配偶者控除でいくら戻る?年収別に計算

配偶者 夫婦

配偶者の年収が103万円以下のとき、配偶者控除を受けられます。
(配偶者の年収が103万円以上201.6万円未満のときは、配偶者特別控除を受けられます。)

配偶者控除を受けると、いくら戻るのか? 年収によって異なりますので、年収別に計算してみました。

1.年収別 配偶者控除で戻る所得税の金額

年末調整や確定申告で配偶者控除を受けると、払いすぎた所得税が戻ってきます(還付されます)

給与収入の場合の年収別に、配偶者控除なしのときの所得税と、配偶者控除ありのときの所得税を比べてみました。差額が戻ってくる金額です。

年収配偶者控除なし
のときの所得税
配偶者控除あり
のときの所得税
配偶者控除で
戻る金額
200万円27,900円8,500円19,400円
300万円55,700円36,300円19,400円
400万円86,400円 67,000円19,400円
500万円142,700円103,900円38,800円
600万円208,500円169,700円38,800円
700万円319,600円242,000円77,600円
800万円485,200円407,600円77,600円
900万円670,200円592,600円77,600円
1000万円864,200円786,600円77,600円
1100万円1,066,700円1,005,700円61,000円
1200万円1,294,000円1,294,000円0円

※社会保険料控除は14.385%(令和4年4月時点の保険料率、協会けんぽ加入・東京・介護保険なし)で計算
※その他の扶養控除は考慮していません

これを見るとわかるように、ある程度、規則性があります。

年収200万円、300万円、400万円のとき

年収200万円、300万円、400万円のときは、所得税の税率は5%です(復興特別所得税も含めると、5.105%)。

配偶者控除の金額は38万円ですので、これに5.105%をかけると、19,400円になります。

正確にいうと、38万円に5.105%をかけただけでは、ちょうど19,400円にはなりませんが、最終的な所得税の金額は100円未満を切り捨てますので、結果的に、19,400円ちょうどになります。

年収500万円、600万円のとき

年収500万円、600万円のときは、所得税の税率は10%です(復興特別所得税も含めると、10.21%)。

配偶者控除の金額38万円に10.21%をかけると、38,800円になります。

年収700万円、800万円、900万円、1000万円のとき

年収700万円、800万円、900万円、1000万円のときは、所得税の税率は20%です(復興特別所得税も含めると、20.42%)。

配偶者控除の金額38万円に20.42%をかけると、77,600円になります。

年収1100万円のとき

年収1100万円のときは、所得税の税率は23%です(復興特別所得税も含めると、23.483%)。

ところで、年収1095万円を超えると、配偶者控除の金額は26万円に減らされてしまいます。
(「配偶者控除の控除額」を参照)

配偶者控除の金額26万円に23.483%をかけると、61,000円になります。

年収1200万円以上のとき

年収1195万円を超えると、配偶者控除を受けることができません。
(「配偶者控除の控除額」を参照)

年収1200万円以上では、年収がいくらであっても、配偶者控除は適用されません。

2.配偶者控除の控除額

配偶者控除の控除額は、次の通りです。()内は、給与収入しかない場合の給与年収額です。

配偶者控除
納税者本人の合計所得金額
()内は給与年収
控除額
70歳未満70歳以上
900万円以下
(1,095万円以下)
38万円48万円
900万円超950万円以下
(1,095万円超1,145万円以下)
26万円32万円
950万円超1,000万円以下
(1,145万円超1,195万円以下)
13万円16万円

【引用】国税庁:配偶者控除|所得税

年収が1,095万円を超えると、配偶者控除は26万円に減らされ、
年収が1,145万円を超えると、配偶者控除は13万円に減らされます。

さらに年収が1,195万円を超えると、配偶者控除はなくなります。

3.配偶者控除で戻る金額の注意点

会社員や公務員の方は、実際には、年末調整や確定申告で上記の金額が戻ってくることは、あまりありません。

なぜかというと、毎月、源泉徴収で所得税が引かれるとき、該当する配偶者がいれば、あらかじめ配偶者控除も考慮されて引かれているからです。そのため、実際に戻ってくる所得税はもっと少なくなります。

ただし、年の途中で結婚したとか、配偶者が退職したとかで、扶養になったときは、今までは配偶者控除を考慮しないで所得税を引いていましたので、年末調整や確定申告で上記の金額が戻ってくる可能性が高いです。

4.配偶者控除で住民税はいくら戻る?

通常であれば、配偶者控除を受けても、住民税が戻る(還付される)ことはありません

住民税は、配偶者控除を受ける年末調整や確定申告が終わった後に、市区町村のほうで計算して金額が決まるからです。

ただし、配偶者控除を忘れていて、後から適用して場合は、すでに払った住民税が戻ってきます。
住民税の配偶者控除は33万円、税率は年収によらず一律10%ですので、33,000円が戻ってきます。

配偶者控除を後からやることを、「更正の請求」といい、確定申告の期限から5年以内であれば、税務署で手続きが可能です。税務署で、配偶者控除が認められると、所得税が戻ってきます。また、自動的に市区町村にも連絡がいき、住民税も戻ります。

5.配偶者控除でいくら戻るかを自分で計算してみよう!

年収手取り額計算ツール」を利用して、配偶者控除でいくら戻るかを自分で計算してみることができます。

手順① 配偶者なしで計算

まずは、配偶者なしで計算します。

あなたの給与収入、年齢を入力して、「計算する」ボタンを押してください。

年収手取り額計算

結果が表示されます。ここでは、「所得税」だけを利用します。これが、配偶者控除なしの場合の所得税です。

年収手取り額計算

手順② 配偶者ありで計算

次に、「より詳細な情報を入力する」ボタンを押します。
「配偶者の有無」で「いる」を選択し、配偶者の年収、年齢を入力し、下のほうの「計算する」ボタンを押します。
(必要に応じて、都道府県を選んだり、保険料率を入力してください。)

年収手取り額計算

結果が表示されます。これが、配偶者控除ありの場合の所得税です。

年収手取り額計算

手順③ 差額を計算

「配偶者控除なしの場合の所得税」から「配偶者控除ありの場合の所得税」を引けば、配偶者控除で戻ってくる金額がわかります。

服部
監修
服部 貞昭
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を1000本以上、執筆・監修。
賞与計算ツールなど各種ツールを20個以上開発。
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