【4/25最新】事業復活支援金|給付件数 政府の緊急経済対策
経済産業省から給付件数が発表されています。意外と低調で予算が余りそうな感じです。延長や2回目の可能性もあるかもしれません。
4月25日時点の、給付状況を詳しくみていきたいと思います。
1.現在の給付件数
経済産業省のホームページによると、4月25日時点では、約102万件の申請を受け付けているようです。
そのうち約102万件の中小企業・個人事業者に、約7551億円を給付したと発表されています。
ここで、事業復活支援金の予算を振り返ってみましょう。
令和3年度の補正予算額は、2兆8032億円でした。地域・業種は問わず、条件内で売上が減少した事業者に支給されています。
ちなみに、以前行われた持続化給付金の給付件数は約424万件でした。
事業復活支援金も同程度の申請が見込まれると考えると、1事業者あたりの予算額は約66万円です。
2.予算・持続化給付金との比較
では、現在の実績はどうなっているでしょうか。
予算との比較
給付件数・給付額ともに少しずつ伸びてはいますが、4月4日時点で、予算に対する達成率は、給付件数は16.5%、給付額は18.4%という状況です。1事業者当りの給付額でみると、約74万円と、予算よりも少し高めの状況です。
申請件数 | 給付件数 | 給付額 | 1事業者当たり | |
---|---|---|---|---|
2月21日 | 31万件 | 14万 | 940億円 | 約67万円 |
2月28日 | 37万件 | 22万件 | 1,588億円 | 約72万円 |
3月7日 | 48万件 | 29万件 | 2,131億円 | 約73万円 |
3月14日 | 56万件 | 41万件 | 2,992億円 | 約73万円 |
3月21日 | 65万件 | 48万件 | 3,531億円 | 約74万円 |
3月28日 | 75万件 | 59万件 | 4,365億円 | 約74万円 |
4月4日 | 88万件 | 70万件 | 5,164億円 | 約74万円 |
4月11日 | 102万件 | 79万件 | 5,826億円 | 約74万円 |
4月18日 | 116万件 | 90万件 | 6,589億円 | 約73万円 |
4月25日 | 131万件 | 102万件 (24.1%) |
7,551億円 (26.9%) |
約74万円 |
予算 | - | 424万件 | 2兆8,032億円 | 約66万円 |
()内は予算に対する達成率
グラフで見てみましょう。青色の棒グラフを見ますと、1週間ごとの申請件数は、少しずつ増えてきていて、直近の1週間は15万件と、最も多くなりました。個人事業主は3月の確定申告が終わり、また、3月の売上も確定しましたので、申請件数が増えたと考えられます。
オレンジ色の棒グラフを見ますと、給付件数は、直近では伸びてきているものの、申請件数との差が少しずつ開いています。申請してから、給付を待っている件数が増えています。
持続化給付金との比較
ここで、同じ時期における持続化給付金の件数とも比べてみましょう。
それぞれ表にまとめると、このようになります。
持続化給付金 | 事業復活支援金 | 割合 | |
---|---|---|---|
申請件数 | 約305万件 | 約131万件 (直近1週間で約15万件増加) |
43.0% |
給付件数 | 約280万件 (直近1週間で約10万件増加) |
約102万件 (直近1週間で約12万件増加) |
36.4% |
持続化給付金と比較して、申請は約4割強、給付は約3分の1強、給付の遅れが目立ってきています。
なお、持続化給付金と事業復活支援金の給付条件の比較はこのようになっています。
持続化給付金 | 事業復活支援金 | 備考 | |
---|---|---|---|
売上条件 | 50%減 (前年比) |
50% or 30%減 (1, 2, 3年前比) |
条件緩和 |
給付額 | 最大 法人200万円個人100万円 |
最大 法人250万円 個人50万円 |
実質減少 法人は売上規模に応じて |
対象月 | 12ヶ月間 | 5ヶ月間 | 短い |
申請開始 | 5月1日 | 2月1日 | 確定申告直前 |
持続化給付金は売上が前年と比べて50%減少した事業者が対象でしたが、事業復活支援金は1・2・3年前と比べて50%または30%減少した事業者から受け取ることができます。
給付額は持続化給付金が法人最大200万円・個人最大100万円でしたが、事業復活支援金では法人最大250万円・個人最大50万円です。
ただし、法人は売上高に応じた上限額であり、実質的には減少しています。
対象月は、持続化給付金が12ヶ月・事業復活支援金が5ヶ月と短いです。
申請開始は、持続化給付金が5月1日からでしたが、事業復活支援金は2月1日からと、ちょうど、確定申告直前でした。確定申告期間にかぶったので、今まで申請が少なかった可能性がありそうです。
3.今後の予測
今後の予測をしてみます。
申請件数が、毎週15万件のペースで、今後5週間続くとすると、5月末時点で、206万件の申請となりそうです。
この場合、給付額の予測は、約1兆5200億円です。つまり、約1兆2800億円、予算が余ることになりそうです。そこで、2回目や延長の可能性もあるかもしれません。
