事業復活支援金の対象者と申請方法、1月31日から申請開始

個人だと最大50万円もらえる、事業復活支援金。
先日、いよいよ詳細資料や申請方法が公開されました。白色申告の計算方法も記載されています。

1月31日から申請開始されましたが、今回は中小企業庁から公開されている資料をわかりやすく説明していきたいと思います。

【参照サイト】事業復活支援金

1.申請期間と対象者

申請期間は、1月31日から5月31日までの4ヶ月間です。

また、今回の支援金の対象者は、コロナの影響で売上が減少した

  • 中小企業
  • 個人事業主・フリーランス

です。

地域や業種は限定されませんので、緊急事態宣言の地域であったり飲食店であったりする場合に限らず、コロナの影響で売上が減少していれば誰でも支援金をもらうことができます。

2.新型コロナウイルスの影響

新型コロナの影響を受けて売上が減少したというのがポイントですが、どんな場合に対象となるのか、多くの人が該当しそうなものだけピックアップして軽く触れてみましょう。

まず、飲食・観光・イベント関連ですが、休業・時短営業やイベントの延期・中止などの要請を受けた場合は対象となります。
自分が要請を受けていなくても、顧客・取引先が休業・時短営業をした場合も対象です。

次に、消費者の外出・移動の自粛など、新しい生活様式への移行で売上が減少した場合も対象です。
自粛で来店者が減ったとか、洋服が売れなくなったとかですね。

 

また、直接消費者と取引をしていなくても、取引先がコロナの影響を受けて自分への発注が減っても対象となります。
取引先のお店が人流の減少で来店者が減って、その店に納品している自分への発注が減った場合などがあげられます。

ここでポイントなのは、顧客・取引先には他社を介在した間接的な顧客・取引先を含むという部分です。
直接の取引先がお店でなくても、いくつか先のお店で影響を受けていればよいわけです。

たとえば、あなたがWEBデザイナーだったとして、制作会社からの依頼で大手飲食店のサイト制作に携わっていたのですが、その飲食店が休業で売上が減ってサイト制作が延期になり、結果的に自分のデザインの仕事もなくなってしまったという場合が当てはまります。
ビジネスはみんなつながっていますので、ほとんどすべての人が当てはまるのではないでしょうか。

 

対象外のケース

ちなみに、売上計上基準の変更や顧客との取引時期の調整により売上が減少した場合は対象外です。
たとえば、取引先にお願いして今月の納品分を来月に付け替えてもらえば今月の売上が減少して条件を満たすかもしれませんが、これはダメだということですね。

3.売上の条件

売上の条件です。

新型コロナの影響で2021年11月から2022年3月のいずれかの月の売上が、1年前または2年前または3年前の同じ月と比較して50%以上、または30%以上50%未満減少した事業者が対象となります。

比較対象の月

売上の比較対象の月は、3年前なら2018年11月から2019年3月、2年前なら2019年11月から2020年3月、1年前なら2020年11月から2021年3月となります。

2021年11月から2022年3月のうち、どの月の売上を、何年前の対象期間と比較するかは自分で任意に決めることができます。

3年前までのどこかひと月でも比較して、売上が30%以上減少した月があれば良いですから、もらえる確率が高い支援金ではないかと思います。

4.給付金額

実際に給付される金額は、11月から3月までの5ヶ月分の売上減少額を基に計算します。

給付額には上限があり、売上の減少率に応じて異なります。

フリーランスなど個人事業主の場合は、売上50%以上減少で最大50万円、売上30%以上減少で最大30万円です。中小企業の場合は、売上によって異なります。売上1億円以下なら、売上50%以上減少で最大100万円、売上30%以上減少で最大60万円です。

  売上高(※) 売上高減少率
▲50%以上 ▲30%~50%
中小企業 5億円以上 250万円 150万円
1億円以上~5億円未満 150万円 90万円
1億円未満 100万円 60万円
個人事業主 (区分なし) 50万円 30万円

※売上を比較する過去の年度の月を含む事業年度の1年間売上

給付額の計算方法

給付額の計算方法です。

給付額 =(基準期間の売上高)-(対象月の売上高)×5

基準期間の5ヶ月間の売上から、対象月の売上を5倍した金額を引きます。

売上の比較に利用する月を基準月といい、基準期間とは、基準月を含む過去の11月から3月までの期間です。対象月は、2021年11月から2022年3月までのいずれかの月です。

計算例

具体的な計算例を見てみましょう。こちらは、事業所得で青色申告のケースです。

2019年 2020年 合計
11月 12月 1月 2月 3月
60万円 30万円 40万円 20万円 50万円 200万円
2021年 2022年 合計
11月 12月 1月 2月 3月
40万円 30万円 20万円

この売上表を見ると、2020年1月の売上は40万円でしたが、今年1月の売上は20万円ですので、売上は50%減少しました。

そうすると、2020年1月を含む11月から3月までの5ヶ月間の売上合計は200万円ですので、給付額は、200万円から、今年1月の売上20万円に5をかけた金額を引いて、100万円となります。

