まん延防止等重点措置&緊急事態宣言、全国で解除

国会議事堂
【更新情報】
・9/30、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が全国で解除されました。(10/1更新)

緊急事態宣言は都道府県単位、まん延防止等重点措置は市区町村単位ですが、どこに適用されていたかを整理しました。
(10月1日 10:00時点での情報です。内容が古くなっていることもありますが、ご了承ください。)

また、「緊急自体宣言」と「まん延防止等重点措置」との違いも解説します。

1.対象地域

(1)緊急事態宣言の対象地域一覧

以下の都道府県に緊急事態宣言が発令されていましたが、9/30にすべての都道府県で解除されました。

期間 対策内容(※)
北海道 8/27~9/30
茨城県 8/20~9/30
栃木県 8/20~9/30
群馬県 8/20~9/30
埼玉県 8/2~9/30
千葉県 8/2~9/30
東京都 7/12~9/30
神奈川県 8/2~9/30
岐阜県 8/20~9/30
静岡県 8/27~9/30
愛知県 8/27~9/30
三重県 8/27~9/30
滋賀県 8/27~9/30
京都府 8/20~9/30
大阪府 8/2~9/30
兵庫県 8/20~9/30
広島県 8/27~9/30
福岡県 8/20~9/30
沖縄県 5/23~9/30

(※)緊急事態宣言の対策内容の共通事項

緊急事態宣言の適用対象となっている地域での、共通の対策内容です。
共通内容以外の、各地域の独自の内容のみ、表内に記載しています。

[住民]
・都道府県間の移動自粛、不要不急の外出自粛、特に20時以降
[事業者]
・飲食店など:カラオケを使用、酒類を提供する飲食店(客による店内持ち込みも含む)は休業、それ以外は営業時間20時までの時短
・命令違反なら30万円以下の過料
・時短・休業協力金:飲食店は、大企業で1日最大20万円、中小企業は売上高に応じて4万~10万円。大型商業施設は1日20万円、テナントは2万円
・マスク未着用者の入店拒否
・1000平方メートル以上の大型商業施設は20時までの時短
・ホテル・旅館:宴会・集会スペースの使用制限
・テーマパーク・遊園地・映画館:休業要請せず
・スポーツ・イベント・演劇:上限5000人、収容率50%以下
・学校:クラブ・部活動の自粛、オンライン授業、一斉休校要請はせず
・保育園:休業要請せず
・出勤者の7割削減
[自治体]
・飲食店の見回りを実施
・歓楽街などでモニタリング検査
・高齢者施設を頻繁に検査

(2)まん延防止等重点措置の対象地域一覧

まん延防止等重点措置の対象となっている都道府県と内容をまとめます。8県に適用されています。

以下の都道府県がまん延防止等重点措置の対象となっていましたが、9/30にすべての都道府県で解除されました。

地域 期間 備考
宮城県 仙台市 8/8~9/30
福島県 いわき市、郡山市、福島市 8/8~9/30
石川県 金沢市 8/2~9/30
岡山県 岡山市、倉敷市、津山市、
玉野市、笠岡市、井原市、
総社市、備前市、赤磐市、
真庭市、浅口市、
早島町、矢掛町、勝央町、
奈義町、久米南町、美咲町
9/13~9/30
香川県 高松市 8/20~9/30
熊本県 熊本市 8/8~9/30 熊本市以外も別途制限
宮崎県 宮崎市 8/27~9/30
鹿児島県 鹿児島市 8/20~9/30

まん延防止等重点措置の対策内容の共通事項

まん延防止等重点措置の適用対象となっている地域での、共通の対策内容です。
共通内容以外の、各地域の独自の内容のみ、表内に記載しています。

[住民]
・不要不急の外出自粛、特に20時以降
[事業者]
・飲食店など:営業時間20時まで(対象地域以外でも時短要請あり)、酒類の提供禁止
・命令違反なら20万円以下の過料
・時短協力金は大企業で1日最大20万円、中小企業は売上高に応じて4万~10万円
・マスク未着用者の入店拒否
・カラオケ設備の利用自粛
・イベント:上限5,000人、収容率50%以下、20時まで
・学校、保育所:休校、休園要請はせず
[自治体]
・飲食店の見回りを実施
・歓楽街などでモニタリング検査
・高齢者施設を頻繁に検査

(3)10/31までの経過措置

10/31までの1ヶ月間は、経過措置として、引き続き、飲食店の営業時間などに制限がかけられます。ただし、従わない店舗に罰則を課すことはできません。

認証店 それ以外の店 備考
営業時間 21:00まで 20:00まで
酒類の提供 知事が判断
1都3県では20:00まで
知事が判断
1都3県では自粛

2.違い

(1)まん延防止等重点措置と緊急事態宣言の違い

まん延防止等重点措置と緊急事態宣言の違いを簡単にまとめます。

緊急事態宣言 まん延防止等重点措置
対象地域 都道府県単位 知事が市区町村を指定
適用の目安 ステージ4を想定 ステージ3を想定
(ステージ2での適用も可能)
飲食店対策 時短と休業の命令・要請 時短の命令・要請
(休業はなし)
大型施設
対策
1000㎡以上の大型施設は休業
イベント:無観客
※4回目では対策緩和
休業要請なし
イベントは:上限5,000人、収容率50%以下
交通機関 終電繰り上げ、減便の要請
※4回目では対策緩和
要請なし
命令違反
の罰則
30万円以下の過料 20万円以下の過料

まん延防止等重点措置とは?

