【2/15まで延長】家賃支援給付金、期間はいつからいつまで?

空き 店舗 テナント
【1/15更新】
家賃支援給付金の申請期限が2/15まで延長されました。

コロナウイルスの感染拡大のために休業を余儀なくされている事業者にとって、大きな問題となっているのが家賃などの固定費の支出です。

そこで、「家賃支援給付金」が給付され、事業者の家賃について、法人に最大600万円、個人事業主に最大300万円が支給されます。

1.家賃支援給付金とは?

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の延長等により、売上が減少している事業者の事業継続を支えるために、地代・家賃(賃料)の一部を支援する給付金です。

はじめは、「特別家賃支援給付金」とも呼ばれていましたが、「家賃支援給付金」という名称で決定しました。

(1)対象者

対象者は、中小企業及び個人事業主・フリーランスの中で、コロナウイルスの影響で収入が減ってしまい、家賃の支払いに困窮しているすべての事業者です。

具体的には、次の3つの条件を満たす事業者です。

  • ①資本金10億円未満の、中小企業・個人事業主(フリーランス)、または、常時使用する従業員数が2,000人以下の事業者
    2019年12月31日以前から事業活動をしており、今後も事業を継続する意思があること。
  • ②新型コロナウイルスの影響により、5月~12月の売上高について、「ある1ヶ月で前年同月比50%以上減少」または「連続する3カ月で前年同期比30%以上減少
  • 自らの事業のために直接占有する土地・建物の賃料の支払い

今年(2020年)開業の場合は?

上記の条件ですが、今年(2020年)に開業した事業者は当てはまらないのですが、政府は、2020年1月~3月に開業した事業者も給付の対象とする方向で検討しています

詳細は別途、公表される予定です。

(2)給付額

中小企業:最大600万円

家賃(賃料)が75万円以下の部分については、家賃の3分の2までの範囲で、支給されます。
家賃(賃料)が75万円から225万円までの部分については、家賃の3分の1までの範囲で、支給されます。

上記の両方を合わせると、1ヶ月当たりの支給の、上限は100万円です。

6か月分支給されますので、中小企業の上限は600万円です。

特別家賃支援給付金

仮に家賃が月額150万円だとすると、次のような計算になります。

  • 75万円までの部分:75万円×2/3=50万円
  • 75万円超の部分:(150-75)×1/3=25万円
  • 合計:75万円
  • 6ヶ月分:450万円

個人事業主(フリーランス):最大300万円

家賃(賃料)が37.5万円以下の部分については、家賃の3分の2までの範囲で、支給されます。
家賃(賃料)が37.5万円から112.5万円までの部分については、家賃の3分の1までの範囲で、支給されます。

上記の両方を合わせると、1ヶ月当たりの支給の、上限は50万円です。

6か月分支給されますので、個人事業主(フリーランス)の上限は300万円です。

家賃支援給付金

給付額の算定方法

給付額については、申請日の直近1ヶ月以内に支払った金額を基に計算します。

たとえば、給付金の申請を8月10日に行った場合は、7月11日~8月10日に支払った家賃が計算の基礎となります。詳細は別途、「家賃(賃料)の範囲」で解説します。

(3)申請はいつまで?いつもらえる?

家賃支援給付金の申請期間は、2020年7月14日~2021年2月15日です。
(オンライン申請は、2021年2月15日24時まで)

もともと申請期限は、2021年1月15日でしたが、2月15日まで延長されました。

いつもらえるか?について、家賃家賃給付金サイトでは、特に明示されていません。
だいたい、申請から2週間くらいが目安になるようですが、審査の状況によっては、それ以上、時間がかかることもあるようです。

給付はいつから?

8月4日から給付が開始されています。

申請・給付の状況

2021年1月10日までに、約93万件の申請があり、約78万件の給付がされています。

【参照】経済産業省:家賃支援給付金の申請と給付についての現在の状況

(4)申請方法

オンライン申請(WEB申請)

原則、パソコンやスマホを利用しての、オンライン申請(WEB申請)になります。

サイトの利用方法は「動画でわかる電子申請」で詳しく解説されています。

申請の流れ

概要を簡単に記します。

  1. 家賃支援給付金ホームページへアクセス。メールアドレス・ID・パスワードを登録し、マイページを作成
  2. マイページの申請フォームから必要書類を添付して申請
  3. 家賃支援給付金事務局で申請内容を確認
  4. 家賃支援給付金事務局より、申請者本人と、賃貸人または管理業者宛に給付通知書(※)を発送し、登録した口座に振込