給付額 = 200万円 - 20万円×5 = 100万円 > 個人:上限50万円

ただし、個人事業主では、売上50%以上減少の場合、最大50万円ですので、給付額は最終的に50万円となります。

白色申告のケース

こんどは、事業所得で白色申告のケースです。
雑所得や給与所得がメインで確定申告している場合も含みます。

白色申告の場合は月々の売上はわかりませんので、年間の売上を12で割って月平均の売上を計算します。

年間売上 月平均
2019年 540万円 45万円
2020年 480万円 40万円

こちらの例だと、2019年の月平均は45万円、2020年の月平均は40万円です。
それを、2019年11月から2020年3月までの売上欄に転記します。

2019年 2020年 合計
11月 12月 1月 2月 3月
45万円 45万円 40万円 40万円 40万円 210万円
2021年 2022年 合計
11月 12月 1月 2月 3月
40万円 30万円 20万円

そうすると、2020年1月の売上は40万円でしたが、今年1月の売上は20万円ですので、売上は50%減少しました。

2019年11月から2020年3月までの5ヶ月間の売上合計は210万円ですので、給付額は、210万円から、今年1月の売上20万円に5をかけた金額を引いて、110万円となります。

給付額 = 210万円 - 20万円 × 5 = 110万円 > 個人:上限50万円

ただし、個人事業主では、売上50%以上減少の場合、最大50万円ですので、給付額は最終的に50万円となります。

計算ツール

給付額を計算する便利なツールを作りました。ご自由にご利用ください。

事業復活支援金 給付計算ツール

6.申請方法

流れ

申請の流れです。

一時支援金か月次支援金をもらっている人は、申請書類を準備してWEBページから申請します。事務局での審査が通ると振り込まれます。

一方、今回支援金をもらうのが初めての人は、まずアカウント登録をして、事前確認を行います。その後、WEBページから申請します。

事業復活支援金

事前確認

事前確認は、不正受給や給付対象を誤って理解したまま申請してしまうことの対策として行われます。
内容は、事業を実施しているか、新型コロナウイルス感染症の影響を受けているか、給付対象等を正しく理解しているかなどです。

もともと対象にならない人が申請すると、審査を担当する人の負担が大きくなり、みんなに影響を与えてしまいますので、あらかじめ専門家に確認してもらってねという意味合いだと思います。

具体的には、登録確認機関がテレビ会議や対面で、書類の有無や質疑応答等の形式的な確認を行います。

登録確認機関

登録確認機関とは、税理士、中小企業診断士、行政書士などです。
また、商工会・商工会議所、農業共同組合、漁業協同組合なども含まれます。

あと、継続支援関係というのもあります。
これは、過去1年以上、商工会議所の会員になっていたり顧問税理士がいたりする場合です。

事前確認の手順

事前確認の詳細手順です。

  1. アカウントの申請・登録を行い、申請IDを確認する(1月27日から可能)。同時に、事前確認に必要な書類を準備。
  2. 事務局のWEBサイトから身近な登録確認機関を検索。電話やメールで事前確認の依頼と事前予約をする。
  3. 事前確認をテレビ会議や対面、電話で実施する。
  4. 事前確認が終わったら、WEBページから事務局に申請する(1月31日開始)。

7.必要書類

申請時の必要書類です。
確定申告書・対象月の売上台帳・個人の人は本人確認書類・通帳・宣誓同意書、こちらの5つは全員必須の書類です。

一時支援金や月次支援金をまだ受給したことがなく、登録確認機関と継続支援関係がない場合は、他の書類も必要となります。

確定申告書

提出が必要となる確定申告書です。
個人事業主の場合、2019年度と2020年度の確定申告書は必須、プラスして、過去の比較する11月から3月までの売上がわかる確定申告書を提出します。

たとえば、③のように1年前と比較するなら、2019年と2020年にプラスして2021年の確定申告書を提出します。

ここで注意したいのが、2021年分の確定申告は今年の3月15日までであるため、まだ終わっていない人がいるということです。
その場合には、確定申告が終わってから申請するようにしてください。

8.今後のスケジュール

今後のスケジュールです。

1月27日 事前確認、申請アカウント登録開始
1月31日 通常申請受付開始、15時以降予定
2月1日 申請サポート会場が開設
5月26日 事前確認終了
5月31日 申請受付終了

9.給付金について

最後に、参考情報として給付金について触れておきます。

新型コロナウイルス感染症対策として、いろいろな給付金や補助金がありますが、これらは、過去の基準月と現在の対象月の両方の収入から除きます
対象となる給付金には、持続化給付金、家賃支援給付金、一時支援金、月次支援金などがあります。

他の給付金については、コールセンターに問い合わせをすれば調べて回答してくれるそうなので、わからないことがあれば連絡してみてください。

協力金について

要注意なのは、時短要請に伴う協力金についてです。

過去にもらった協力金は過去の基準月にはプラスしませんが、現在の対象月にはプラスして計算します。

今回給付金をもらってしまうと、事業復活支援金をもらえなくなる場合もあるかもしれませんので、協力金と事業復活支援金のどちらをもらうほうがお得なのか、検討したほうが良いでしょう。

今回だけ協力金をプラスすれば、売上の判定で不利になりますので、事業者泣かせの仕組みのような気もするのですが、仕方ないですね。

10.まとめ

以上、事業復活支援金についてフリーランス向けに解説しました。

計算や難しい文章が多く大変な部分もあると思いますが、きちんと給付金をもらうためにもひとつひとつ確認して申請するようにしましょう。

当サイトでは、他にもフリーランス向けの計算例や事業復活支援金の概要説明などをご紹介している記事がありますので、不明点があればぜひご参照くださいませ。

MEI 顔イラスト
執筆
MEI(めい)
職業はフリーランスのプログラマー。
請求書とか確定申告とか、わからないことだらけだったので、
困って調べたことを自分なりにまとめて執筆活動もしています。
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