【いよいよ来月】2023年4月から年金増額! いくら増える? 実質目減りってどういう意味?
この記事では、「今年は3年ぶりに年金増額!いつから、いくら増えるの?」というテーマで、2023年度の年金支給額改定についてわかりやすく解説します。
目次
1.令和5年度(2023年度)の公的年金支給額はいくら?
2023年度は3年ぶりに公的年金の支給額が引き上げられます。どのぐらい上がるのか確認しましょう。
(1)68歳以上で既に年金の支給を受けている方
令和5年4月以降、68歳以上で既に年金の支給を受けている方の年金支給額は前年度から1.9%引上げられ、国民年金は満額支給で月額6万6050円となります。
満額支給の場合、国見年金が月額で1234円アップするということですね。
(2)67歳以下でこれから年金の支給を受ける方
令和5年4月以降、67歳以下でこれから年金の支給を受ける方の年金支給額は前年度から前年度から2.2%引上げられ、国民年金は満額支給で月額6万6250円となります。
満額支給の場合、国見年金が月額で1434円アップするということですね。
(3)厚生年金の支給額はどのくらいあがるのか
40年間かかさず保険料を納めれば全員が一律で同じ金額を受け取れる国民年金と違って、厚生年金の金額は現役時代の収入によって金額が変わります。
そのため、今回の年金増額で厚生年金が2023年4月から「いくらになる」とは言えませんが、「政府が思う『平均的な収入』で40年働いた場合」の、夫婦二人分の年金は月額22万4,482 円となり、前年度から4,889 円アップします。
2.年金支給額があがったから物価が上がっても大丈夫?
(1)年金の支給額は世の中の物価と賃金の推移で決まる
年金の金額はざっくりいうと、物価と賃金がどのくらい上がったかで決まります。
- 68歳以上の場合……年金支給額は物価変動率と賃金変動率の低い方に対応する
- 67歳以下の場合……年金支給額は賃金の変動に対応する
世の中の物価も賃金も上がれば年金支給額もあがるのが基本的なルールという事ですね。
(2)年金が上がっても物価はそれ以上に上がってしまう
先ほどお話しした通り、年金の金額は物価と賃金がどのくらい上がったかで決まります。
令和5年度の年金支給額は
- 物価変動率 ……+2.5%
- 名目手取り賃金変動率 ……+2.8%
をベースに改定されました。
ですが、前章でお伝えした通り、実際の令和5年度の年金支給額は、
- 68歳以上……+1.9%
- 67歳以下……+2.2%
ということで、年金の上昇率は物価上昇率・賃金上昇率に追いついません。
つまり、2023年4月からの年金生活では、
- 年金の支給額は確かに上がる!
- でもそれ以上に物価が上がってる!
- だから実際には生活はこれまでより苦しく感じられるようになる
ということになります。
3.年金支給額を下げるマクロ経済スライドとはいったい何?
年金増額が物価上昇に追いつけないのはマクロ経済スライドが発動するからです。
「マクロ経済スライド」という言葉については、「きいたことはあるけどよくわからない」という方も多いかと思います。
マクロ経済スライドとは、究極にざっくりいうと、
- 年金を納める人が少ないのに年金受給者がたくさんいるよ!
- だから、賃金上昇・物価上昇と同じだけ年金増額しちゃうと採算が合わなくなっちゃうよ!
- というわけで、年金の上昇率は賃金上昇率・物価上昇率よりちょっと低くします!
- そうしないと年金を支払い続けること自体出来なくなっちゃうから許してね!
という制度です。
マクロ経済スライドの発動によって、年金改定率が物価変動率・賃金上昇率よりどのくらい低くなるかは、
- 年金を納める人の減少
- 平均寿命の延び
を考慮して毎年調整されます。
2023年度の調整率は次の通りです。
- 2023年のマクロ経済スライド調整率0.3%
- 2022年までのキャリーオーバー0.3%
- →合計0.6%
この調整率を賃金上昇率・物価上昇率から差し引いて、2023年度の年金増額幅が決まったのです。
- 68歳以上……(物価変動率+2.5%)-(マクロ経済スライド調整率0.6%)
→年金改定率=+1.9% - 67歳以下……(賃金変動率+2.8%)-(マクロ経済スライド調整率0.6%)
→年金改定率=+2.2%