それよりも気になるのが、給付待ちの件数が増えていて、4月25日現在で、29万人も待っていることです。申請したのに給付されない人が増えていますので、迅速な審査と給付が大きな課題点だと思います。
このままいくと、5月末には、給付待ち件数が44万件になりそうです。すべての人に給付が完了するのは、7月以降になるかもしれません。
4.緊急経済対策
4月26日の午後、政府は、6.2兆円の緊急対策を決定しました。この緊急対策は、4つの柱からなっています。
- ①原油価格高騰対策 (ガソリン補助金)
- ②エネルギー・食料等の安定供給対策
- ③中小企業対策 (資金繰り支援)
- ④生活困窮者対策 (1世帯10万円支給)
財源ですが、2022年度予算の予備費から、1.5兆円を支出し、さらに、2.7兆円の補正予算を検討しています。
国費 | うち 予備費 |
うち 補正予算 |
事業規模 | |
---|---|---|---|---|
①価格高騰対策 | 1.5 | 0.3 | 1.2 | 1.5 |
②安定供給対策 | 0.5 | 0.1 | 2.4 | |
③中小企業対策 | 1.3 | 0.1 | 6.5 | |
④困窮者支援 | 1.3 | 1.0 | 1.3 | |
予備費確保 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | |
合計 | 6.2 | 2.5 | 2.7 | 13.2 |
(単位:兆円)
財源を細かくみてみますと、この表のようになっています。中小企業対策には、1.3兆円が、あてられています。
中小企業向けは資金繰り支援
中小企業支援の内容は、従来からある、資金繰り支援です。売上の減少に応じて、いろいろな融資が受けられます。
一番、受けやすいのが、日本政策金融公庫の、実質無利子の融資です。ほかに、保証料補助で、民間金融機関から受ける融資もあります。コロナとは関係なく、たとえば、ウクライナ情勢などで、経営状況が悪化しているなら、セーフティネット貸付があります。
残念ながら、いまのところ、支援金や給付金などの、新しい内容は発表されていないようです。
次の給付金はあるか?
ただ、給付金と支援金については、コロナの影響が始まってから、2年以上にわたり、ずっと続いてきました。
2020年1月から12月までは、持続化給付金。2021年1月から3月までは、一時支援金。2021年4月から10月までは、月次支援金。2021年11月から2022年3月までは、事業復活支援金。
今年の4月からは、まだ特に発表がありません。ただ、昨年の4月から対象になった、月次支援金は、2021年4月28日に発表されました。もし、支援が続くのであれば、そろそろ何らかの発表があるかもしれません。
5.給付金額の増額や拡大の要望
知事会や国会などで、事業復活支援金の給付金額の増額や拡大の要望が出ていますので、紹介しておきます。
全国知事会
3月23日、全国知事会が、まん延防止等重点措置の解除を受けた緊急提言を行いました。その中で、事業復活支援金についても触れていて、その要点をまとめました。
- 対象月の延長、4月以降も対象とするように求めています。
- 給付金額の大幅増額、具体的な金額については述べていません。
- 売上減少率の要件緩和、こちらも具体的には述べていません。
- 事前確認、書類提出の簡素化。協力金を月間事業収入に算入しないように。
- そして、申請に不備がある場合、理由を明示して、再申請しやすいように。
- 最後の要望はとても重要ですね。申請しても、事務局からまったく連絡がないと、何が問題で審査が遅れているのかわかりませんので、これは改善してほしいですね。
国会
国会の動きをいくつか紹介しておきます。
立憲民主党が給付額倍増法案を衆議院へ提出
1月31日、立憲民主党が給付額倍増法案を衆議院へ提出しました。その要点は、上限額の大幅な引き上げ、そして、支給対象期間を、4月から8月、9月から1月など複数期間、設けることです。
共産党の笠井議員が持続化給付金並みの直接支援を求める
3月9日、共産党の笠井議員が衆議院の経済産業委員会で持続化給付金並みの直接支援を求めました。実は、2021年10月14日 岸田首相が記者会見でこのように述べていました。
持続化給付金並みの給付とは、どのくらいかというと、2020年度は、持続化給付金にプラスして、家賃支援給付金もあり、法人は最大800万円、個人は最大400万円の給付を受けられました。
ところが、事業復活支援金は、年間売上1億円以下の法人は最大100万円、個人は最大50万円と、約8分の1の規模です。とても、持続化給付金なみとはいえませんね。この要望に対して、政府からの具体的な回答は今のところありません。
岸田首相の令和4年度予算成立についての会見
3月22日、岸田首相が令和4年度予算成立についての会見の中で、このように述べました。
事業復活支援金の延長は今のところ発表されていませんが、延長も視野に入れている可能性はありそうです。ちなみに、令和4年度予算では、事業復活支援金に関しては、当初の予算額から変更はないようです。このままだと、予算が大幅に余りそうな感じですね。