ミネラルウォーターは軽減税率8%、水道水も飲めるのになぜ10%?

2019年10月に消費税が10%に引き上がりましたが、増税すると低所得者層の負担が大きくなってしまう食料品は軽減税率の対象となり8%に据え置かれます。

では「飲む水」は、軽減税率の対象になるのでしょうか?
答えは、飲み水は食料品なので消費増税後も8%のままです。

ところが、より生活に密着していて、低所得者層へのインパクトが小さくない「水道水」は10%に引き上がるのです。なぜでしょうか。
水に関する消費税の原則と例外を紹介します。

1.ミネラルウォーター、ペットボトルの水、かき氷の氷は軽減税率8%

水については、水であることに注目するのではなく、水の用途に注目してください。

明確に「飲む」ものとしての水は「食料品」扱いとなるので、ミネラルウォーターやペットボトル容器に入った水は軽減税率の対象となり税率は2019年10月以降も8%のままです

1-1.飲み物でも10%の水分もある

では、人が摂取する水分はすべて軽減税率の対象になるのかというと、そうではありません。

医薬品や医療部外品に該当する栄養ドリンクは食料品ではないので10%になってしまうのです。清涼飲料水やジュースは8%です。やはりここでも、水分に注目するのではなく、用途でわかれているのです。

1-2.産業用の氷もドライアイスも10%

そして氷も用途によって消費税率は変わります。かき氷用の氷など口に入れる氷は8%ですが、産業用の氷を購入すると10%が課されます。モノを冷やすドライアイスも10%です。

2.水道水はなぜ10%なのか?

水道水と比べると、ミネラルウォーターははるかに「ぜいたく品」のように感じます。それでもなぜ、ミネラルウォーターは軽減税率8%で、水道水は10%に上がるのでしょうか?

ここでも「水かどうか」ではなく「用途」で税率を変えているのです。

水道水は工場で生産用に使われることがあるから、飲み水とはいえないため10%になるのです。
家庭の水道水についても同じ考え方が採用されています。家庭の水道水も飲料用や料理で使われる量より、トイレや入浴、洗車などで使われるほうが圧倒的に多いので、食料品ではないと解釈されたのです。

水道水をその場でコップに入れて販売したとしても、おそらく10%になります。
(コップに入れるということは、その場で飲むことを想定していますので、「外食」にも該当し、結局10%)

水道水をペットボトルなどの容器に入れて販売すれば8%になりますが、衛生面から、通常そのような販売はしないでしょう。

3.ウォーターサーバーは「8%部分」と「10%部分」にわかれる

ウォーターサーバーの機械を会社の事務所や家庭に設置して、定期的にミネラルウォーターが入ったタンクを購入するサービスに課される税率は「8%部分」と「10%部分」にわかれます。

定期的に購入する「水のタンク」は飲み水なので軽減税率の対象となり8%のままですが、ウォーターサーバーの機械のレンタル料などは10%に上がります。

4.光熱費(電気・ガス・水道)もNHKも10%

軽減税率について、勘違いしやすいルールを整理しておきます。

水道水に限らず、生活に密着している光熱費である電気料金やガス料金も軽減税率の対象ではなく10%になります。

また、同じ「マスコミ関連」でも、定期購読の新聞代は軽減税率の対象になって8%ですが、NHKの受信料は10%です。同じ新聞でも、コンビニで1部だけ買うときは10%です。

軽減税率の対象は原則、食料品と定期購読の新聞だけ、と覚えておいてください。

まとめ

人々が軽減税率の仕組みで混乱するのは、同じものなのに用途やシチュエーションによって税率が変わってしまうからです。水はその代表のようなものです。

次のように整理しておきましょう。

軽減税率8% 10%
飲み水 水道水(人が飲んでも10%)
清涼飲料水やジュース 栄養ドリンク
(医薬品や医療部外品に該当するもの)
かき氷の氷 冷やす氷やドライアイス

 

監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
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