消費税10%増税はいつから?増税の理由は?
【2021/7/14更新】 コロナ禍での大幅な財政出動により、政府内では消費税増税論も出てきているようです。 消費税…[続きを読む]
2019年11月25日、IMF(国際通貨基金)がまとめた日本経済についての声明の中で、2030年には消費税を15%にする必要があるとしました。
なぜ消費税をそこまで上げる必要があるのでしょうか。また、本当に上げたほうがいいのでしょうか。
この記事では、今後の消費税増税の可能性とIMFの報告書の概要についてご説明します。
目次
IMFは、日本の高齢化によって増大する社会保障費を賄う必要があり、そのために消費税を2030年までに15%、2050年には20%にする必要があるとしています。
概ね、今回の10%への消費税増税で説明された理由と同様です。
他の細かいIMFによる経済分析はここでは省略しますが、IMFは2018年9月時点でも「段階的に15%へ引き上げ」ることを提案していました。
消費税を15%にすれば、単純計算なら一年ごとの財政赤字がほぼなくなるからです。
参考までに、OECD(経済協力開発機構)が公表した報告書では最大26%に引き上げる必要があるとしています。
しかし、本当に単年の財政赤字をなくす必要があり、15%で赤字はなくなるのでしょうか。
IMFへの反対派の理由とともにご説明します。
※IMFの声明全文はこちら
一方で、今回の10%への消費税増税や、IMFによる15%への増税提案には根強い反対の声があり、TwitterなどのSNSでも議論が交わされています。
単に「消費税が上がるのがイヤ」といったものではなく、しっかりした根拠があります。
例えば下記のような理由があります。
消費税増税は、IMFも日本政府も「社会保障費を賄うための税収確保」といった点を理由にすることが多いです。
しかし、増税して税収が増えないのなら増税の意味はありません。
昔から言われていることですが、消費税のように国民の生活に身近な税金を上げると、国民の多くが消費を抑えるようになります。
よく「消費が冷え込む」という表現で説明されるのはこういうことです。
また、消費税の税収が増えたとしても、消費が減ることで企業の活動が減衰し、総合的な税収は減ってしまう可能性があります。
ただ、実際の税収は様々な要素で変動しますので、一概には言えません。
繰り返しになりますが、消費税増税は社会保障費等を賄うためです。
しかし、その社会保障費が増税しなくても足りるとしたらどうでしょうか。
IMFや政府、財務省による増税論に反対する理由の一つとして、増税しなくてもお金は足りるということを主張する人もいます。
日本の赤字はよく聞く話ですが、まだまだ日本銀行は国債を国内に向けて発行する余地があるのは事実です。
それなら、税収を今増やすよりも、当面は国債を発行することで税収を賄い、デフレから脱却して景気を良くすることを目指すべき、というのがこの主張です。
今回、2019年10月の消費税増税でも、景気への影響は一定程度ありましたが、それでも2014年の8%への増税の頃よりは影響は小さく抑えられています。駆け込み需要もありましたが、やはり8%への増税時と比べれば小規模なものでした。
IMFは、影響緩和の施策が功を奏していると分析しています。
例えば、キャッシュレス決済でのポイント還元や、保育・高等教育に対する追加投資などがあります。
もちろん、軽減税率の導入で食品等の税率が8%に据え置かれたことも一因でしょう。
IMFは、こうした景気への影響緩和の施策を延長することも検討すべきとしています。
プレミアム付き商品券は2020年3月までですし、ポイント還元制度は2020年6月までですので、これ以降に消費が落ち込む可能性もあるからです。
IMFやOECDからの消費税増税の提案は度々行われています。
ただ、外部機関から言われたから増税するのが適切ということはなく、消費税増税による影響をしっかり理解して、私達自身が考えていく必要があります。