申請後、支給が決定すると、「家賃支援給付金の振込のお知らせ」が本人と賃貸人に発送されます。

申請サポート会場

オンライン申請が不可能な場合には、申請サポート会場が開設されていますので、そこで行います。

ただし、いくつか次のような注意点があります。

  • 新型コロナウイルス予防の観点から、完全予約制です。
  • 会場にコピー機がありませんので、必要書類をあらかじめコピーして持参が必要です。

連続する3ヶ月の売上が30%減の場合

判定条件として、「連続する3ヶ月の売上が前年同期比30%以上減少」に当てはまる場合、対象となる3ヶ月間は、早くても、5月・6月・7月となります。

この場合の申請については、8月14日から開始されました。

【参照】家賃支援給付金サイト:連続する3か月の売上合計額が30%以上減っている方へ

(5)必要書類

以下の書類が必要です。

法人・個人
共通
・自署の誓約書
・売上が減った月・期間の売上台帳など(※)
・賃貸借契約書の写し
・直前3か月間の賃料の支払実績を証明する書類
(銀行通帳の写し、振込明細書等)
・給付金の振込先がわかる口座情報
法人 ・2019年分の確定申告書別表一の控え
・法人事業概況説明書の控え
・受信通知(e-Tax利用の場合)
個人事業主 ・確定申告書第一表の控え
・所得税青色申告決算書の控え
・受信通知(e-Tax利用の場合)
・本人確認書類の写し
(運転免許証、マイナンバーカード等)

※売上が減ったことを証明する売上台帳として以下のようなものがあります。
「2020年■月」と月が明確に記載されている必要があります。

  • 経理ソフトから抽出した売上データ
  • 表計算ソフト(エクセルなど)で作成した売上のデータ
  • 手書きの売上台帳のコピー
  • 売上が減った月・期間の売上がわかる法人事業概況説明 など

詳細は、「家賃支援給付金サイト 準備する書類」をご覧ください。

(6)問い合わせ先

家賃支援給付金コールセンター
TEL:0120-653-930
受付時間:8:30~19:00
8月31日まで:全日対応
9月1日以降:平日、日曜日のみ対応(土曜日・祝日除く)

2.家賃(賃料)の範囲

給付額の計算の基礎となるのは、申請日の直近1ヶ月に支払った家賃(賃料)です。
家賃(賃料)には、何が含まれるのかは、重要なポイントです。

(1)給付額の算定の基礎となる契約・費用

以下の契約・費用が、計算の基礎となる家賃(賃料)に含まれます。

  • 賃貸借契約(土地・建物)
  • 賃料
  • 共益費・管理費(※)

※共益費・管理費が、賃料について規定された契約書とは別の書類に規定されている場合は、給付額の算定の基礎には含まれません。

以下の契約・費用は、計算の基礎となる家賃(賃料)に含まれません。

  • 貸主と借主が一親等以内の場合の賃貸借契約(夫婦間・親子間など)
  • 転貸を目的とした取引
  • 売買契約
  • 電気代、水道代、ガス代等の光熱費
  • 減価償却費
  • 保険料
  • 修繕費
  • 動産の賃借料、リース料
  • 更新料、礼金、解約違約金など
  • 敷金、保証金
  • 不動産ローン返済額
  • テナント回避

(2)契約期間

給付の対象となるには、下記のすべての条件を満たす必要があります。

  • ①2020年3月31日の時点で、有効な賃貸借契約があること
  • ②申請日時点で、有効な賃貸借契約があること
  • ③申請日より直前3ヶ月間の賃料の支払い実績があること

3月31日以降、引っ越し、再契約などをした場合、例外として提出すべき書類があります。

3.給付額シミュレーション

では、個人事業主の場合を例に、実際の支給額のシミュレーションをしてみます。
(中小企業も金額が異なるだけで、考え方は同じです。)

支給金の支払いに関する計算式や条件を再度、整理しておきます。

  • 条件
    2020年5月~12月のある1ヶ月の売上が前年同月比50%以下であること、または、
    連続する3ヶ月の売上が前年同期比70%以下(30%以上減少)であること
  • 給付額の計算式
    家賃37.5万円以下の部分:家賃×2/3×6
    家賃37.5万円超112.5万円以下の部分:(家賃-37.5)×1/3×6

まず、条件に当てはまることの確認が必要で、次に、給付額を計算します。

例1

条件判定
2019年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
売上(万円) 40 40 35 35 40 50 70 40 50 60 50 80
2020年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
売上(万円) 40 40 35 20 15 30 35          

