インボイス制度はなんのために導入される? 目的は何?
1.インボイス制度の目的は? なんのために導入されるの?
この記事では、インボイス制度が何のために導入されるのか、どんな目的の制度なのか解説します。
その前に、皆さんそもそもインボイス制度とはどんな制度なのかご存じでしょうか。
インボイス制度の話題になると普段聞きなじみのない用語がたくさんでてくるので、ちょっと分かりづらく感じる方も多いかと思います。
インボイス制度とはとても簡単にいうと、「請求書には消費税を正しく記載しましょう」という制度です。
何のためにそのような制度が必要になったのかというと、軽減税率を導入するためなのです。
インボイス制度はもともと、消費税の軽減税率とセットで導入が決定されました。
それほど、インボイス制度と軽減税率には強い関連性があるのですが、急に軽減税率とインボイス制度を並べられてもピンとこないかもしれませんね。
次章では軽減税率とインボイス制度の関係について紐解いていきます。
2.インボイス制度と軽減税率の関係とは?
軽減税率が導入される前は、どんなものでも消費税は一律で8%でしたよね。
そんなふうに、どんなものでも同じ税率が適用される「単一税率」であれば、請求書や領収書に適用税率や消費税額が記載されなくても正しい経理処理を行うことができます。
一方、軽減税率では、
- 食料品・新聞等の消費税は8%
- それ以外の消費税は10%
というように、ものによって適用税率が変わります(このような税金のかけ方を「複数税率」と言います)。
この場合、請求書や領収書に適用税率や税率ごとの消費税額が記載されないと正しい経理処理を行うことができません。
こうした背景から、軽減税率に対応するためにインボイス制度が導入されたのです。
下図は、インボイス制度導入前と後のレシートの例です。
赤枠で囲ったところをご覧ください。インボイス対応のレシートを見ると、税率ごとの消費税額が記載されていて、以前よりも消費税の内訳がより分かりやすくなっていますよね。
インボイス制度の導入によって、税率が複数あっても正しい経理処理を行うことができ、正しい消費税額が国に納付されるという成果が見込まれています。
3.インボイス制度には「消費税の増税」という目的もある?
さてここまで、
- インボイス制度は請求書に正しい消費税を記載する制度
- インボイス制度は軽減税率に対応するために必要になった
という話をしましたが、これをふまえると、「インボイス制度によって消費税の増税がしやすくなる」という考え方もできます。
軽減税率のように、ものによって税率が変わる消費税のかけかたを「複数税率」と言います。
インボイス制度は複数税率に対応するための制度ですので、この制度が定着すれば、「食料品の8%」と「その他の10%」の2分類だけでなく、もっと細かく区分分けして消費税をかけることも比較的容易になります。
例えばイギリスでは次のように3種類の税率が存在します。
- 生活必需品……消費税0%
- 光熱費等……消費税5%
- その他……消費税20%
インボイス制度が始まれば今後、一部の生活必需品のみ税率を低めに設定して、嗜好品などには今以上に高い税率をかけることもやりやすくなるでしょう。
このため、インボイス制度が消費増税の布石になっているという見方も可能なのです。
まとめ
インボイス制度とは?
インボイス制度とはとても簡単にいうと、「請求書には消費税を正しく記載しましょう」という制度です。
インボイス制度が導入される目的は?
インボイス制度は軽減税率に対応するために導入される制度です。請求書や領収書に適用税率や税率ごとの消費税額が記載し、正しい経理処理を行うことで、正しい消費税額が国に納付されるという成果が見込まれています。