアルバイトにも必要?

ここまで、何故年末調整をするのかというお話をしました。

  • 毎月の給料から所得税を引かれすぎていた人は年末調整でお金を返してもらう
  • 毎月の給料から引かれる所得税が少なすぎた人は年末調整で不足していた税金を支払う

ということでしたね。

繰り返しになりますが、年末調整とは「1年間で天引きした税金(源泉所得税)」と「本来払うべき税金」の差額を清算するものなのです。

それはアルバイトでも正社員でも、社会人でも学生でも変わらないので、「アルバイトだから年末調整がいらない」ということにはなりません。アルバイトも正社員と同じように年末調整が必要です。

ですが、アルバイトを経験したことのある皆さんの中には、「前のバイト先で年末調整をうけた覚えがないんだよなぁ」という方もいるでしょう。

ここからは、アルバイトをしていても年末調整を受ける必要がない・受けられないケースはどんなケースか確認していきます。

3.年収の壁引上げと年末調整

ここで一度、2025年の年末調整において大事なポイントを抑えておきます。

年収の壁が引き上げられたという話はニュースで聞いたという人も多いと思いますが、このニュースは年末調整にも大きな影響がありますので、ここでおさらいしておきましょう。

年収103万の壁は160万の壁に引き上げられた

アルバイトの皆さんの中には、年収が103万円以下になるようにシフトなどを調整していた方も多いでしょう。

2024年までは、年収の壁は「103万円」でした。つまり、年収103万円を超えると所得税がかかりました。

ところが、所得税改正により、2025年から、所得税がかからない年収の壁は「160万円」にアップしました。

今後、「103万円の壁」は気にする必要はありません。

今まで「103万円」と呼んでいたものを、今後は「160万円」に置き換えて考えてください。

税金の扶養は、年収123万円の壁にアップ

親の税金の扶養に入るための年収の壁は「123万円」にアップしました。

今までは、「103万円の壁」の意味は、2つあったのですが、同じ金額でした。
それが、次のように金額が分かれますので、注意してください。

  • 本人に所得税がかかる壁:103万円⇒160万円
  • 親の税金の扶養に入る壁:103万円⇒123万円

この記事は、アルバイト本人の年収の壁について解説していますので、上の「160万円の壁」だけについて説明します。

4.年末調整はアルバイト収入123・160万円以下なら受けなくていい?

前章では、年収が160万円まではアルバイト収入に所得税がかからず、123万円までは親の扶養に入れるようになったというお話をしました。

それでは、年収が123万円以下、または、160万以下なら年末調整は不要なのでしょうか?

アルバイトで年末調整しなくても問題ないケース

次の2つの条件を両方満たす場合、アルバイト先で年末調整を受けなかったとしても損をしたりペナルティを受けたりすることはありません。

  • その年に一度も源泉徴収(所得税の天引き)を受けていない
  • 年収が(全部の収入を足して)123万円以下

何度も繰り返すように年末調整は「1年間で天引きされたお金(源泉所得税)」と「本来払うべきお金(所得税)」の差額を調整するものです。

このため、1月~12月まで一度もお給料から所得税の天引きがなく、かつ、年収が123万以下で所得税の支払い義務がない方にとって年末調整は意味のないイベントだと言えます。

「天引きされた税金の金額」が0円で、「支払うべき税金の金額」も0円なら清算の必要はありませんからね。

といっても、この場合もアルバイト先から年末調整書類を渡されたら、きちんと記入して提出するようにしましょう(バイトを掛け持ちしている場合はメインのアルバイト先にのみ提出します)。

年末調整は会社の義務ですので、仮に、アルバイト自身が必要なかったとしても、会社側は年末調整をする必要があるのです。

アルバイト年収123万円以下でも年末調整が必要なケースとは

年収が160万以下という皆さんに一点、注意していただきたいのは、年収123万以下の人(=所得税の支払い義務がない人)でも、お給料から所得税が天引きされている(源泉徴収されている)ことがあるという事です。

年収が123万円以下の方に所得税はかかりませんが、2025年11月までは、一か月の給料が88,000円以上(※)になると、その月の給料からは源泉徴収されてしまいます※。

年末調整とは」でもお伝えした通り、毎月のお給料から引かれている所得税(源泉所得税)の金額はあくまで仮の金額です。その月のお給料を毎月貰っていたら年収はいくらぐらいになるか、という仮定に基づいて決まります。

もしも、毎月88,000円の給料を受け取れば、源泉徴収の対象になってしまうという事ですね。

ですから、

  • 1月~12月の収入の合計が123万円以下
  • 1月~12月のうち一度でも月収88,000円以上になったことがある

という方は、本来払うべき所得税は0円なのに源泉所得税を支払っているので、年末調整で還付金を受け取らなければ損という事になります。

「年収123万円以下だから年末調整は関係ないかな」と思っていた方も一度、今までの給料明細を確認し、所得税の天引きがないか確認してみることをおすすめします。

※扶養家族(ご自身が養っている家族)が0人の場合です

アルバイト年収123万円を超えたら、160万円以下でも年末調整が必要?

2025年から、年収160万円以下であれば、所得税はかかりません。それでも、年末調整は必要なのでしょうか?

確かに、年収160万円以下であれば、所得税はかからないのですが、国税庁の資料を見ると、それは、年末調整または確定申告して、基礎控除額95万円を適用した場合の話のようです。

もし何もしない場合は、基礎控除額は58万円となり、給与所得控除額65万円と合計すると、年収123万円ですので、そこが要/不要の基準年収になっています。

基礎控除額95万円を適用して、年収160万円まで所得税ゼロにするには、年末調整で基礎控除申告書に記入する必要があります。

まとめ

年末調整はもともと複雑でわかりにくい制度ですが、2025年は税制改正があり、一層難しく感じる人も多いでしょう。

今回解説したように、年収の壁が引き上げられたことで、今後は103万にかわって、123万・160万が大事なラインとなります。

以下、アルバイトで年末調整を受ける際に役立つ記事をまとめました。

図解で解る年末調整書類の書き方

監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
プロフィール この監修者の記事一覧
\この記事が役に立った方は是非シェアをお願いします/
  • Pocket