この場合、売上減少について

2019年5月の売上:40万円 → その50%は、40万円×0.5=20万円
2020年5月の売上:16万円
16万円<20万円 であるので、1ヶ月の売上が前年同月比50%以下という条件を満たす
給付額

申請日が8月10日で、8月分を7月31日に支払った場合

2020年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
家賃(万円) 10 10 10 10 10 10 10 10        
家賃37.5万円以下の部分:10万円×2/3×6=40万円
家賃37.5万円超の部分 :0円×1/3×6=0円
給付額:40万円

例2

条件判定
2019年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
売上(万円) 80 80 70 70 80 90 70 80 70 60 90 80
2020年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
売上(万円) 80 80 40 40 50 60 40          

この場合、売上減少について

2019年5月~7月の売上:240万円 → その70%は、240万円×0.7=168万円
2020年5月~7月の売上:150万円
150万円<168万円 であるので、連続する3ヶ月の売上が前年同期比70%以下という条件を満たす
給付額

申請日が8月10日で、8月分を7月31日に支払った、ただし、4月1日以降に賃料の変動があった場合

2020年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
家賃(万円) 40 40 40 40 50 50 50 50        

このケースでは、3月31日時点で有効な賃貸借契約書に記載されている賃料と比較し、低い金額(40万円のほう)を給付額の算定基礎とします。

家賃37.5万円以下の部分:37.5万円×2/3×6=150万円
家賃37.5万円超の部分 :(40-37.5)万円×1/3×6=5万円
給付額:155万円

条件判定&給付額計算シート(無料配布)

上記の例のように、条件判定と給付額計算を簡易に行うために、スプレッドシートを公開しております。

【リンク】家賃支援給付金 条件判定&計算シート

家賃支援給付金

無料で配布しておりますので、ご自由にご利用ください。
(閲覧権限のみ付与しておりますので、コピーしてご利用ください。)

4.よくある質問

Q.自分で所有していて、ローンを支払中の土地・建物は対象ですか?

対象となりません。支払っている賃料のみが対象です。

Q.「自宅」兼「事業所」の家賃は対象ですか?

「事業所」の部分のみが対象となります。確定申告書で損金に計上している部分など、合理的な方法で按分します。

Q.管理費や共益費も含まれますか?

賃貸借契約書で、賃料と一体的に取り扱われている場合には、対象となります。

Q.賃貸者契約書の賃貸人(かしぬし)の名義と現在の賃貸人が異なる場合は?

賃貸借契約等証明書(賃貸人の名義が異なる場合)を提出すれば、給付対象となる場合があります。

Q.賃貸者契約書の賃借人(かりぬし)の名義と現在の賃借人が異なる場合は?

賃貸借契約等証明書(賃借人の名義が異なる場合)を提出すれば、給付対象となる場合があります。

Q.不正受給をするとどうなりますか?

提出された書類に疑いがある場合は、申請者および関係者に対して、事情聴取や調査を行うことがあります。その結果、不正受給が判明した場合には、次のような対応が行われることがあります。

  • 支給された給付金の全額に、不正受給の翌日から返還日まで年3%の割合の延滞金を加え、これらの合計額の2割の金額を加えた額を、申請者は支払う。
  • 不正受給をした申請者の法人名などを公表する。
  • 不正受給をした申請者を告訴または告発する。

不正受給とは、本来、給付金を受けることができないにもかかわらず、故意に虚偽の情報を記入して受給しようとすることを意味します。

たとえば、廃業することが確定していたにもかかわらず、「事業を継続する意思があること」の宣誓をすることです。

5.持続化給付金との関係

中小企業と個人事業主を対象に、使途を限定せず事業全般に利用できるのが「持続化給付金」です。法人には最大200万円まで、個人事業主には最大100万円までが給付されます。

持続化給付金は、「使途を限定しない」のが特徴のため、持続化給付金を家賃の支払いに充てることも可能です。

持続化給付金と今回の家賃支援給付金はまったく別の制度ですので、仮に持続化給付金を家賃の支払いに充てたとしても、家賃支援給付金の条件を満たしていれば、家賃支援給付金の申請・給付を受けることが可能です。

【参考】個人の家賃補助は「住宅確保給付金」

個人事業主の方の場合、店舗の家賃だけでなく、自宅の家賃の支払いも厳しくなっているかもしれません。

個人の家賃補助については「住宅確保給付金」という制度があり、原則3ヶ月間(最長9ヶ月間)の給付金が受け取れます。

ただし、収入や資産額、求職活動について、細かい要件があります。

監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
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