医療費控除で対象外のものを申告してしまった! どうなる? どうすればいい?
医療費控除の難しいところの一つは、対象になるものとならないものの線引きです。ついうっかり、医療費控除の対象にならない費用を含めて申告してしまうというミスも起こりやすいでしょう。
この記事では、医療費控除で対象外のものを申告したらどうなるのか、どのように対応すればいいのか解説します。
1.医療費控除で対象外のものを申告してしまった!どうなる?
医療費控除とは、自分及び自分と同一生計の配偶者や親族のために支払った医療費が一定の金額を超えると、所得控除を受けることができる制度のことです。
医療費控除の対象となる医療費は所得税法などで細かく規定されています。医院や歯科医院で支払った医療費であっても、たとえば美容整形は「治療」ではないことから、医療費控除の対象となる医療費には該当しません。
また、医師や歯科医師による施術でなくても、たとえばあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価のうち治療に直接関係のあるものは医療費控除の対象となりますが、単に疲れをとったり体調を整えたりするだけのものは、たとえあん摩マッサージ指圧師などが施術をしたとしても、医療費控除の対象にはなりません。
本来医療費控除の対象にはならない医療費を、確定申告において誤って医療費控除の対象に含めてしまったらどうなるでしょうか。
この場合は、医療費控除の対象となる医療費を過大に申告していることになり、その結果、確定申告によって納めるべき税額が本来と比べて過少、もしくは還付を受ける金額が本来と比べて過大となってしまいます。
このような状況のまま、後日税務調査が入ると、税務署の職員から指摘を受けて追徴税額とペナルティーを支払うことになります。
2.医療費控除で対象外のものを申告してしまった時の対処方法
では、本来医療費控除の対象にはならない医療費を申告してしまったことに気づいたらどうすればよいでしょうか。気づいたときに取るべき対処方法は、気づいた時期が確定申告の期限(毎年3月15日まで)より前か後かで異なります。
確定申告の期限より前に気づいた場合
まず、確定申告の期限より前に気づいた場合は、もう一度正しい申告書を作成して、e-Taxや郵送で提出することで対処できます。期限内であれば後に届いた申告書が正しいものとして取り扱われますので、申告を訂正する旨を税務署に連絡したり、その旨を申告書に記載したりする必要はありません。
確定申告によって税金を納付する場合、納付すべき金額は正しい申告書に記載された税額となります。たとえば、最初の申告書に記載された税額が10万円で、医療費控除の金額を修正した申告書に記載された税額が11万円の場合は、確定申告の期限までに11万円を納付する必要があります。最初の申告書を提出した時点ですでに10万円を納付していた場合は、忘れずに追加の1万円を納付するようにしましょう。
確定申告によって税金の還付を受ける場合も、還付を受ける金額は正しい申告書に記載された税額です。還付金額をまだ受け取っていないのであれば何もする必要はありませんが、すでに還付金額を受け取った後に還付金額が減る方向の修正(本来医療費控除の対象にはならない医療費を申告してしまったケースはこれに該当します)を行うときは、還付済みの金額が本来と比べて過大になるため、過大となった税金を納付する手続きが必要となります。
参考:国税庁ホームページ 確定申告期に多いお問合せ事項Q&A Q20
このような場合は、税務署に電話してどう対応すればよいか相談するようにしましょう。所轄税務署の電話番号は国税庁ホームページから検索できます。
確定申告の期限より後に気づいた場合
次に、確定申告の期限である3月15日より後に誤りに気づいた場合は、確定申告の誤りを修正するための「修正申告書」を提出する必要があります。修正申告書は、確定申告書と同じくe-Taxまたは郵送で提出することができます。
修正申告書も、国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成することができますので、当初の確定申告書を確定申告書等作成コーナーで作成した方は修正申告書も確定申告書等作成コーナーで作成するとよいでしょう。
修正申告書を提出した場合は、追加で納付する税額の他に、正しい税額が書かれた確定申告書を期限までに提出できなかったことに対する金銭的ペナルティー(過少申告加算税や延滞税)が課せられる可能性があります。
過少申告加算税は税務署による調査を受ける前に自主的に修正申告をした場合は原則として課されず、延滞税は延滞税の額が1,000円未満の場合はかからないルールになっているため、間違いに気づいたらすぐに修正申告書を提出するようにしましょう。修正申告書の作成方法が分からないからといって放置してしまうと上記のペナルティーがかかる可能性もあるので、分からないことがあれば税務署に電話するか、税務署の窓口で相談することをおすすめします。