空の容器には軽減税率が適用される?

ペットボトル 容器

飲料水はペットボトルがないと売ることができないのは当たり前ですが、その空のペットボトルには軽減税率が適用されるのでしょうか?

1.飲料水等を入れるための容器

飲料水などを販売することを考えると、水だけを単体で販売するわけではなく、ペットボトルやビンといった「容器」に入れて売られます。

飲食料品に関しては軽減税率が適用されることは明らかですが、容器単体では対象品目に含まれません。では、容器に飲料水を入れて販売した場合、軽減税率の適用範囲はどのように規定されるのでしょうか?

例えば、私たちがスーパーマーケットなどで飲料水を購入する場合や、飲料水とは別でコップや袋などの容器や包装を購入する場合だけではなく、飲料水の「仕入れ」→「卸売業者」→「小売店」の流れの中でも、軽減税率の適用範囲による影響を受けることが想定されます。

仕入先→卸売業者→小売店と飲料水が販売され、小売店がご贈答用の包装を施して販売した場合、この「包装」は軽減税率の対象になるでしょうか?

国税庁が規定する飲食料品の容器に対する規定は「飲食料品の販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものは、当該包装材料などを含め軽減税率の適用対象となる『飲食料品の譲渡』に該当する」とされています。

では、「販売に付帯して通常必要なもの」についてはどのような解釈が必要でしょうか。ここでは1つ1つのケースに分けて軽減税率の適用範囲について見ていきましょう。

1-1.炭酸ガス

炭酸飲料を製造するために用いられる「炭酸ガス」は単体で飲食料品として使われることはあまり考えられません。
であれば、炭酸飲料を製造しているメーカーが炭酸ガスが充填されたボンベを購入した場合、軽減税率の対象となるのでしょうか?

まず、「食品」とは飲用/食用に供されるものが該当しますが、このような飲料の製造に用いられる「炭酸ガス」は食品衛生法で「添加物」に該当します。
添加物は「食品」として規定されるため、炭酸ガスの販売においては軽減税率が適用されます。
また、炭酸ガスが充填されたボンベについては、「食品」の販売に付帯して通常必要なものとして使用されると判断されるため、ボンベ(容器)を含め「飲食料品の譲渡」として認められます。

なので、炭酸ガス及び炭酸ガスが充填されたボンベ(容器)は、軽減税率の適用対象となります。

1-2.清涼飲料水

清涼飲料水の販売にはペットボトルやビンなどの容器/包装材料が使用されます。これらに関しても「飲食料品の販売に付帯して通常必要なものとして使用されるもの」として判断されるため、容器などの包装材料などを含め「飲食料品の譲渡」として認められます。

そのため、清涼飲料水の販売はペットボトル、ビンなどの容器を含めて軽減税率の適用対象となります。

2.空の容器の返却時

例えばこのようなケースを考えてみましょう。飲食店が清涼飲料水を卸売業者から購入してお店で販売します。当然ながら飲食店が購入した清涼飲料水は「軽減税率の適用範囲」に該当します。
しかし、清涼飲料水を使用後、空の容器などを卸売業者が回収する際に、飲食店に支払う「容器代」はどのような扱いを受けるのでしょうか?

この場合、回収される「容器」は「飲食料品の販売に付帯して通常必要なものとして使用されるもの」に該当しません。容器には飲食料品が入っているわけではないので当然ですね。
そのため、飲食店から卸売業者への「容器の譲渡」に対価が発生していると判断できるため軽減税率の対象外となってしまいます。

このように容器の返却に対しては軽減税率の適用対象から外れてしまうケースが多いので注意が必要です。

3.容器保証金

飲食料品の「容器」に関して、軽減税率の適用範囲の線引きが、だんだん明確に理解できたと思います。では、ここからもっと踏み込んで「容器保証金」についても解説します。
飲食店が飲料水を購入する際に設定されることが多いですが、これについても軽減税率の適用可否を判断していきます。

3-1.容器保証金とは

「容器保証金」とは、飲料水などで再利用が可能な「リターナブル容器」を使用した場合、販売時にリターナブル容器の「保証金」を払い、容器の返却時に保証金を返金するという制度です。

お祭りなどでビールをガラスの容器に入れて販売するときなどでも「デポジット」として容器の保証金を支払い、返却時に返金するというイメージに近いです。
この場合の「容器保証金」についてはどのような判断がなされるのでしょうか?

3-2.容器保証金の消費税の扱い

容器の返却時に返金される「容器保証金」については「課税対象外」となります。標準税率/軽減税率の判断以前に消費税が課されることはありません。

この「容器保証金」については、飲料水の販売時に対価を区分して支払っているものであり、返金されるのであれば課税の対象外となります。

まとめ

飲料水の容器に関して、軽減税率の適用範囲はこのように判断できます。

  • 飲料水の販売に付帯して通常必要なものとして使用される → 軽減税率適用
  • 空の容器 → 軽減税率適用外(標準税率)
  • 容器保証金 → 課税対象外

飲食店やスーパーなどの小売店にとっては重要な内容ですので、しっかりと把握しておきましょう。

監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
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