「まん延防止等重点措置」とは、2021年2月13日施行の改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、特措法)で新たに導入された制度です。

緊急事態宣言は感染状況「ステージ4」相当で発令されますが、「まん延防止等重点措置」はステージ3相当で適用されます。場合によっては、ステージ2でも適用可能であり、以前より柔軟に感染症対策を行うことが可能になりました。

なぜ緊急事態宣言を出さないの?

「まん延防止等重点措置」と「緊急事態宣言」のどちらでも、飲食店への時短要請や、イベントの入場者数制限などがあり、内容にそれほど違いはありません。

大きな違いは、「まん延防止等重点措置」は市区町村などの地域単位で適用できるが、「緊急事態宣言」は都道府県単位で適用されることです。

都道府県全体に緊急事態宣言をしてしまうと経済的な影響が大きいため、政府は、感染症が拡大している地域だけ限定して対策できるように、「まん延防止等重点措置」という制度を作りました。

ただ、一部の関係者内では省略して「まん防(まんぼう)」とも呼ばれていて、この表現が、ゆるキャラのような名前を想起させることもあり、国民の間では「まん延防止等重点措置」は「緊急事態宣言」よりも緩やかな内容という誤った認識が広がっている可能性があります。

(2)緊急事態宣言、前回との違い

今まで緊急事態宣言が計4回発令されています。

それぞれの回の緊急事態宣言との違いを簡単にまとめます。

1回目 2回目 3回目 4回目
期間 2020年4月7日~5月25日 2021年1月8日~3月21日 2021年4月25日~6月20日 2021年7月12日~9月30日
対象 最初は東京など7都府県
その後全国に拡大
最初は東京など1都3県
その後11都府県に拡大
栃木は2/7で解除
6府県は2/28で解除
最初は
東京、京都、大阪、兵庫
5/12に愛知、福岡を追加
6/20に沖縄以外解除
東京、沖縄
8/2に埼玉、千葉、
神奈川、大阪を追加
最大21都道府県に拡大
9/30に解除
飲食店 休業・時短要請
店名公表の対象外
夜20時までの時短要請
お酒の提供は19時まで
応じない店名公表
お酒提供の飲食店には休業要請
それ以外は夜20時までの時短要請
応じない店名公表
左記に同じ
各施設 映画館、遊園地など
幅広い業種に休業要請
20時までの時短要請 1000㎡以上の大型施設に休業要請
イベントは無観客
休業要請せず
学校 文部科学省が
一斉休校を要請
(宣言とは直接関係ない)
一斉休校は要請せず
入試を実施
一斉休校は要請せず 左記に同じ

3.協力金

(1)飲食店等:休業・時短に対する協力金

飲食店等について、休業または時短に対する協力金が支給されます。政府は、新たに、売上高別に協力金の金額を決めました。

緊急事態宣言・まん延防止重点措置が適用されている地域と、そうでない地域によって支給額が異なります。

緊急事態宣言・まん延防止重点措置が適用されている地域

1日当たり
売上高(※1)
1日当たり支給額
大企業 減収分の4割相当
最大20万円(※3)
中小企業 ~10万 4万円
10万円~25万円 1日当たり売上高×0.4
25万円~ 10万円

それ以外の地域

1日当たり
売上高(※1)
1日当たり支給額
大企業 減収分の4割相当
最大20万円(※3)
中小企業 ~83,333円 2.5万円
83,333円~25万円 1日当たり売上高×0.3
25万円~ 7.5万円
※1 前年度または前々年度の1日当たりの売上高。事業を開始したばかりで前年度の売上がない場合には、1日当たり売上高10万円以下を適用
※2 ただし、4月12日~5月5日の期間は、中小企業・大企業ともに一律4万円
※3 正確には、上限は、「20万円」または「前年度または前々年度の1日当たりの売上高の3割」のどちらか低い金額。中小企業でも大企業の方式を選択することが可能

以前は、規模にかかわらず、1日当たり6万円など一定額を支給していましたが、大規模事業所では赤字を補填できないという問題があり、規模別に支給額を決めることになりました。

また、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」の対象でない地域に対しても、知事から時短営業の協力要請がされることがあり、その場合にも、事業所の規模に応じた協力金が支給されます。

※各地域でこれらの金額を上回る独自の協力金を設けているところもあります。

(2)飲食店以外

こちらの内容は、第3回目の緊急事態宣言の内容であり、第4回目は緩和されていて、異なります。

飲食店以外の施設について、
1000平方メートル超の大規模施設(生活必需品を販売する箇所を除く)は休業要請の対象となります。
1000平方メートル以下の施設は休業の協力依頼となります。

どの施設が休業要請の対象となるかは、各都道府県にお問い合わせください。

大規模施設とテナントそれぞれに協力金の金額が設定されます。また、1000平方メートル以下の施設を運営する中小企業・個人事業主にも協力金があります。

金額
大規模施設 1日当たり20万円
追加で、1テナント×2000円
複数の建物がある場合は、別途支給
テナント 1日当たり2万円
中小企業・個人事業主 1日当たり2万円

大規模施設では上記の金額では足りないことから、政府は追加の支給を決定しました。

映画館では1スクリーン当たり追加で2万円が支給されます。

コンサート、劇場の公演、展覧会、スポーツの試合やイベントについては、2500万円の補助金が支給されます。無観客でのイベントの払い戻しなどの事務手数料にも適用されます。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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