健康診断・人間ドックは医療費控除の対象になる?
一般的な健康診断や人間ドックは「病気の治療」を行うものではないので、医療費控除の対象にはなりません。
ただし、その後、病気が見つかり治療を行う場合は、例外的に対象になります。
医療費控除の基礎知識を紹介したうえで、健康診断と医療費控除の対象になる条件を解説します。
1.医療費控除とは
医療費控除では、本人と家族の治療などのために支払った医療費の額を、課税所得の額から差し引きます。
「所得税の額」は「課税所得の額」に税率を掛けるなどして算出するので、課税所得の額が減れば、支払う所得税の額も減ります。
ただし、医療費控除の対象になる「医療費」は、次の条件にあてはまるものです。
- 10万円以上に達した場合の医療費(所得の額が200万円未満の人は、所得金額の5%以上)
- 「医療費」とは病院やクリニックなどで支払った金額のこと。健康保険など公的医療保険が負担した分は除く。本人3割負担なら、3割に該当する額が医療費になる
- 通院時に支払った交通費も「医療費」に含めることができる
- 「家族」は、本人と生計を一にする配偶者や親族
- 対象となる医療費は1月1日から12月31日までに支払った分
- 医療費控除の額の上限は200万円
- 保険金などで補填されたお金は、医療費から差し引く
2.健康診断や人間ドック・がん健診が医療費控除の対象になる条件
会社が従業員のために行う健康診断の費用や、本人が自分の意志で受診する人間ドック・がん健診の費用は、医療費控除の対象になりません。
会社の健康診断は、普通は従業員の金銭的な負担はありませんが、仮に一部の費用を負担したとしても、医療費控除の対象になりません。
また、最近は、メタボリックシンドロームに係る特定健康診査も行なわれていますが、こちらも医療費控除の対象外です。
ただし、例外的に健康診断、人間ドック、がん健診、特定健康診査(以下、健康診断など)で支払った費用が、医療費控除の対象になることがあります。
それは、健康診断の結果、重大な病気がみつかり、その健康診断などに「引き続き」その病気を治療した場合は、その治療費とともに、健康診断などの費用も、医療費控除の対象になります。
健康診断などの後にその病気を治療した場合、健康診断などが「治療に先立って行われた診察」と同じと考えられるからです。
3.確定申告の方法
医療費控除を受けるには、確定申告を行う必要があります。サラリーマンなどの給与所得者でも、確定申告をしないと医療費控除を使うことができません。
確定申告に必要な書類のうち、「確定申告書」と「医療費控除の明細書」は税務署で入手するか、国税庁のホームページからダウンロードします。そのURLは次のとおりです。
その他に必要な書類は次のとおりです。
- 給与所得者の場合は、源泉徴収票
- 健康保険組合などから送られてくる医療費通知
- 健康診断等の領収書(必要に応じて)
まとめ
健康診断・がん健診・人間ドックなどは、原則、医療費控除の対象外ですが、そのあと重大が病気が見つかり、治療をした場合、「健康診断などの費用も含めて」医療費控除の対象になります。
健康診断などを受けて費用が発生したら、念のため領収書などは保存しておきましょう。